二夜
―――暗転
気が付けば目の前は真っ暗だった。体を動かそうとしても縛られているのか動かす事が出来ない。
分かる事といえば、椅子に体を拘束され、口には猿轡をされ、目隠しをされている事だけだった。
その時
声がした。男の声だ。
「おほっ、こんばんは、泣かない泣かない」
男はそう言い私の目隠しを取った。
「!!」
「……ん……!」
声が漏れる。
男は顔に豚のマスクをした巨漢だ。
私はすっかり気が動転してしまい、頭が真っ白になった。
「おじさんはオオカミ。そして君は間抜けな羊飼いのヒツジ」
きょとんとした私を無視するかのように豚男は続ける。
「おじさんはマジシャン?いいやおじさんは『人さらい』。子供と遊ぶのが大好きな『人さらい』今日は君と遊ぼうねぇ」
「ッ……ッ……」
私は呻きの様な声を上げるしかできなかった。
その時、豚男が人差し指を上に向け
「遊ぶ前にご飯にしよう、お腹が減ってちゃ遊べない」
※ ※ ※
目の前に食事が用意された。どれもこれもおいしそうな料理だったが、こんな状況で食事を楽しめる訳などない。料理に手を付けない私を見て豚男は話しかけてきた。
「あら?全然さっぱりまったく進んでないみたい。」
「……」
「あれ、それってもしかして好き嫌い?いけないねぇ、好き嫌いはいけない、いけない」
「んっ……」
そういい豚男は私の頬に料理を刺したフォークをあてがった。私は「絶対に食べない」と言う意思表示を豚男に見せつけた。
―――だが
「うあっ!!」
豚男は腕に力を入れフォークを私の頬に突き刺す。
「うああああ!!」
痛みと同時にフォークが頬に刺さりぷらぷらと揺れる。
私が叫び、口を開けたところに豚男はすかさず開口具を取り付け
「タルタルは好きかな?」
と言い、バケツに入った生肉をミキサーに入れ始めミンチになったそれを漏斗で私の口に流し込んだ。
「ッえええ……」
激しい嘔吐が私を襲った。
その姿を見て、満足したのか、豚男はペットボトルに入ったジュースを飲み、私に目隠しをした。
豚男の足音が少しした後ドアが閉まる音がした。




