25/27
犬を探す(一)
第一話 犬を探す
地獄を数日かけて巡るのは久しぶりで、罰を受けない者にとってはどの場所も快適だったが、たずねた旧友のひとりは不在だった。
「まだあんな奴を探しているのか」
見上げるほどの堂々とした大きさで入り口を守る門番の犬は、三つある頭のどれも、かの名を聞くと機嫌を損ねる。
「まったく、怪しからん奴だ」
「まったくだ」
「せいぜい地上で、愉快にやればいいさ」
「愉快にやれれば、の話だがね」
こうなると、不機嫌がこちらに及ぶ心配が出てくる。
「まあ、さっさと私も退散しますよ、先生方」
「そう急ぐな、客人」
去ろうとすると、引き留められる。
「聞いた話だが、奴は今、犬のかたちにされたらしい」
「また、へまをしたせいだとよ」
三つの頭がげらげらと笑いだす。
「お前さんが行けば、点数稼ぎに近寄ってくるだろうよ。
その時はまあ、よろしくやってくれ」
犬探しなど、地上で人間の探偵を雇えば、いくらとられるかわからない。正直困った。
私は丁重に礼を述べ、地獄をあとにしたのだった。




