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元人間の天狗徒然紀行  作者: 唐墨 いくら
第二章 蛍恋祭編
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その七、辛勝

 「今よ!みんな手伝って!」


 「フィィイイイイイイ!!!!(野郎どもぉ!かかれぇ!)」


 真っ先に飛び出してきたのはフィで、後に続くように次々と梟の大群が迅空に襲い掛かった。


 「な、なんだ?!ふ、梟?!いて、いってててて!おい、やめろ…!」


 1対1の大きさではやや迅空が大きいものの、こうも数が多いと、多勢に無勢である。梟たちは次々と足で迅空をゲシゲシと蹴ったり嘴で突いたりしていた。あ、羽むしられている。


 

 光翼は呼吸を整えながら態勢を立て直し、迅空に近づく。人型に戻って反撃されることを警戒するも、人型に戻る気配は何故かない。 


 「はぁ…はぁ…あなたの、言うとおり…、私はまだ…力を十分に使えていない…。そもそも、修行も始めたばかりの、ひよっこよ。でも、そんな私でも使えるようになった力は2つあるわ…。植物を生やすことと、動物たちと意思疎通できること、よ。」


 腹を抑えながら、しかしどこかしてやったりの顔で言う光翼。そう、迅空からの攻撃を回避している間、フィにありったけの応援を頼んでおいたのであった。


 「ち、く、しょ…おれが、そんな初歩的な、術とも言えないような…あいて!やめ、やめろぉおおおお羽をむしるな!やめ、やめてくれぇえええええ!」


 涙目になりながら叫ぶ白カラスは、ところどころハゲて来ており、流石にかわいそうに思ってきた光翼だが、タイミングよく山神が到着した。


 「迅空…!お主、光翼に何を…―――なんと、お主完膚なきまでに嬲られとるではないか。」


 「?!ジジィ!クソ!おい!人間!もう攻撃しないから!逃げないから!そのゲシゲシやめさせろ!」


 ハゲかけの白カラスが涙目に訴えているが如何せん言い方がまだ偉そうで反省しているのかがわからないと、判断を仰ぐような目を山神に向ける光翼。山神はやれやれとため息をつきながら、


 「光翼、こやつは儂がたっぷり説教をくれてやるわい。じゃから、一旦儂にあずからせてくれんかのう?」


 「うん、おじいちゃんが言うなら…。フィ、手伝ってくれてありがとう。みんなも、フィについてきてくれてありがとうね。」


 いうが早いか、山神は光でできた鳥かごを白カラスの周囲に作り、梟たちは十分蹴ったと満足したのか光翼の周辺に集まった。フィは(褒めて褒めて)と、光翼に自分の頭を擦り付けた。


 「いてぇ…。この迅空様の綺麗な羽を毟るなんてあんまりだ…。おまけに鳥かごの術のせいで人型に戻れねぇ…。こんな屈辱…人間!お前のせいだ!ぜってぇ潰す!」


 チックショォオオオオオオという絶叫が、山にこだました。


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