表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ウラニス戦記  作者: 7s9


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
2/2

給食争奪戦の優勝者

給食争奪戦の優勝者


前回まで

給食争奪戦で、ヒュラの対戦相手はケラだった。


導入


ケラは、ヒルと互角に渡り合えるほどの最強レベルの戦士である。

ヒルと同様に、戦士の家系で、とても強い。


ヒュラはケラからの猛烈な連打キックを必死に交わす。

蹴りが体を掠めただけで擦り傷だらけになりながら、なんとか距離を保とうとする。

ヒュラが用意できる近距離重力場は、直接の重力そのものが極めて微少であり、役に立たせる方が無駄骨である。

素早いケラに、体術的に劣勢に立たされているヒュラは、生身で超人と戦う常人のか弱い少年に過ぎなかった。


ケラ

「とてもじゃないけど、あなたが勝てる状況なんて、戦場でほとんど存在しない。

あなたの才能は、おそらく類稀なものよ。

でも、世の中には、どうしようもない格差と乗り越えられない壁がある。

あなたが思うほど、そんなに甘くないのよ」


ヒュラが、ほんの数分間を死に物狂いで耐え凌いだ結果、辛うじて深過ぎない傷を数ヶ所に留められたのは、彼の並外れた生存本能によるものだ。

ただし、ケラが用心深く、ヒュラを簡単には倒さなかった事が最も大きい。


実際、初めのうちケラがヒュラと戦闘して、ケラは単純粗暴な圧倒的な強さの攻撃により、20連勝を簡単に収めていた。

しかし、攻撃を見切られたヒュラの戦術により、その後5回連続で劣勢に立たされながら相打ちになった経緯がある。


その後、ケラとヒュラはケラが8割勝利し、残りは引き分けとなっていた。


ケラ

(今日はヒュラのメレピン知覚がなかなか鋭い。

かなり調子が良さそうだわ。

動きのキレもいい方だわ。

かと言って、警戒し続けて長引けば、策を練り実行する機会を与える事になる。

勝負は急いだ方が良さそうね。)


ジリジリと詰め寄り、とどめを刺すタイミングを伺うケラ。


分厚く広いシールドを敷き、ケラと一瞬だけ距離を保ったヒュラが、大量のサテライトを空中に配備する。

ヒュラのシールドはケラの回し蹴りでヒビが入る。

シールドは解除された。


サテライトは追尾弾である。


ケラ

(追尾弾にしては単調だわ。裏があるのか、苦し紛れの攻撃か。)

ケラは、出し入れ容易なザルのような格子状のシールドを敷いて、サテライトを防いだ。


ヒュラは、重力場をケラの体に命中させて、サテライトをさらにケラへ誘導した。

防御強化したケラだが、浅い傷が数ヶ所に入る。


*重力場そのものを敵体内に的として発生させても、得られる重力自体は弱く、また重力の強さは距離に依存する。

重力場に追尾性を持たせた組み合わせ技により、重力場そのものを移動させて攻撃を少しずつ誘導する方が、はるかに効果的である。


山場1


ケラは、ヒュラの重力場誘導とサテライトの組み合わせに気付いた。

(特殊能力ツールのドメイン、タームと、一般武装ツールのドメイン、アームを同時使用中に、他の技は利用不可能のはず。攻撃に転じてとどめを刺すなら今がチャンス)


ケラは、身体特化のタームを用いて、ヒュラを殴りつけ、とどめを刺そうとした。


ヒュラ

(かかったぞ!)

ヒュラは、自身の右腕に強力な重力場を用意して、ケラに喰らわした攻撃の重力場とサテライトを一斉に自分の方へと誘導した。


それは、予め時間差でそうなるような追尾弾を送るという賭けをヒュラが行ったために、可能となった。


ケラは、素早く方向転換して、回り込むように左からヒュラを殴りかかった。

ヒュラは、ケラが移動した側に、ケラと防御戦中に予め用意していたワイヤーを出現させ、ケラはワイヤーに触れてしまった。

ヒュラは重力場を解除したが、場の消失までのタイムラグを利用していた。

ただし、ワイヤーに罠を仕掛ける手札は、ヒュラには残らなかった。


ケラ

(使えるドメインは2個まで。

ワイヤーはただの撹乱目的)


ヒュラは、ケラの猛烈な一撃を右腕に受けて、腕を失ったが、致命傷を回避して、同時にケラの頭部に流出したニューオンを巻き付けるようにした。

煙幕状になったケラの頭部へ向けて、3方向からサテライト弾が送り込まれた。

咄嗟にシールドを敷いたが、攻撃直後のケラを、残りの1方向からヒュラの右腕の残像が殴りつけに来た。

それは、散り散りになって消えかけているヒュラの右腕のマレピアが、自己強化意識により一瞬だけ動いたものである。

ケラ

「本当にこいつ、とんでもないやつだわ。重系じゃなかったらと思うと恐ろしいわ」


だが、ケラの反応速度と身体能力であれば、交わせずとも致命傷は避けられる………

はずだった。


ケラ

頭が重い……?


ヒュラ

さっき巻き付けたニューオン 

あれで感覚処理を一瞬だけ乱した。


ケラは、一瞬フラッとしていた。

ヒュラもそれに気付いたが、その時にはケラは頭部の中枢器官、コアが破壊され、敗北していた。

ヒュラは、61回戦目にして、初めてケラに勝利した。


山場2


他方では、既に戦い終わっていた残りの者が、争っていた。


マラルとクラルが戦っているようで、ネラとサマンダーはそれぞれ負けたようだった。


サマンダーが後方を取ったが、クラルが素早くプラズマの剣をサマンダーに突き刺し、サマンダーはメレピン切れで敗北した。


「よし、次は僕とクラルか」


クラルは電磁系能力者だ。

ヒュラと戦闘スタイルはよく似ていて、剣を使うが、剣はプラズマを帯びている。


クラル

「ケラを倒したのか」


ところが、ヒュラはクラルのプラズマがサマンダーとの戦いで弱まっているところを、目にも止まらぬ早さで切り裂いた。


ヒュラ

「運が良かっただけさ」


接近戦にワイヤーを利用して動きを封じながらの壮々たる勝利であった。こうしてヒュラはトップに上り詰めた。


クラル

「その運で勝てるなら十分だ」


給食争奪戦において、トップの権限は強い。

ヒュラは、自ら最も質素な食事を選択した。

そして、特別料理を最下位のネラに分配し、下から2番目に当たるマラルを逆撫でるように褒め称えた。



ヒュラ


「マラルも頑張ったからな!」


マラル

「うるせえ!」



配膳は、2番手のケラに任せた。

この構図は、ネラにとっては一見ありがたいが、6人のクラス内の構図を考えて、優遇されたクラルとネラを介して、全員から半ば恨まれる事になる最悪の選択であった。

ただし、当の本人であるヒュラは、一切その事を気にせず、呑気に構えていた。


先生

「みなさん、これは学校生活最後の給食争奪戦です。

みなさんは心身共に強くなりました。

このクラスは皆、強くバリリオンズ戦闘員を志望する生徒が集められています。

本日欠席されたヒル君も含め、このクラスの6人、いや7人は、無事合格される事でしょう。

これから軍高進学へ向けて忙しい日々が続きますが、どうぞ頑張ってください」


初めてトップになった事に喜んでいたヒュラだったが、勝ち上がれた結果は自分が望む勝利の形ではないと感じていた。


(もっと強くなりたい。

バリリオンズに入隊して、早く強くなるんだ!

戦士として訓練し、経験を積むんだ!)


引き


入隊試験を受けるための手続きなどに奔走する日々が続く。


数度にわたる筆記試験や書類調査なども行われ、仮の寮も用意されるので、そのための準備も必要になる。


なお、資金については、初期費用の他、減免の際には多くの契約を交わす事になる。

また、筆記の試験内容の条件が少し厳しくなる。


そして、本試験で、バリリオンズ入隊の実技試験、C級選抜が行われる。

試験会場は複数あるが、それらは本部基地が存在する島に散在している。

試験会場で、受験者は多くの戦闘を行い、その結果は、合格後もC級内の順位やランク決定に利用される。

そこで上級の戦士に特訓してもらう形で任務を行い、競争する事になる。


本試験のC級選抜実施の6週間前には、中学校を卒業する事になる。


試験当日の朝、ヒュラは試験解除へ向かう船に乗船した。

持ち物はステレオのみである。

ステレオにデータ入力が為されている。


船の甲板。

朝日代わりの褐色矮星の光。

風。


ヒュラ

「待ってろよ」

首飾りを握る。



ヒュラ

「必ず強くなってみせる」


遠くに見える

バリリオンズ本部島。


こうしてヒュラは、人生最初の大きな試験へ向かう。まだ彼は知らない。自己創造の先に待つ、本当の戦いを。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ