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第46話

 俺たちはすぐに外へと出て、タウロス迷宮へと向かって走り出していた。

 ……しかし、厄介なことにその道中も魔物で溢れていた。

 ダークスケルトン、ミノタウロス、アクアリザードマン……そしてグリフォン。


 それらの魔物が街の外を我が物顔で歩いている。

 ……ランクの低い冒険者たちでは、この場に遭遇してしまったら命はないだろう。


「こいつらを倒しながら進む必要があるみてぇだな」


 ギルド長が腰に差した剣を抜き、騎士がそれに相槌を打って剣を握る。

 俺も刀へと手を伸ばし、魔物たちとの戦いが始まった。

 襲い掛かってきたミノタウロスの体を、俺は刀で切り裂いた。


 上半身と下半身が上下に分かれ、その死体が崩れ落ちる。さらに少し離れた位置にいたグリフォンを斬撃によって仕留めた。


「お、おまえ……滅茶苦茶つえーじゃねぇ……かっ!」

 

 叫びながらギルド長は大きな体を軽やかに動かし、魔物たちを切り裂いていく。 

 ……さすがに、戦い慣れているだけはある。

 Aランク迷宮の魔物たちとはいえ、ギルド長くらいの腕の者なら問題はなさそうだ。


「私からすれば……二人とも化け物みたいなものですけど……ね!」


 騎士は魔法を駆使しながら魔物を仕留めてみせた。

 ……俺たちの中では一番苦戦しているようだけど、それでも問題なくついてきている。

 魔物を倒しながら進み、どうにかタウロス迷宮の入り口へと到着した俺たちは、すぐにその階段をおりていった。


 騎士隊長とギルド長とともに魔物たちを仕留め、迷宮を進んでいく。

 5階層ほど進んだところで、ギルド長が眉間を寄せながら口を開いた。


「おかしいな……アローたちは迷宮内にはいなかったってことか?」

「それならいいんですけどね」


 確かにそれならいいんだけど……エフィたちが誰も被害にあっていないのならそれが一番だったからだ。

 俺たちの攻略は危なげなく進んでいき、そして……10階層に向かう途中の階段で手紙を見つけた。


「……これは」

 

 ギルド長と騎士隊長が手紙を拾っていく。俺も一つの手紙を拾った。

 それはエフィのものだった。


 失礼だとは思ったが、何か貴重な情報が書いてある可能性もある。

 俺がその中身を確認すると、それは故郷にいる母と父に向けた手紙のようだ。

 それは……まるで遺言のような手紙だった。

 

 そして、もう一枚の紙には……冒険者や騎士に向けての書置きがあった。

 そこには、迷宮攻略に向かった旨が記されていた。


「……あいつら、まさか攻略に向かったっていうのか!?」


 それはどうやら、他の人の手紙にもあったようだ。

 ……手紙は合計五つ。アローの分だけはなかった。


「……急ぎましょう! まだもしかしたら15階層に入る前かもしれません!」


 騎士隊長とギルド長が慌てた様子で声を張りあげた。

 エフィ……!

 それなりに親しかった彼女が、死にかけているかもしれない状況に、俺は焦っていた。


「俺が、先行してもいいですか?」

「あ?」

「俺なら、誰よりも早く到達できます。だから……!」

「行ってください! 見つけたら気絶させてでもよいので止めてください!」

「分かりました!」


 騎士隊長の言葉に合わせ、俺は憑霊をブラッドウルフへと切り替え、全力で走り出した。

 15階層近くまでは何度も来ているので、道に迷うことはない。

 一気に駆け下り、15階層へと続く階段まで到着した俺だったが……そこで歩みを止めざるを得なかった。


「……クソッ!」


 15階層に繋がる階段を駆け下りた俺は、固く閉ざされた扉を殴りつけた!

 この扉があるということは、この先に全員が入っていったってことだ。

 何度も何度も殴りつける。しかし、扉が動くはずはない。


 ……この扉が開くとすれば、15階層にいる人数が6人を切ったときだけ――。

 そう思った次の瞬間だった。

 

「え?」


 扉が開いた。

 ……誰かが死んだ。下手をすれば全員が――。

 どうなっているかは分からない。それでも今は、出来ることをやる必要がある。


 15階層をざっと見た。

 ……冒険者たちは皆倒れていた。しかし、外傷は見えなかった。


 ……死んではいない、のだろうか? 遠目からでは判断できない。

 俺はすぐに15階層へと入り、そこで誰が死んだのか分かった。


「……アロー、か」


 入口近くに体を両断されたアローが倒れていた。

 その顔は恐怖に支配されたようなものとなっていた。


 ……好きな奴ではないし、どちらかといえば嫌いな奴だったが、いざ死体で対面すると色々と思う気持ちはあった。


 彼の遺体を弔っている暇はない。


 そして――問題のデュラハンは真っすぐにエフィへと近づいていた。

 俺はすぐにそちらへと向かう。【ブラッドウルフ】から【サムライオーク】へと切り替え、今まさに大剣を振り上げていたデュラハンの側面からその体を斬りかかった。


 鎧によって攻撃は防がれる。俺の刀が鎧を突き破ろうとするより先に、デュラハンは自ら大地を蹴って俺から距離をとった。

 傍目には俺がデュラハンを吹き飛ばしたように見えるだろう。


「大丈夫か?」

「……え? エミル、さん? ど、どうして?」

「助けに来たんだ。……エフィを死なせるわけにはいかなかったからな」


 交友のあった冒険者に死なれたくはない。そんな一心でここまで来たんだ。

 エフィは頬を赤らめながら、こちらを見ていた。

 そんな彼女にすぐに指示を飛ばす。


「ポーションは持っているな? すぐに回復して離れた場所に移動してくれ」

「わ、分かった!」


 俺はそれだけを伝え、デュラハンを睨む。

 ……デュラハンもまたこちらに体を向けてきた。





 エミル 男 18歳

 体レベル 4001

 才能:【再生の勇者:レベル4001】【憑霊ブラッドウルフ:レベル3543】【憑霊ミノタウロス:レベル3331】【憑霊シャドーアサシン:レベル3299】【憑霊ヘビーミノタウロス:レベル3136】【憑霊ダークスケルトン:レベル3121】【憑霊アクアリザードマン:レベル2921】【憑霊ウォリアオーク:レベル2719】【憑霊サムライオーク:レベル2322】


【ウォリアソード+52 レベル2523(2523/6200) 物理攻撃力+25パーセント マジックコーティング】

雪切ゆきぎり レベル1481(1481/5000) 居合い効果+23パーセント マジックコーティング】

【重要なお知らせ!】


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[一言] 一人で戦うんだ。まあ、エフィたち負傷してるし、仕方ないや。 とうとうレベルが4000に達したか。三度目の正直、デュラハンを撃破してくれよ!エミルッ!
[一言] おっ、Lv.4000超えてるな! 何とか倒せるのかな?
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