欲望と理性
ラケシス目線です
子供達はおおはしゃぎで川に飛び込んだり水をかけあったりしている
私は川につかりながら、そんな子供達を見ていた
「隊長は、はしゃがないの?」
「はしゃぎ方がわからない…私は…友達居なかったから…」
よく考えたら、子供の時に友達が居なかった
だから子供達とどう遊んだらいいか、わからなかった
「水、かけあってきたら?」
ザイロは首を傾げて言った
「…うん、でも、何だかここにいれるだけで、楽しい」
ザイロは私の頭を優しく撫でて笑った
「隊長ってば可愛い………副隊長今ごろ荒れてるでしょうね」
「?」
ザイロは苦笑いを浮かべた
「副隊長絶対自分で行きたかったはず、他の隊員が変なことしないように見張んないとだから私に、たのんだんでしょ」
私が首をかしげると、ザイロは柔らかな笑顔を作った
「副隊長は大好きな隊長を守りたいのよ」
私は川に肩までつかる
「昔から、クライブに守られてばかりだ」
「好きでやってんだら、守らせてりゃ良いのよ、男なんて好きな子守ってなんぼでしょ!」
「私もクライブの事は好きだが、何も返せてない」
ザイロは驚いた顔をした
「副隊長の事、好きなの?」
「好きだ、回りがクライブを駄目な最低男だと言っても、私には頼りになるお兄ちゃんだから…」
ザイロは顔をひきつらせた
「…副隊長…可哀想…」
「…よく聞こえなかった」
回りの子供達の声でザイロの呟きは聞き取れなかった
「私も副隊長好きよ!男前で素敵よね!」
「ああ、昔は彼女居ない時がなかったよ」
「あら、まるで遊び人みたいに言うのね!」
私はザイロに真顔で言った
「遊び人じゃなくて、駄目人間だよ…彼氏が居ようがお構い無しだったし…」
「…誰の事を言ってるの?」
「クライブ…」
ザイロが今日一番の驚き顔をした
「嘘でしょ」
「嘘じゃないよ、エイラム様のお屋敷でクライブのお手付きじゃないのは、私とエイラム様の奥さんのアルト様、じつの姉ミスティぐらいじゃないかな?」
ザイロは顔を真っ青にして言った
「だって、今やどんな綺麗で可愛い女の子が誘っても頑なに拒否してるのよ」
「…ヤりすぎで、枯れちゃった…」
「やめてあげて」
ザイロは深くため息をはくと言った
「副隊長は好きな女の為に真面目になったんじゃないかしら?」
「どの女かな?」
ザイロは深く深くため息をついた
あの後、子供達が仲間に入れてくれて遊ぶ事ができた
ザイロは帰る頃には、なにもしていなかったのにぐったりしていた
「ただいま~!」
私は帰ってくると食堂に向かって言った
数人の騎士と、クライブが食堂で談笑していたようで、私の声にお帰りなさいと、返してくれた
「ラケシス様、早く風呂に入ってきた方が良いですよ、風邪引いちゃいますよ」
クライブが私の所に来ていった
「楽しかったですか?」
「うん、子供らしい遊びなんて初めてだったから…楽しかった」
クライブは柔らかく笑顔を作ると、それは良かったですねっと言って頭を撫でてくれた
「水遊びしたことないのに水着は持ってたんですか?」
「ああ、エイラム様の背中を流させてもらう用に、アルト様が買ってくれた」
「…」
「エイラム様は最初は嫌がってらしたけど、アルト様と説得してたまにお背中を流させてもらってた」
回りの騎士達がポツリと呟いた
「「「…羨ましい…」」」
私は騎士達に向かって言った
「やってやろうか?」
「駄目です、ラケシス様はそんな事しなくて良いです、むしろしないでください」
クライブは眉間にシワを寄せて言った
「クライブにするのもダメ?」
クライブは勢いよく私から視線を外した
「ダメです…絶対ダメです」
クライブは消えそうな声で呟いていた
「「「副隊長のケチ」」」
クライブは他の隊員達の所に行くと言った
「お前ら、少し寄れ」
クライブは私に聞こえないようにわざと隊員達を近くに寄せて言った
「お前らは、ラケシス様に背中を流してもらって、下半身を制御出来んのか?興奮したらどうなるか………………嫌われたいのか?」
何を言ってるのかはわからないが、隊員達が青くなったのだけはわかった
「隊長は気にしない方が良いわよ、男ってイロイロあるし、格好つけたい生き物だから、目先の欲望には流されないでしょ」
ザイロが言った言葉の意味もよくわからなかったが、取り合えず頷いておく事にした




