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【11/1書籍2巻&漫画1巻発売】呪われ王女は魔法植物を研究したい~公爵様が婚約者!?私、呪いで幼女になっているのですが~  作者: かのん
第二章

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14話

 外は一瞬で吹雪に覆われており、空は見えなくなり視線の先も全てが吹雪いている。


 前が見えない。


 ただ、私にはまるで魔力の糸のようなその中心が分かる。


 不思議な感覚だった。


 見えないのに、見える。


 私は吹雪きの中を、その中心に向かって前へと進んでいく。


 冷たい風が肌に突き刺さるように痛い。


 目が開けていられないほどの魔力の強い渦。


 息が、白いと言うよりも氷落ちていくようなそんな感覚。


 前へ、前へと一歩、一歩と進んでいく。


 そしてそんな魔力の渦の中央で、氷に包まれるようにロムア様が横たわっていた。


 あぁ。


 彼は、先ほどまでもこの魔力の渦の中で自らの体の中から暴れ出る魔力に苦しめられていたのか。


 ロムア様の苦しみが、レオン様の姿と重なる。


 レオン様もずっと一人で苦しみに堪えていた。


 もしかしたら四大公爵家の方々は、歴代その特異な魔力に苦しめられてきたのではないか。


 そんなことを私は考えながら、ポシェットの中から魔力抑制剤を取り出す。


 これは、緊急な魔力暴走を止めるために作ったもの。


 ロムア様の魔力を完全に止めることは出来ないだろう。けれどそれでも魔力暴走を一定時間は止めることが出来るだろうと考える。


 それと同時に、頭の中を過っていく可能性。


 四大公爵家はそれぞれ魔力に苦しめられてきたのだろうか。


 今後はそれも調べてみなければ。そう思いながら、私は目の前のロムア様に集中する。


 何故、扉がここへ導いたのか。


 その答えを知る為にも私はロムア様と話がしたい。


 魔力の渦の吹雪が、強くて私は膝をつく。


 雪の中に足を取られながらも、私は一歩、また一歩とロムア様に近寄っていく。


 ロムア様は肌が蒼白になり、苦し気に顔を歪めていた。


 こうやって、じっと耐えてきたのだろうか。


「ロムア様」


 私はそう声をかけるが、声が魔力の渦で届かない。


「ロムア様!」


 ピクリと、ロムア様の瞳が動きゆっくりと開いた。


「小さな、妖精さん……何故……いけない。このままでは」


 ロムア様は私を守ろうと、魔力を抑えようとする。


 その一瞬の魔力の弱まりに、私は走り、ロアム様の元へとたどり着くとその口へと魔力抑制剤を流し込む。


 目を見開いたロムア様だが、ごくりと呑み込んだ瞬間口元を抑えた。


 魔力の渦が弾ける。


「きゃっ!」


 私はその勢いで雪の中をごろごろと転がっていく。


 ただ、雪がクッションになったおかげで痛くはない。


 魔力暴走が収まり、私はロムア様の元へと駆け戻った。


「小さな……妖精……さん。君は……一体……何者なのだい?」


 魔力暴走が落ち着き、顔色が良くなっていく。


 それを見て私はほっとする。


 ただ質問にどう答えようかと迷っていた時、視線の先に扉が見えた。


「え? 扉……!」


 感覚的に今帰らなければ戻れないような気がした。


 扉が開いており、私は戻らなければとそう思った。


「あ、あ……ご、ごめんなさい! あの、私の名前は……」


 言うべきか、言わないべきか。


 だが、苦しむ姿はレオン様と重なり、このままにしておくことは出来なかった。


「私の名前はシャーリー! また、また会いに来ますから!」


 そんな私の手を、ロムア様が取ると、自らの首にかけていたネックレスを取り、私の手に乗せた。


「これを……持っていてくれ」


「これは?」


「礼だ……僕を、苦しみの渦から救ってくれた……」


「で、でも……」


「助けが必要な時は、いつでも、呼んでくれ。恩を……返しに行く」


 私はうなずくと扉の方へと視線を向ける。


 扉は今にも閉まりそうになっており、私は急いで走った。           


 そして扉を潜り抜けたその瞬間、扉がパタンと音を立てて閉まりそして、その扉の色は元へと戻っていた。


「はぁ……はぁ、はぁ……」


 心臓がバクバクとする。


 今あったことがまるで夢だったのではないか、そう思えた。


 ただ、私は先ほど採取させてもらった魔法植物を手に持っていた。


「夢じゃ……ない」


 四大公爵家について、もう一度調べ直さなければならない。


 レオン様にも聞いて見なければ……。


 今更になって私は全身が震え始めて、ゆっくりと深呼吸をする。


 その時……、青い炎の薔薇が大きく揺れた。


「え?」


 ここに持ってきてもなんの動きもなかった青い炎の薔薇の炎が、悲鳴を上げるように揺れている。


 なんだろうか。


 そう思い私が近寄ると、その悲鳴は大きくなっていく。



「どうして……あ……」


 私は採取した魔法植物を青い炎の薔薇へと近づけてみる。


 するとそれから逃げるように炎が揺れ悲鳴を上げるのだ。


「……扉があそこへ導いたのは……この魔法植物を、採取するため? でも、これは聖域の森にも生えてい

る……違うとすれば……魔力?」


 私は、気合を入れるとエプロンをつけ、数種類の魔法植物を丁寧に取り出し、それを鉢へと植え替えていく。


 そしてそこで私は、手を止める。


「あれ……もしかして……」


 私は温室の一角に開いていた、プレートの嵌められた箇所へと持って行く。


 そして採取した魔法植物をそこに置いた瞬間、下から光が溢れ、魔法植物を包み込んだのだ。


 プレートがきらりと光る。


 まるでパズルのピースがピタリとはまったかのようであった。


「……これは……一体……」


 このスペースが開いていた理由は?


 扉が、私とロムア様の元へと導いた理由は?


 全てがまるで繋がっているようで、私は背筋が泡立つ。


「とにかく、やることがたくさんあるわ。この魔法植物も、青い炎の薔薇も調べなくちゃ。お姉様の体調も気になるし、それに……ロムア様に適した魔力抑制剤も作らなくちゃ」


 やることがたくさんある。


 ただ時間は有限だ。


 私に出来ることを、しっかりと丁寧に、一つ一つ行っていくことが大切だ。


 背筋を伸ばし、私は気合を入れる。


「やるぞ! 頑張るぞ!」


 一人で気合を入れる。


 自分が誰かの役に立つかもしれない。


 それは私を動かす大きな原動力となった。


 今まで何もなかった私だけれど、人の役に立ちたい。


 そう強く思ったのであった。

 


イケメンロムア様。貴方を描けて作者として幸せです(●´ω`●)


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