8話
「あ、開いた!」
「すごいな。なるほど、植物が鍵だったわけか」
きっと自分一人だったら、なかなかここにはたどり着かなかったと思う。
「すごい! ありがとうございます。レオン様!」
すると、レオンは優しく微笑み、私の頭を撫でた。
こんなにも人から優しく触れられたことがなかった私は、固まってしまう。
「ふふ。可愛らしいな」
「あ、えっと、えっと……」
「うちの弟も、小さな頃はコロコロと表情が変わったものだが、最近はすぐに眉間にしわを寄せるようになってしまったのだ」
「そ、そうなのですか?」
「あぁ。でもとても優しい子でね、私の自慢の弟なのだよ。ふふふ。君を見ていると、弟の小さい頃を思い出す」
なるほど。だからこんなにも私なんかに優しくしてくれるのか。
いや、そもそも私が呪われている紛い物の姫だなんてことをレオン様は知らないから、優しくしてくれるのだ。
勘違いをしてはいけないと、自分の心に言い聞かせながら、私は扉のノブに手をかける。
「開けてみます!」
「いや、先に私が行こう。危ないといけないので、抱きかかえてもいいだろうか?」
「え? あ……だ、大丈夫です」
断ったつもりだったのだけれど、了承ととられたようで、私はひょいと抱きかかえられた。
「うわっ……た、高い」
思わずぎゅっと抱き着いてしまうと、優しく背中を撫でられる。
「大丈夫だ。しっかり支えているから。……あの、気分が悪くなったりは、ないか? 大丈夫か?」
「え? はい。大丈夫です」
「そうか、良かった」
抱きかかえられて気分が悪くなる人がいるのだろうか。
私は不思議にそう思いながらも、自分は大丈夫だなと初めて人に抱っこされる感覚を味わう。
「私……人に抱っこされたの初めてです。こんなに高いんですね」
私の言葉に、レオン様は驚いたようにこちらを見る。
「ない……のか?」
「はい。なので、ちょっと、ドキドキしてます」
抱っこというものは幸せな気分になるのだなと感じつつ、自分はもう十六歳だというのに子どもと偽って抱っこされて……と、罪悪感が芽生える。
「よし、では行くぞ」
「え、あ、はい」
けれどそんな罪悪感を感じている間もなく、レオン様が扉を開き、その向こう側の光景に私達は息を呑んだ。
強い風が吹き抜ける。
それと同時に、澄んだ清涼な香りと甘い花の香りが私達を包んだ。
「ここは!? ……嘘だろう……どこだ」
「わぁぁぁっ! きれいー!」
青い空には白い雲が浮かび上がり、太陽の光が暖かく地上を照らす。
鳥たちが空を舞い、蝶々が花から花へと渡っていく。
緑の草原とその奥に花畑、その奥には深い森が広がっている。
見たことのない景色がそこにあった。
「すごい! すごい! 始めて見ます! すごいです!」
私は興奮して足をばたつかせると、レオン様に地面に下ろしてもらう。
それから、野に咲く花を見て、動きを止める。
「これ……魔法植物? え、すごい!」
そこに生えているものの中に魔法植物がたくさん混ざっているのだ。
「ふわあっ! なんて、なんて可愛らしいのかしら! 魔法植物がこんなにたくさん!」
「どこだ、ここは。何故離宮の外へ繋がっているのだ」
私は周囲を警戒するレオン様とは裏腹に、自然の中の空気を胸いっぱいに吸い込んですごく幸せな気持ちだ。
開放感がすごい。
私は両手を広げて、太陽の日差しと吹き抜ける風を感じて瞼を閉じた。
「気持ちいい」
そう呟いた時、何かが駆けてくるような足音が聞こえて、レオン様がすぐに私を抱き上げると腰の件を引き抜いて構えた。
「何か来る!」
「え?」
レオン様の言葉に、視線を追うようにそちらへと向けた。
シャーロットが不憫で(/ω\)
これからはたくさん幸せがやってくるからねぇって思いながら書いてます。







