師匠
徐々に気温が低くなってきた頃、勝利は呂布、関羽、張飛、甘寧を連れて師匠を探す旅に出た。
甘寧は呉の将軍で、全員これからの戦いのための武術の修行が目的だった。
「勝利。本当にそいつ、この世界にいるのか?」
一緒に歩いていると、甘寧が聞いてきた。
「ああ、多分な。それぞれの世界で傑出した人物が集められているなら、まずいるはずだ。恐らくいる場所は、子午山」
「…強くなれる?勝利を、助けることができるくらい」
首を傾げて呂布が聞いてくる。
「ああ、もちろん。お前らを暫く預けるつもりだ。鍛えてもらえ」
「勝利殿!その、男性ではないのですか?大丈夫ですか?」
「ああ、絶対大丈夫だ。先生は、俗世に興味はない。その心配はいらない」
「なるほどー!楽しみになってきたな、お姉ちゃん!」
「…でも、勝利より強いって、本当なの?」
「ああ。俺は、最も得意な武器の棒ですら勝てない。味方についてくれたらかなり助かるが…、ついてはくれないだろうな。せいぜい、武術の指導をしてくれるだけだ」
「そんなになのか。でも、なんで味方をしてくれないんだ?」
「さっきいっただろ?俗世に興味がないんだ。外へ向けられることはない。内に、内に向かって行くんだ、先生の武術は」
数日後。大きな山が見えてきた。
「これが子午山か…。」
「本当にいるのかなぁ」
「とりあえず登ってみるか」
道は割としっかりしていて、怪我をする心配はなさそうだった。
「勝利殿。ところで、事前に何も言わず、突然行って大丈夫なのですか?それも、突然家になどと…」
「ああ、大丈夫だ。それに先生は、もう俺たちの存在に気づいているぞ」
「そんなバカな!そんなこと、人間にできるのか?」
甘寧が周囲を警戒し始めた。
「俺たちには無理だ。もう少し近づけば、多分先生の気を感じ取ることは俺はできるが…」
会話しながら歩いて行くと、小さな畑と小屋が見えてきた。
「先生はやっぱりいたな。ここまでくると、流石にわかる」
「…何か圧倒してくるようなものを感じる」
全員察知したらしく、緊張した顔をしていた。
老婆が、木の実などを入れた籠を持って遠くから歩いてきているのが見えた。勝利はそれに近づいた。
「お久しぶりです。お母様」
「あらあら。懐かしい息子が来ましたね。それも、女の子四人も連れて。自由にあがって大丈夫ですよ」
さりげない動作で、勝利は老婆の籠を持った。
「勝利殿!この方は…?」
「この方は、俺の師匠の王進先生の母親だ。ここで修行をする人の母親になる。お前らも、世話になるだろう」
老婆は、年齢ゆえのシワなどはあったが、気品があり、背筋もしっかりしていた。
「息子が帰ってくるまで、お話しでもしましょうか。勝利。今まで何してたか、聞かせてちょうだい」
「はい」
全員小屋にあがりこんで、今までの出来事などを話した。
何か強大な気が近づいて来たのと同時に、勝利は外へでた。
どこから気づいていたのか。王進は、全く驚かずに勝利に挨拶をした。
「勝利。見違えたな。武術の腕もまたあげたようではないか」
「王進先生。お久しぶりです。先生にはまだまだ敵わないですが、少しばかり強くなったと思います」
「武術は、人と比べるものではない。それはそれで、良いのだ。それで、どうした?」
「まずは一緒に、お茶を飲んで語り合いたいです。この長い期間に起こったこと、信じることはできないかもしれませんが、話しておきたいので」
勝利と王進は小屋に入り、みんなで話すことにした。




