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第35話 カレンお嬢様食堂

『栄えある1位は……375万ゴールドを稼いだハンバーグクレープとクラーケンたこ焼き! 新人ながら素晴らしい料理で街を魅了してくれた! 優勝者であるカレン嬢はぜひ檀上へ!』


 ワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!


 1位……わたし達の屋台が発表されると、後ろの歓声がとても大きくなる。


「美味しかったよー!」


「お店でも今回の料理だしてねー!」


「もうまた食いたいー!」


「ずっと料理作ってくれー」


 そんな声がずっとわたしの耳に届く。


 わたしは力が抜けそうになる身体をなんとか動かし、檀上への道を進む。


 檀上に登るのにちょっとふらふらになっていたのが心配だったのか。

 九尾とソラが支えてくれる。

 モミジは羽で風を起こして仰いでくれた。


「ありがとうございます」


「いいからいくニャ」


「ああ」


「ピー」


 わたしは侯爵様の元へ行く。


 彼は拡声の魔道具で、話し始める。


『今回の優勝者、カレン嬢だ! 今回の商品である店を運営する権利と、優勝者の称号を授ける! みな、彼女により大きな拍手と歓声を!』


 ワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!!


「おめでとー!」


「絶対に店に行くねー!」


「娘の嫁に来てくれー!」


「モフらせてー!」


「もう食べたいから作ってくれー!」


 よくわからない声も聞こえた気がするけれど、きっと気のせいだろう。

 でも、多くの人が祝福してくれているのは伝わった。


 わたしは、大きく頭を下げて、感謝を示す。


 歓声はとても長い間続いた。



 それからはわたしは檀上から降りて、大会の閉幕宣言まで待つ。

 終わった後は、裏に呼ばれ、侯爵のお話があるとか。


 警護の騎士が立つテントに、わたしは九尾達も一緒に入る。


 中はとても豪華で、貴族の一室と言ってもいい場所だった。


 彼は中で何か書き物をしていた。

 しかし、わたし達が入るとすぐに気づき、立ち上がって出迎えてくれる。


「まずは優勝おめでとう。君達の料理を私も食べたが、素晴らしかった。ユリが誘ったのも頷ける」


「ユリ様……そういえば、申し訳ありません」


「ん? 何がかね?」


「ユリ様のお誘いを断ってしまったので……」


「はっは、私は気にしないよ。むしろ、強引な誘い方になってしまって、すまなかったね」


 彼はそう言って軽く頭を下げる。


「いえ、とても光栄な話ではありますので……」


「だとしても、脅迫のような誘い方になってしまったみたいだからね。ただ、ユリは君を助けたかった。ということだけは覚えておいてほしい。自分専属の料理人になれば、もしもの時は自分が責任を持つからと、料理を出し続けられただろうしね」


「そこまで考えて提案を……?」


「ああ、それだけ、君の料理が気に入ったということだ」


「そうであれば……とても嬉しいです」


 何はともあれ、そう思って行動してくれるほど料理がおいしいと思ってくれたのだ。

 それは嬉しいこと。


 侯爵は次にすまない顔をして、話す。


「それと、料理を禁止すると言った者は処分しておいた。権限としてはやってもいいが、少し強すぎたからな」


「いえ……」


「ただ、彼のことをあまりせめないでほしい」


「そうなのですか?」


「彼は娘を食中毒でなくしている。だから……それだけ過敏に反応してしまったのだ」


「そう……ですか……」


 自分が悪いわけではないが、そういう話を聞くとしょうがないと思ってしまう。

 ただ、


「わたしは……そこまで恨んではいません」


「そうなのかね?」


「ええ、彼が禁止してくれたおかげで、クラーケンたこ焼きの方に集中でき、そのおかげで今回かなり稼ぎ出すことができたのです。ハンバーグクレープのままだったら、売り上げは足りなかったでしょう」


 準備した分全ての売り上げが100万ゴールドちょっと。

 そう考えると、優勝出来たのは彼があれを禁止してくれたからという理由に他ならない。


「そうであれば、いいのだが、さて、店の運営や権利委譲についてはのちのち執事を向かわせる。今日は休むかお祝いをするといい。わざわざ来てくれてありがとう」


「いえ、こちらこそありがとうございます。失礼しますわ」


 ということで、侯爵様との話し合いは終わった。


「さて……疲れていますが……疲れていますが……お食事にしましょう!」


「か、カレン? 正気ニャ?」


「正気です! このお祝いをする時には料理を作って食べるのが一番ですわ! それに、手伝ってくださったみなさんと一緒に、美味しい物を食べたいのです」


 わたしはそう言うと、みんなが頷いてくれる。


「ニャら、ボクも手伝うニャ!」


「俺も出来ることをしよう」


「ピー!」


 ということで、屋台に戻ると、みんなが待ってくれていた。


 ハンナさんはギルドの後処理が残っているとかで後から合流することになった。

 けれど、アミアさんやエレウムさんがいる。

 わたしは、残っていた食材を使って料理を作った。


「カレンの料理は世界一ニャ!」


「こんなに美味しい料理は食べたことがないねぇ」


「ピー!」


「カレンの料理がこんなに食えるなんて最高だぜ!」


「そうねぇ。食べ過ぎてしまうのが心配になるくらいだわ」


 みんなが口々にそう言ってくる。

 そう言うけれど、食べてくれるみんなの笑顔が嬉しい。


「あー! やっと終わってきたのにー!」


 ハンナさんがテントに飛び込んでくる。


「まだまだありますわ。ぜひ食べてくださいな」


「やったー! 3日間ずっと食べたかったのに、仕事でお預け食らっててやばかったのよねー!」


「お腹が弾けるまで食べていってください」


「やったー!」


 そんなやり取りをしながら、わたしも適度に食べて、楽しい打ち上げを過ごした。


「そう言えば、店名は決めているのニャ? カレン&美しすぎるソラレストランとかおすすめニャ!」


「ソラがメインになっているではありませんか」


「ニャニャ!? そこに気づくとは、流石ニャ!」


「ふふ、でも……どうしましょうか。でも、やはり……多くの人が来てくださるような名前がいいですわ」


 わたしがそう言うと、九尾が聞いてくる。


「なら、ある程度決まっているのかい?」


「そうですわね。こういうのがいい。というのはありますわ」


「聞かせてほしいな」


「ええ、わたしは……こういうのがいいのですわ」


 わたしはおくいう名前にしたいと言ったり、他の人はこっちの方がいいという感じで、色々と楽しく話合う。


 そして、楽しい時間はあっという間に過ぎていき……。


******


 それから少し後。


 わたしは新装改築された店の看板の前に立っていた。


 やっと……やっとわたしの店を開く時が来た。


 わたしは周囲にいる人々に向け、大きく声を張る。


「みなさま! カレンお嬢様食堂、開店ですわ!」


「面白かった!」


「続きが気になる、もっと読みたい!」


と思っていただけたなら


下にある【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にして作品への応援お願いいたします。


面白かったら星5つ、つまらなかったら星1つ、正直な感想で大丈夫です!


ブックマークもいただけると本当にうれしいです。


何卒よろしくお願いいたします。


それと、少しの休みを挟んで再開予定です。

しばらくお待ちください。

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