目次 次へ 1/32 ◆0 *** (ハノイット国の子守歌より) 荒野に咲いた白い花 その名は 麗(うるわ)し マザー・リリー 雨が生まれて 風馳せて 川の上には船の帆が 船の上には虹の橋 自由で 明るき 賑わいよ 闇夜に匂えよ マザー・リリー *** 月のない夜だった。 「マザー・リリーは絶滅します」 少女は、明日の天気でも告げるように言った。 「つまり――なんとかしなさい、あなたが」 誰も彼女を信じない。 王も、貴族も、学者も。 夜風の中、その言葉を聞いたのは 一人の靴職人だった。