遭遇
ヤンデレっていいよね。私はヤンデレ大好きだよ。どんなデレよりヤンデレだよ。
内容関係ないけどね。
今回は死体表現があるので、そういうのが苦手な方は、注意してください。
頭の痛みで目が覚めた。
なんだか頭蓋骨の中から思いっきり殴られてるように痛い。
起き上がろうと少し体を動かそうとしただけでもすごく痛い。マジで学校休もうか。
そう考えてスマホを取り出したが充電をしてないためバッテリー切れ。泣きたくなった。
母さんもすでに仕事に行った後だ。どうしようもない。
「・・・行くしかないのか」
声を出すだけでもなんか頭に響いて痛む。これは本当に休んだ方がいいかも。
そういえば昨日、服とかがかなり汚れたはずだ。
痛みを我慢して立ち上がって確認したが汚れは始めからなかったかのように消えていた。
「そういや、ベランダ・・・」
確認しようとしたがやめた。それよりも、今日の学校をどうしようか。本当なら休みたい。
ただ、勝手に休むと母さんがうるさいからな・・・説明するにしても、面倒だ。
「・・・行くか」
時間的にはもう遅刻だろうが、後で母さんにブツブツ言われるよりはマシだ。どちらにしろつらいが。
痛む体に鞭を打って学校へ行く準備を整えた。
ホームルームには間に合わなかったが1時間目には間に合った。
最初はとても辛かったが、4時間目が始まる頃には、大分良くなっていた。
それでもあまり物を食べたいとは思わなかったので自動販売機でジュースだけ買った。
中庭のベンチに腰を下ろして買ったジュースを一口。
「ふぅーーーーっ」
長いため息が漏れる。
「昨日の雨、なんだったんだろうなぁ・・・」
昨日の黒くてベタベタした変な雨。結局なんだったのだろうか。いきなり体調崩したしなんか良くないものだったのかなぁ。
ぼーっと校舎を眺めているといきなり頬に冷たいものが当たった。
「やほ、一誠元気かな?」
俺の頬に缶ジュースを当ててきたのはクラスメイトの井岡由奈が明るい笑顔をむけてくる。
淑やかとは言えない、とても活発な娘だ。
この娘とは小学校からの知り合いで、クラスこそ違えど昔はよく遊んだものだ。
中学生になって部活動で忙しくなってお互い疎遠になったが、たまに話したりはする。
「どこが元気に見えるんだよ。バカなの?」
「バカなのは知ってるよ」
そう言って怒りもせずに笑う。どうやら開き直っているようだ。らしいっちゃらしいが。
「隣座るね」
それだけ言ってベンチに座ってきた。そして炭酸ジュースの缶を開けて飲む。
「ぷはぁー。やっぱりエネルギーを使ったあとの炭酸はいいねー」
「なにがエネルギー使っただ。今日は体育なかっただろうが」
「私は勉強が苦手だからねぇ。たくさんエネルギー使うんだよ。なかでも、数学は鬼門だね」
「数学苦手なのは知ってる」
由奈の数学苦手は凄まじい。というか、算数の時点でいくつか怪しいところがあるぐらいだ。
スポーツ推薦があったから良かったが、もしなかったら通らなかったのではと思うほどだ。
「一誠今日元気ないね。なんかあったん?」
由奈は手元の缶で手遊びしながら聞いてくる。
「ああ。なんか朝起きたら頭が相当痛くてな。正直、休もうと思ってた」
「大丈夫なの?朝は確かに辛そうにしてたけど今は?」
由奈が気遣うように聞いてくる。俺はなるべく安心させるように普段通りに答える。
「時間経ったら大分マシになったわ。とりあえず、今日帰ったらあんまゲームせずに寝るよ」
「・・・良かった。大丈夫そうで」
そう言って缶ジュースの残りを一気に飲み干すとベンチから立ってごみ箱に缶を投げ入れる。
「じゃあね。午後の授業、寝ちゃダメだよ!」
「おう、気遣いサンキュな」
由奈はじゃーねーと校舎の方に走っていった 。
俺はすぐに教室には戻らず、もう少しゆっくりしていくことにした。
学校から変な音が鳴っている。防災訓練とかのあれに似たような耳に響く音で自分がいつの間にか眠っていたことに気付いた。
「今日って防災訓練だっけ?」
そんな予定なかったと思うんだけどな。でも校舎はベルが鳴り終わって以来、シンと静まり返っており、どうやら、俺だけ参加できなかったようだ。
「タイミング悪いなぁ。よりによって寝たときにやるなんて」
後で先生に怒られそうだな。なんかやだな。
だが休めたお陰で頭痛は完全に収まってすっかり元気になった。そのとき、校舎で何かが動いてるのが見えた気がした。
おそらく先生だろう。残った生徒がいないか確認しているのかも知れない。
「仕方ないな。自首しにいくかぁ」
校舎に入って先生の姿を探してみる。だが、どうも見当たらない。それになんだか、変な臭いが充満している気がする。
「誰か鼻血出したのか?」
廊下には点々と赤い模様が出来ていた。見た感じ乾いてないからまだ新しい。模様はトイレまで続いていた。
焦ってぶつけたのかもしれない。そしてトイレまで行ってティッシュ詰めて外に出たのかもしれない。
もしかしたらさっきのはこの鼻血後を消そうとしてた先生か事務員の人だったのかも。
トイレまで続いている模様だが、トイレに近づくほど激しくなってる。
そして、トイレに近づくほど臭いが強くなっていく。
「まったく、後で消す人も大変だな」
トイレからカチカチと物音が聞こえる。多分水で浸したモップで拭くつもりなんだろう。俺も手伝った方がいいかもしれない。
トイレを覗きこんだ。
目を疑った。理解が追い付かなかった。始めて幻覚を見ているのだと思った。
人が、死んでる。
バカな、そんなことがあるはずがない。昨日までそんな前兆無かったじゃないか。訳が分からない。
あれは作り物だ。そんなもの用意する意味が学校に着くあるのか?
幻覚だ!間違いなく現実だ。
そしてその側で、カチカチと音を建てて顎を動かしている。
それは巨大なアリだ。真っ直ぐ立てばニメートルになりそうな巨体。黒く頑丈そうな甲殻が黒光りを放つ。
時折触覚を揺らして何かをしている。
そんな現実離れした光景を前に俺は動けなくなっていた。
頭を恐怖が支配する。目を逸らして逃げたいのにそのアリのようなモノから目を逸らすことが出来ない。
そのとき、触覚が一瞬速く動いたと思ったら、アリがこちらを見る。
感情の読めない複眼に睨み付けられ思考が停止する。何も考えることが出来ない。
その巨大なアリはカチカチと顎をならしてこちらの様子を伺っている。
ようやく体が逃げようと動こうとしたが、脚が震えてその場に倒れ込んでしまった。
それを合図に巨大なアリが突進するかのように走ってきた。
「うわぁぁぁぁぁぁ!!」
喉から悲鳴をあげることで体の拘束が解かれたかのように動き始める。
後ろからはカチカチと、音が追いかけてくる。それがひたすら怖く、ひたすら逃げた。




