マインド・コナ・トロール
知性ない魔獣の様に突撃してくるモヒカンバカを知性を活かした攻撃(大嘘)で顔と地面をハイタッチさせる。
地面:『ンニィィィィィィ』
轟音が止む頃にはモヒカンはすっかりのびていた。
僕は一時故障を起こしたドーパミン・リアクターを見直し、『防水加工をしなくてはな』、そう考えていた。
準備のいいドパガキの天才僕は、モヒカンをむしり、尊厳をボロボロにしてかつての面影などないバカを縛りあげた。
初の獲物を見つめると脳内でドーパミンが分泌されていくのがはっきりとわかる。
しばらく見つめていると、そのバカは虚な目を開いて暴れ出した。
しかしその暴れ方は抵抗ではない、何かを求めて荒れ狂う魔物の様だった。
男は発狂した。
「ウドン!ウドンをよこせ!!」
突然出て来たうどんという単語に流石の天才も面を食らった(麺だけに)。
「おい、ウドンってなんだおまえ、うるさいから⭐︎ぬか寝てるかどっちかにしろ!」
男はウドンが貰えないと分かるとさらに激しく暴れた。
あまりの衝撃に、老朽化していた壁が崩れて男もろとも飽経に崩れてきた。
アスベストが散った。
並の肺だったら長くは持たなかっただろう。
しかし飽経はマスクをしていたのが幸いし、大したダメージは無かった。
だが、男の方はそうでは無かった。
コンクリートが直撃し、アスベストを頭から被ってしまったこのウドン中毒者はもう長くは無かった。
そしてこのバカタレ自身もそれを理解していた。
獲物を逃すまい、その一心で飽経は男に駆け寄る。
男はコンクリート瓦礫の隙間から顔を覗かせていた。
目はますます虚になり、頭部より出血が確認できた。
天才の飽経でなくともバカタレの命がここで尽きる、そう確信できた。
バカタレは最期の力で飽経に伝える。
「俺の体は政府のばら撒いている危険薬物【ウドン】に蝕まれ、その中毒性に精神を危険に改造されてしまった」
流石のドパガキも静かに頷く。
「この世界でウドンを知らなかったのはおまえだけだ、おまえならこの世界をメチャクチャにリセット出来る。この世界を頼んだ。天才——。」
そう残してバカタレは眠りについた。永遠の。
常人ならここで心が折れてしまうだろう。自らの責任でもあり、他人が命を落としたのだから。
しかしこの天才、ドパガキである。
『多少の犠牲などこれから得るドーパミンに比べたらなんて事ない』
それを主張するかの様に胸元のドーパミン・リアクターは輝きを増して眩い光を放っている。
そしてその輝きは彼自身の眼にも同じ事だった。
男は奮い立ち、発狂ののち、荒廃した世界を見て言った。
「僕が天才だ」




