その十、迅空の過去と言い訳
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その後、私たちは川から捕ってきたアマゴの串焼きを食みながら迅空の話を聞くことにしている。
何故アマゴを?それはお腹がとても空いていたからだ。 そして迅空もお腹が減っているようなので、目の前でおいしそうに食べてやろうと言うホタルの悪戯心というか意地悪に皆乗っかっているのだ。
「あむっ!…んっまぃ!光翼姉ちゃん焼き加減最高だよ!ホタルあんまり魚とか肉とか食べないけど、これなら毎日食べたい!」
「えへへ、何度も焼いてるから慣れてるよ!それに、おいしくなって、皆の元気が出ますように!って願いながら作ってみたの!」
「ほほー、そういうことにも使えるようになるとは、こりゃまいった!ほっほっほっ」
おいしそうに食べながら談笑する傍らに迅空が鳥かごの中で涎を垂らしている。
「うぅ…、おぃ!俺にも一口分くらい分けてくれたっていいじゃねぇか!なんでわざわざ美味そうな匂いと獲物が見える場所に檻を置くんだよ…!」
「それはあんたがなんでこんなことをしたのかとか、今までのこと全部あんたの仕業なのかとか私たちの質問にさっきから真面目に答えてないからよ!」
「ふん!答えたぜ。あーとかうーんとかでよ!っけ、分からず屋のじじいとそれに拾われた人間になんざ話すことはなんもねぇし!」
「ふーん、じゃあ、あんたの為に焼いておいたこの脂たっぷりのった特大のアマゴ、私が食べちゃおーっと。」
「う…あぁ…」
ぱくっ!
「あぁ…!!」
「うーんとってもおいしい!この脂がジューシーで、でも川魚だからしつこくなくほろほろと口の中でとろけていい塩梅の塩と脂が絡んでく~。これは私も今まで焼いた中で一番成功したともいえる美味しさだわ!」
「ぐぅ…ぅぅうう、…悪かった!!俺が何でも話すから!話すからそいつを俺にもくれ!話したら絶対くれよ!?俺にも一匹!」
我慢ならなくなったのか身体を震わせた後、所々禿げた翼をバタつかせながらそう言ってきた。
こういうのをなんて言ったっけ…そう、即オチというやつである。実に単純な迅空の様子に思わず油断してしまいそうになる。
そうして、迅空は本当の事を話す約束をし、嘘を言った場合鳥かごを火の上に吊るし焼き鳥にすると脅しをかけたうえで話すことにした。
ちなみに脅した後迅空は震えて身じまいを正して鳥の正座みたいな格好をした。
「じゃあ、まずなんで俺が人間を嫌いか言ってやるよ。俺だって、最初は好きだったんだぜ?人間。…昔、俺が初めて生まれた時は、人間の手のひらだった。人間の子が、女の子で、お雪ってやつが俺を育ててくれてたんだ。優しい奴だった。俺が人間の中で唯一好きだったやつ。」
意外だった。てっきり、人間を憎んでいるから人間との良い話を予想していなかった。
「それでそれで?」
「うるせーな、急かすなよホタル。…でも、俺の色、生まれつき白くて、…別に俺は気に入ってるんだけどよ!でも、村の人間はお雪が奇妙な色のカラスを飼ってるってだけで異端扱いしやがったんだ。」
あぁ…なんとなく分かる気がした。色が、何かが他と違ったりすると気味悪がったりする人多いもん。だけど…まさか。
「今は人間は人間を殺すこと、犯罪になってっけど。当時はお雪みたいな変わり者扱いされた者は結構村八分とか、贄にして殺害とか結構あったんだ。「妙な妖術を使う者は厄を招く!」とか意味わかんねーこと言ってよ。…んで、お雪は村八分で親からも見放されて村に一人食べる者も分け与えられずの状態だった。…俺はまだ幼鳥だったから、そこら辺にある木の実とかくらいしか取ってきてやれなかった。みるみる内にお雪は痩せてくし、冬は近づくから俺は使われてなかったボロ家からちょっとだけ綿の入った布を持ってきて包んで少しでもあったまって欲しかっただけだったんだ。」
この辺りから迅空の声が震えてきた。
「…村の人間の一人に俺が布を持ってったのを見られたらしいんだ。たった一枚の布で、俺が勝手にしたことで、お雪は盗人の罪で…皆からなぶり殺しにあった。お雪は最後まで俺を抱いて庇っていた…。逃げるだけの走る体力も痩せてねぇのに、最後まで俺を村の人間から守ってた。俺が人間を嫌いな理由の一つは、自分たちの基準で勝手に優しい存在を仲間外れにしたり、痩せて死にそうになっている子供を惨たらしく殺したりするからだ。」
とても悲しく、辛い話だった。光翼はあまりにも酷い一つの物語の結末に言葉を紡ぐことはできなかった。そこから、迅空の人間に対する感情はマイナスに揺らいだんだろう。
「でも、山のに弟子入りしたんでしょ、その後。山のは人間が好きなのは知ってるはず。なんでそこからまた山のの眷属になったの?」
ホタルがポンと疑問を投げた。
迅空はお気に入りだからどうしても可哀そうな目にあっててかわいそう。




