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熱が取れない身体

 シュリスの看病のおかげで熱も無事に下がった。

 その後、邸にまで送ってくれた。


 まだ、けだるさはあるがどうにか歩ける。

「シュリスさ、シュリス。ありがとう。必ずお礼をするから」

 俺は意識が飛ぶ前に、部屋までたどり着き眠った。


 目を開けると、顔を覗く人物がいて……。

「ん? シュリス?」

 いるはずもない人物の名前を呼んでしまった。


「ユウラ、大丈夫? 熱あったから看病に来たよ」

 ぼやける視界が鮮明に変わってくる。覗き込まれていた顔は、自分と同じ顔のユウリだった。


「ユウリ⁉ なんでここに?」

「えっ、覚えてないの? ここは僕たちの家でしょ」

 不思議そうに首を傾げるユウリは、俺の額からタオルを持ち上げる。


「まだ、熱いね」

 困惑は一気に冷め、ユウリの腕を握った。


「ユウリは動いていて大丈夫なのか。俺の看病なんかして体調を崩したら――」

 本気で心配していたのに、当の本人は笑顔でびしょびしょのタオルを俺の顔に投げつける。


「うべっ、ちょ、さすがに絞ってほしい」

「ああ、ごめんね。初めてやったから」

 絞り直したタオルを置き直してくれて、そこでいろいろ頭に記憶が戻ってきた。


「ユウリ、俺。魔力詰まりが治る薬草の情報をゲットしたから、必ずその病を治して見せる」

「本当に?」

 ユウリは嬉しそうに、俺の手を上下左右に揺する。


「ああ、本当だ。だが、その森に魔物がいて」

「魔物って、そんな危険な場所に行っていたの」

 ユウリの表情は笑顔から、怒り顔に早変わりをした。


 鬼の形相ってこういうことなのかと、しみじみ感じる。

「薬草の入手先の情報が少なくて、手あたり次第だったんだよ」

 申し訳なさげに、頭を下げるがどこから湧いてきたのか。


 俺よりも強い力で、持ち上げられる。

「僕のためなのは嬉しいけど、ユウラの身が危険なことはやってほしくない」

 今度は、瞳に涙をため始めた。


「あ、えっと」

 泣かれるのには弱い。今の俺が慰めるとナンパみたいになってしまう。

 果たして、何を言うのが正解なんだ。


「僕は死ぬのがわかってる。でも、ユウラはまだ生きられるんだから。ちゃんと自分を大切にしてよっ」

「そんなこと言うな。絶対に助けるって言ってるだろ」

 ユウリの言い方に腹が立ち、寝間着姿のまま教会に向かった。


「サナさん、今日もよろしくお願いします」

 サナは俺を見るなり、ベッドのある部屋に通された。


「サナさん?」

「なんでこんな状況で掃除に来ているのですか」

 また、怒られた。なんで、なんで怒られるんだ。

 自分がやるべきことをしに来ているだけなのに……。


「今日は、安静にしていてください。いいですね」

 昨日からベッドを転々と移動しているだけ、熱も下がったと思ったら上がって。

 本当にめんどくさい身体だ。


 太陽が俺を優しく照らし、うとうとと眠りに落ちそうになる。

「おい、あの山にでけぇ魔獣が出たらしいぞ」

「討伐の依頼くるんじゃねぇか?」


 外が騒がしいことに気づいた俺は、幾分か軽くなった身体にムチを打って歩いた。

 声がする方向は冒険者ギルドだった。


「あの、魔獣って?」

 昨日のことと関連しているのなら、知りたいと思いそのままの姿で話しかけてしまった。

「あ? 誰が教えるか」


 その男を皮切りに、集まっていた人々も去っていく。

 変装していない俺の姿ではやはりだめか。


 俺は諦めて教会に戻る途中、自分と同じくらいの年の少年が魔獣がいる森に入ってしまった。

「おい、待て」

 慌てて声をかけるが、すでに距離があるため聞こえていないようだ。


 ただでさえ身体が動きづらいのに……、俺は意を決して少年の元に走っていった。


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