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47:激戦、開始。

膠着こうちゃくにも飽きた鶏は誇らしげに巨躯きょくを揺らし、俺に近づいてきた。

ずっとスキルを眺めているわけにもいかないようだ。


Try.

挑戦してみようか、俺のVRMMOの腕と運を賭けて。

鶏が大幅に動きだす前に俺が足場の砂を思いっきり蹴った。


鶏からの視線をかく乱させるため、そいつの周りをグルグル走りまわる。

最初は目で追っていたものの、走る事をやめなかった俺は正解だった。

ただでさえ動きののろい鶏だ、高速で走る俺を捉えることは出来なかった。

鶏を混乱させ、もう3周ほど回ったとき、鶏の巨大な2つの羽を広げ、自分自身がプロペラよろしく回転し始めた。

近い場所に居る俺を巻き込むつもりか…。

後ろに…跳べッ――!

「――!」

回避しようとした全身に柔らかそうでそうでない白い壁が激突する。

後ろに吹き飛ばされる。

うつ伏せに倒れてしまい、目や口に砂が大量にプレゼントされる。

「…うわっ、ペッペッ!」

顔に付いた目くらましを払っているときには鶏はもう動き出していた。

ようやく目の中に侵入していた砂を擦り落とした。

安心も束の間。

俺の周りは真っ暗な何かで覆われていたのだ。

――太陽が照っているはずの砂漠で。

俺は察し、見上げる。

目の前にはあの巨大な鶏の身体が俺を押し潰さんばかりに迫っていた。

実際に押し潰そうとしている事実は回避できないのだが。


足を組み、戦闘中とは全く感じない体勢をしていたために、回避は絶対に出来ない。

後10秒猶予があって、思考する暇があったら、この状況から脱する方法などいくらでも出てくるはずなのだが。

俺の真っ黒な髪が鶏によって起こされた風になびかされる。

ふとHPを見ると

【残りHP:1000/700】

と表示されていた。

黄色い悪魔のおかげでレベルが大幅に上昇したものの、1つの攻撃でこれほどダメージを受けるなんて……。

ゲームの世界で死ぬはずなのに走馬灯が見えた気がした。

「ははっ、砂漠で鶏に殺されるなんて…、そんな古臭いジョーク誰もしないだろうな…」

そんな失言をした瞬間、彼の姿は鶏の巨躯によって消えた。

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