「あの曲に会いたい」シリーズ(その48) ー グッド・ナイト・ベイビー
ふとした瞬間に、耳の奥で鳴り出すメロディ。
どこかの喫茶店で、通りのスピーカーから、あるいは記憶の片隅から――
「あの曲、もう一度聴きたいな」と思うことがあります。
このシリーズは、そんな“音の記憶”をたどるエッセイ(ほとんど独り言…)です。
1960年代から80年代の曲を中心に、ジャンルも国境も問わず、ロックもポップスも歌謡曲もフォークも、何でもありです。
え? 私の年齢? それはヒミツです。
シリーズタイトルは、NHKの番組『あの人に会いたい』のパクリです。(;'∀')
でも、「あの曲が聴きたいなぁ」と思うときって、曲を聴くのと同時に――
当時その曲を聴いていた“自分”に会いに行くような感覚も、どこかにある気がします。
(こじつけ感ツヨっ!)
投稿は不定期で~す。(;^ω^)
グッド・ナイト・ベイビー
1968年にリリースされた、日本のコーラス・グループ、ザ・キング・トーンズのファーストシングルです。
作詞はひろ・まなみさん、作曲はむつひろしさん。
Wikiによると、累計売上は130万枚の大ヒットだそうです。(゜д゜)!
ザ・キング・トーンズは男性四人のコーラス・グループで、私の印象ではドゥーワップのコーラス・グループでした。
当時、日本人の男性コーラス・グループはいくつかありましたが、ドゥーワップを演るグループは他にはなかったのではないかと思います。(たぶん…)
ドゥーワップとは、1950年代のアメリカで生まれたコーラススタイルで、リズム&ブルースを基に黒人の音楽グループの中から発展し、人気を博したものです。
ゆったりとしたイントロからして、アメリカのドゥーワップのコーラス・グループ、プラターズの《煙が目にしみる》を彷彿とさせます。
そこへ、リードテナーの内田正人さんの、どこかバタ臭いボーカルが入ってくる。
これがまた、なんとも惚れ惚れするようないい声なんですねぇ〜。
そして、他の三人のドゥーワップらしいコーラスが重なります。
メロディはR&Bっぽく、音程が五度ポーンと上がるパートがあって、そこをファルセットで歌っているんですが、これ、よく真似していました。
ヽ(=´▽`=)ノ
歌詞は、
きっといつかは 君のパパも
(この「も」から五度上がって「もほ」に聴こえます)
わかってくれる
で始まります。
恋人のいる、ある女性(“女の子”の方がしっくりくるかも)の父親が、彼女の交際を許してくれない。
彼女は泣いている。
そんな彼女に「グッド・ナイト・ベイビー、涙こらえて今夜はお休み」と、優しく慰めの言葉をかける――そんな内容です。
当時は、この“パパ”という言葉がなんだかバタ臭く聞こえて、少し気恥ずかしさを感じていたのを覚えています。
ビートルズの来日が1966年。
そして1968年当時の日本の音楽シーンでは、グループサウンズが大人気でした。
ロックンロールやフォークソングを中心に、日本の大衆音楽が急速に西洋化していく中で、ドゥーワップのコーラス・グループであるザ・キング・トーンズは、日本の歌謡曲がカンブリア紀のように爆発的に多様化していく、その前兆のような存在だったのかもしれません。
あ、つい“バタ臭い”なんて書いてしまいましたが、Wikiによると、
「日本では『バター』が西洋風の象徴として扱われ、西洋の物や西洋かぶれの様式、こってりしていてくどい風なもの、さらに転じて派手な色使いのデザインなどに対して『バタ臭い』と形容することがある」
とあります。
あの頃の“バタ臭さ”という感覚こそが、日本人が西洋音楽と向き合っていた、ほんの少しの憧れと照れの混じった距離感だったのかもしれません。
※この曲は動画サイトなどで検索すると聴けます。
(検索ワード:「グッド・ナイト・ベイビー ザ・キング・トーンズ」)




