第二十幕 ギルドへ報酬を貰いに行こう
ベルベット鉱山を攻略した後、無事にブルースタリエへ帰ることが出来た。
そのままギルドへ直行してオークとオーガの角を持って帰って来たのでそれを以て討伐の証明としたのだ。
「お疲れ様でしたー。はい、依頼の報酬がこちらです」
ギルド受け付け嬢が50.000G(金貨五十枚)を少し大きな麻袋に入れて渡してくれた。
それを受け取ると、俺は受け付け嬢にベルベット鉱山内部で地龍ドレイクと言う明らかに推奨レベルとかけ離れたモンスターと出会った事を報告する。
今回は俺達がたまたま受けていたから良かった物の、推奨レベル帯の別の人達が受けていたら間違いなく死ぬ事になっていただろうから。
そして、その報告を受けた受け付け嬢は何とも珍妙な面持ちで言葉を返してきた。
「あれー、おかしいですね...依頼を貰った際、偵察者を派遣して難易度設定をしているのですがその方によればレベル35辺りが妥当だと報告を受けていたので」
との事だ。
ともなれば、その偵察者が単にドレイクと出会わなかったのか、それとも虚偽の報告をしていたのだろうか...
いや、多分後者は無いだろう。
仮にそれを誰かがやっていたと仮定しても何一つメリットが思い浮かばないからだ。
とは言え、一応その人への報告も兼ねて名前くらい聞いておくに越した事はない。
「因みにその方の名前を聞いても?出会ったら一応報告もしておきたいので」
「えぇ、構いませんが...えーっと、確かあの辺りのエリアを担当している方は『アイザック=シュペルツ』さんですね。名門シュペルツ家出身のエリートさんです。ブルースタリエ三大強者の一人なのですぐにわかると思いますよ」
『ブルースタリエ三大強者』
ブルースタリエ内ではシスを含め、三人しかいないとされる二次職の人達を指す。
ならば、これはシスに聞いた方が早いかもしれない。
「シス、その人知ってるか?」
すると、どういう訳かシスは不機嫌そうな顔をしていた。
「知らなくはない...でもあいつ嫌いだ。帝斗、お前も関わらない方がいい」
シス曰く、アイザック=シュペルツと言う人物は自身が名門家出身だからか、はたまた二次職だからか多少傲慢な部分があるらしい。
出会う人を不快にさせるタイプの人間のようだ。
だが、仕事だけは割りと真面目にこなすらしいので虚偽の報告と言うことは恐らく無いだろうとシスも言っている。
「まぁ、仕事は真面目にこなすって事は根は悪い奴じゃないのかも知れないし、報告するくらいなら良いだろ?」
「お前の好きにしろ...私は知らない」
そう言ってシスは何処かへテクテクと歩いて行ってしまった。
余程その人が嫌いなのだろう。
是が非でも会いたくないと言う気持ちが伝わってくる。
(まぁ、シスは元々人を寄せ付けない感じだったからなぁ...でも忠告もあったし一応留意はしておくか)
「ってことで俺はそのアイザックとか言う人を探してくるけどお前らはどうする?」
後ろを振り向き、そこにいた暁美、露乃、アスタリアに聞いてみる。
すると三人はヒソヒソと相談を始め、その後少ししてからどうやら結論が出たようで、俺の方に向き直った。
「いや、私達は宿でも探しているよ。どっちにしろ必要でしょ?」
「ま、まぁそうだな」
そう言った直後、暁美は俺の耳元で囁く様に言った。
「アイザックの事、もし何かあっても呉々もアンタの能力は使わないようにね」
「んな事はわかってるよ」
そして暁美達も何処かへ行ってしまった。
ブルースタリエ三大強者と言えど、周りからは超絶嫌われているらしい。
(やっぱ行くのやめようかな...)
と思ったが、行くと言ってしまった手前行かないわけにもいかず。
仕方なくアイザックなる人物を探すことになったのだ。




