輝く理由
ふと気が付くと、優斗君はダンディなおじ様になっていた。
彼の今の職業は『調教師』。
昼は馬の調教をしている優斗君、夜は私に調教されてます。
なんか、新たな扉を開いちゃった的な……。
なんだか、踏み入れてはいけない場所に入ってしまった様な気がするケド、深く考えない事にしよう。
クラブ経営も順調すぎるほどで、結局導入した牧場も中々上手く行っているみたい。
ついでに海外にも拠点をいくつか作ってみたので、海外遠征する以外にも、あちらで育てた仔がちょろちょろと走り始めている。
そっちの成績も、中々のモノだ。
日本の重賞は既に制覇しているので、今度はアメリカの大レースを総なめに出来ると良いなぁ。
ところで、最近少し困っている事がある。
周りはどんどんと年を重ねていくのに、私は20歳を超えた辺りから成長が止まったと言うか、老化が始まらないと言うか……?
優斗君が素敵なおじ様になってきていると言うのに、どういうこっちゃ??
もうすでに40超えたんだけどなぁ……。
このまま行くと、美魔女じゃなく妖怪扱いになるんじゃないだろうか。
ソレはちょっと嫌すぎる。
ちなみにアホの一馬は、アホなおっさんだ。
その辺外さない辺りは流石だと思うよ。
すっかり時が流れた。
今日は優斗君のお葬式……。
享年79歳。
「忍に会えて、とても充実した人生だった。」
と言うお言葉を残して彼は逝った。
すっかり素敵なおじい様になった彼。
何故か若いままの私。
私は、また置いて行かれてしまったのだ。
思えば、最初に居なくなったのはアホの一馬。
今は息子の拓馬が跡を継いでる。
なんか、良く似た親子で一馬がそのまま若くなったみたいな感じだけど、やっぱり違う人で、ちょっぴり寂しく感じたのを思い出す。
ソレと言うのも、優斗君に良く似た我が息子のせいで思い出した事なんだけど。
そうして思うのは、最初は楽しいと思った勝ちまくりのこの人生、本当に楽しかったのは、一緒に馬鹿をやれる友人や、大好きな彼が居たからこそ輝いていたと言う事だ。
自分だけ若く元気でいても、楽しくなんかない。
もう一度、皆と同じ速度で人生、やり直したいな……。
そんな事を思ったからだろうか?
目の前に、不意にポップアップが現れた。
『強くてニューゲーム 始めますか? Yes / No 』
……。
じゃあ、『強くてニューゲーム』は、皆と同じ様に時を歩める方向でヨロシクお願いします!
私は、そう強く願いながら『Yes』を選択した。
この次の私の人生がどうなったか?
それは……ご想像にお任せします☆