二人の視点(レオドラン&リリアナ)
何だ、この可愛い生き物は……。
自分の事を貧相な恥ずかしい娘だと思っていたなんて。この天使と見間違える程の美貌を持つ少女が、ありえないだろう。
だから色々と努力していたのか。家族にとって自分が恥ずかしい存在じゃなくなるように。ああ、なんて健気なんだ。
母上の言うように出会って三か月以上も経つというのに、そんな勘違いに気付かせてあげられなかったなんて、本当に不甲斐ない。
けれど、俺を意識してくれた後の、この可愛さは何だ? 反則だ! て待てよ。
こんな無防備かつ可愛い姿、他の奴らの目に入ったら頭からパックリ食べられちまうぞ。まずい、ますますリリの周りを厳重にしなくてはいけない。
いっその事、城に住まわせたい。俺が二十四時間傍にいて守ってやりたい。王族権限フル活動したい。
……けど、そんな事しようものなら、確実に怯えられるよな。我慢、我慢だ、俺。
取り合えず俺からつけたユーリック家の警備、倍に増やすか。
お・驚いた。
私が本当に可愛かっただなんて……皆、気を使ってくれているものだとばかり思っていたわ。
でも、殿下も王妃様も可愛いと仰って下さった。
王妃様はお母様とそっくりだとも仰って下さっていたわ。確かにお母様はお可愛らしい容姿だわ。そんなお母様に似ているという事は、嘘じゃないという事。
お父様も素敵だし、お兄様もリクルも整った容姿をしている。じゃあ、私も? 皆より劣るかもしれないけれど、少し自信をもっていいのかしら?
それに殿下……レオン様。
レオン様ははいつも私を可愛いと仰って下さっていたけれど、本気だったの? あのプロポーズは本当で、本当に私を思って下さっていたの?
あの素敵なレオン様が……。
わ・私だって自分の事は分からないけれど、人の美醜ぐらいは分かっていたわ。だからレオン様が、信じられない程お綺麗な方だって事ぐらい分かる。
そんな方が私を本当に婚約者として望んでくれている?
でも、でも、レオン様は兄と同じ年で十六歳で、私はまだ十歳で、そんな本気なんて反対にいけないんじゃないの? あ、でもこの国では一桁の年で婚約する方は沢山いて、年の差なんて親子ほど、もしくは孫ほど離れている方達もいて、六歳何てたいした事じゃないのかな。
でも、でも、あんな素敵で優しい人が、病弱で家に引きこもっていた私を何で? どうして?
私を望んでくれている気持ちは良く分からないけれど、揶揄ってはいないんだよね。だって、凄く優しい人だから。
私が緊張するといけないから極力、人に会わないようにしてくれたり、疲れないよう休むように促してくれたりして、いつも私の事を気にかけてくれる。
そして以前も感じていたけれど、レオン様は兄とは古い友人。花弁の方だという確率は高い。
そうだったら私は……やだ、どうしよう。凄くドキドキしてきた。
熱なんかないのに、顔まで熱くなってきちゃった。
こんなこと考えてて、次会う時どうしたらいいんだろう? どんな顔したらいいの?
今日はいつもと違う温かい動悸で、眠れないかもしれない……。




