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元人間の天狗徒然紀行  作者: 唐墨 いくら
第一章 山籠もり編
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その九、梟

タイトルで相棒キャラがまるわかりな件。

重い荷を担いでゆっくり歩いていると、落ち葉の上に何か落ちている。動物…?あれは鳥か。鳥の死骸であれば触るのは危険かと考えていたその時、その鳥は動いた。


 「フィィイー!」


 顔を見てすぐにフクロウの仲間だと分かった。茶色い体に目の上の長く伸びた羽はまるで怒っているかのようだ。こちらに気づき威嚇しているのか、かすれたような音の鳴き声が森に響き渡る。よく見るとその梟の羽が少々飛び散っている。けがをして動けないためうずくまっていたのだ。すぐ手当をしてやらなければ。


 「大丈夫、怖くないから、ね?」


 そう言って地面にしゃがんで手を差し出す。何をされるかわからない梟は怯えながら後ずさりをするが、上手く体を動かせていない。数分経っても何もしてこない光翼に敵意は感じなかったのだろう。しばらくして梟は光翼に触れられることを許した。


 「それじゃ、ちょっくら失礼しますよ梟さん。」


 梟を持ち上げてテントのある場所まで運ぶ光翼に、梟は大人しく抱かれていた。

 テント場まで付いたら、買ってきた荷物を置いてけがをしている場所をチェックしてみる。どうやら羽が折れている個所と何かに突き刺されたけががある。急いで簡易救急セットを開き、消毒スプレーをかける。梟に効くかはわからないが殺菌効果くらいはあるだろう。消毒液が沁みているのか、暴れだす梟をなだめながら手早く包帯を巻いていく。私とて同じ翼を持つものだ。筋肉が発達している分、傷は痛いし骨折も羽を動かすたびに骨が神経を突いて死ぬほど痛いことは想像できる。翼を持つ者同士、羽の構造は理解しているつもりだ。骨の折れている個所は添え木をして包帯で固定する。


 「よし、これでひとまず様子見しようね。」


 先ほどのスプレー消毒がまだ沁みているのか、恨めしい顔をして光翼を睨みつつも光翼のそばを離れない分、彼女に対しての警戒は薄れているのだろう。

 それにしても、と、光翼は梟をまじまじと見る。しばしの間かもしれないが、けがが治るまでの間飛べないこの梟はしばらく光翼と一緒にいるだろう。一緒にいる仲間を何も知らないというのもなんなので、スマホを使ってどの種類なのか調べることにした。すると


 「えっ、あなたシマフクロウなの?!絶滅危惧種でしかも北海道の一部しかないはずなのに、なんでこんなところまで来ちゃっているのぉ。迷子もいいとこよ。」

 

 まさかそんな希少な種類でしかもここでは見るはずのないシマフクロウであるこのふてぶてしい顔をした子を、光翼は呆れ半分驚き半分で見た。迷子になったはいいが海を渡るなんていい度胸をしている。ここまで生き残ったこのおっちょこちょいで図太いシマフクロウに愛着がわいてきた。


 「ねぇ、名前何にしよっかね?」


 「フィィ?」


 答えはかすれた鳴き声が返ってくるだけ。梟はホ~となくものばかりと思っていたが、なかなかに個性的な鳴き声である。そこで、


 「決めた、あなたフィね。見たところオスだけど、ちゃん付けが可愛いからフィちゃんで!」


 「フィ!」


 短い鳴き声は返事に聞こえる。なかなかに賢そうだと感心しながらそれではさっそくと、ご飯の準備にかかる。時刻は14時を過ぎたころ。おなかはペコペコだ。

 昨晩のトラウトが半身残っていたため、それをフィと分けながら食べる。片手間に焚火を再び燃やして買ってきた芋を水を入れたフライパンに入れる。これで簡単なふかし芋ができる。芋が煮えるまで待っていながらふとフィを見ると、いつの間にか隣で寝ていた。


 孤独な山籠もりの生活に、一羽の相棒が加わった日である。


読んでくださりありがとうございます!感激です!

フィちゃんは賢いので光翼の言わんとしていることはわかるのでしょうね。

今後の山籠もりサバイバルが楽しくなってきそうな予感です。


感想・評価お待ちしております。

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