第八幕 モンスターの情報を表示してみよう
ブルースタリエに向かって雄大な草原をひたすら歩く俺達。
そんな道中に暁美が聞いてきた。
「そう言えばアンタのクラス聞いてなかったわね。何のクラスなの?」
その質問に俺は言い淀む。
どう説明すれば良いんだ。まさか、アンノウンだなんて説明する訳にも...
「あー、えーっと俺はフローズンマジシャンかな」
「あ、そうなの?同じ魔法使い系じゃん」
実は以前アスタリアからクラスの説明を受けていた時、魔法使い系のクラスに興味を惹かれていたのだ。
なので此処はフローズンマジシャンって事にしておこうと思う。
(同じフレイムマジシャンだと被るしな...)
因みにフレイムマジシャンは炎と土属性を主とするのに対して、フローズンマジシャンは氷と雷を得意とする一次職。
(すると、暁美の前ではフローズンマジシャンを演じなければいけないのか…気を付けないとな)
と、どう立ち回った物かと思案を巡らせていると、俺の隣を歩いていたアスタリアがまた余計な一言を...
「え?帝斗はアンノ....むぐっ!?」
閃光の如くの早さで俺はアスタリアの口を塞いだ。
「むぐむぐむぐ...」
もがくアスタリアに耳打ちするように小声で話す。
(おい、余計な事言うな!!変な事言って混乱させる訳にもいかねーだろ)
そして塞いだ手を離してアスタリアを解放してやった。
「ぷはっ...!?」
(で、でも良いんですか?行動を共にするならその内バレますよ)
(まぁ...その時はその時だ。だが今はその時じゃない)
暁美はそんな俺達に「何やってんだコイツら」とでも言いたげな表情を向けている。
「まぁ、兎に角そう言う訳なんだ。宜しくな」
「う、うん、よろしく」
そして暁美は今後の俺達に役立つ?かはわからないが、一つ情報を教えてくれた。
「そう言えば二次転職の方法って知ってる?」
「いや、知らないな。アスタリアなら知ってるだろうけど俺も自分から聞いたことはないしな」
すると、暁美は突然肩を竦めて説明を始めた。
「二次転職以降についてなんだけど...これがまた難しいのよね...」
と、言うのも二次転職には試練があり、一次職であればいつでも挑戦が可能との事なのだが...
「ぶっちゃけ難しすぎるのよあれ...少ないスキルでジャイアントタートルだとか大蜥蜴だとか倒して戦利品持って帰ってこいってよ...当然、一人での討伐じゃなきゃ認められないし挑戦者も結構バッタバッタやられてるわで全く容赦ないよね」
それ故に、二次職、ましてや三次職だなんて最早伝説に等しいレベルで存在しないのだ。
そんな話をしながら歩いていると、前方に何やら蠢いている物が確認できた。
ガサゴソと動くそれはーーー
「あれってスライムか?」
「うん、そう。まぁ見た目でわかるよね」
青くプルプルしたスライムは俺達を襲うでもなく、近くにいたスライムの群れに合流しようとしているようだ。
それを見た暁美は空中を指でタッチする様な仕草をすると何やらホログラムの様な物を展開させた。
「なんだそれ」
「あれ、知らない?各クラス共通スキル『情報探知【サーチ】』。これ使うとモンスターの情報が見れるのよ」
そんな便利な物があったのかよ...
アスタリアの奴、知ってたなら教えてくれりゃ良かったのに。
いや、アイツの事だから単純に言い忘れてただけか。
そしてその張本人はと言うと、どこ吹く風。
近くにいた他のスライムをナデナデしていた。
しかも手をベチャベチャにして...
そんなアスタリアはさておき、魔力によって生成された情報板にはこう書かれている。
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【スライム】
Lv.1
HP :■
MP :■
STR :■
INT :■
LUK :■
DEX :■
AGI :■
討伐推奨 : 一次職以上
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「なんだこの四角は」
「まぁ、大まかなグラフよね。数値までは表示されないの。そこまでの精度を要求するなら盗賊か弓使いの『情報明示【トゥルーサーチ】』を使うしかない。だから皆LVか一番下の討伐推奨を見て判断してるのよ」
なるほどなぁ...パーティーを組んだ際、クラスそれぞれに役割りが割り振られているって訳か。
「それと、経験値を一定量取得すればレベルが上がって自身のステータス、スキルの威力や性能が向上する。要するにこの世界で冒険者として生きていくには、自主的にモンスターを倒していく必要があるの」
なるほど、成長出来るシステムは存在するって訳だ。
こりゃ後々が楽しみになってきた。
ステータスについて。
STR=主に攻撃力に関係する。
INT=主に魔力に関係する。
LUK=主に幸運に関係する。
DEX=主に命中率に関係する。
AGI=主に素早さに関係する。