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誰か助けて下さい!!!

 今回若干長めです(´-ω-`;)

アレクセイ君の生命の危機に頑張りすぎました<(_ _)>笑?

 あらかじめご了承下さいませ!

 アレクセイの容態は一刻を争うようなものに見えた。吐血をしてから、あまり息をしていないし、脈も弱い。このままでは心肺停止状態になるのも遅くはない。


 ナジアス殿下がすぐに指示を出して、医療魔術班を手配していたが、私にはただ待っている事など出来なかった。小さな頃から側にいてくれた人が死にそうになっているのだから。


 お父様もそうだった。一時的な処置しかできないそうだが、必死に呪文を唱え、アレクセイの脳に酸素が行き渡るようにしている。



 「誰か!医療に覚えのある方はいらっしゃいませんか!!!」


 私はアレクセイの身体にすがりながら叫んだ。

 

 『そんな事言われても…』『これは致命傷だよ』『イルファン伯爵が処置しているのだし、医療部隊を待つのが賢明ではないか?』ざわざわ


 ナジアス殿下の側で側近が倒れている=ナジアス殿下の暗殺未遂かもしれない。そんな図が彼らの頭の中で出来上がっていた。下手な事をすれば、立場が危うくなりかねない。


 言い訳ばかりが聴こえてきた。今更ながら、貴族社会に辟易する。そんな中…


 「僕たちにお任せください。治癒魔法と医療技術には自信があります」

 

 意外にも、名乗りを挙げたのは双子のリッパー兄弟であった。


 「ありがとうございます!お願い致します!!」

 

 アレクセイの顔は血の気が失せて蒼白くなっていた。もはや一刻の猶予も許さない。


 「ナジアス殿下!どこか近くのお部屋をお借りしてもよろしいでしょうか?」


 「あ、ああ…隣に使用していない部屋があるが…」

 

 「ありがとうございます!」


 父は慎重にアレクセイの身体を魔法で浮かし、隣室へと運び、リッパー兄弟と共に、私もその後ろについてゆく。


 「待て!私も行く!アレクセイは私の大切な従者だからな!」


 何故か焦った様子で、殿下はリッパー兄弟と私の間に入り込み付いてきた。

 

 「ちょっ!兄上!?」

 回廊に出ると、会場の出入口で龍兄ことセントバル殿下が追ってきていた。


 「叫ばなくともわかってる。セントバル!“後”は頼んだぞ!!」

 

 「わかりました。“ミレーネ”をよろしく頼みますよ!」


 「ふん。お前に言われなくともな!」


 (???)


 なにがよろしくなのだろうか?私じゃなくて、アレクセイが怪我をしているというのに。




 空き部屋のベッドの上にアレクセイを寝かせると、リッパー兄弟の一人が呪文を唱え、もう一人がめがメスを取りだし、アレクセイの身体に突き刺した事に、私は息を呑んだ。

 すると、呪文を唱えてた方が私の側に近より、落ち着かせるように、私の震えていた手を握ってくれた。


 「大丈夫ですよ。私たちは体内の仕組みに詳しいですから。治癒魔法も得意ですし、安心してお任せ下さい」


 「安心させたいなら目の前の治療に専念しろ」

 ナジアス殿下がリッパー(呪文担当?)を睨み付けた。2人の間に火花が見えたのは気のせいだろうか?


 「それもそうですね」

 ニコッと笑い、リッパー公爵子息はミレーネの手を放した。

 

 「お前も他の男に気安く触られてるんじゃない!」


 「…は、はぁ」

 何故か怒られた。ナジアス殿下の中では私が婚約者(決定)になっているようだ。ぶっちゃけ困る!第一、私が握った訳でもないのに理不尽すぎる!!


 (絶対この人と付き合ったら、束縛系の彼氏になるわ~……って、あれ?もう束縛し始めてる??)


 嫌な予想が頭をよぎったので、思わず頭をぶんぶん振って消し飛ばした。今はそんな事考えている場合ではない。


 

 今更ながら、リッパー兄弟がアレクセイの身体にどんな処置をするのか怖くなったが、私にはただ任せるしか出来なかった。


 (もし失敗でもしやがりましたら、コイツらのトラウマになるレベルに半殺しに致しましょう)


 メスを入れられ、治療を受けるアレクセイを見ながら私は思った。私の知ってる前世のオペとは違うため、どういう風に治療が進んでいるのかさっぱりわからない!段々不安と苛立ちが募ってきてしまった。

 (あー!もう!どうして私治癒魔法の勉強しとかなかったんだろう!!)

 今更ながら悔やまれる。自分の身体には必要ないからと言って、家庭教師から逃げ回るんじゃなかった。


 アレクセイの喉の辺りに入れた切り込みへと、魔法の光が次々と入り込んでいく。う~ん、なんか顔色はよくなってきた気がする。


 アレクセイの容態と共に心に余裕が出てくると、なにやら思案顔の父に気が付いた。

 「お父様、どうなさったの?」


 お父様は滅多にしない、真面目な顔で答えた。

 「…ミレーネ、すまない。これは私のせいだ」


 予想外の事を言われ、私は身構えた。

 「……え?どういう事なの!?お父様が犯人なの!??」


 「いや、そうではない!そう言う意味ではないよ!だから、頼むからその構えを解いてくれないかな。すんごく身の危険を感じるから!」


 そりゃそうだ。こんな酷いことをした犯人がお父様ならば、半殺しにした上で憲兵に引き渡すだろう。非人道的行為をする奴は人間のクズだと思っている。たとえ大切な身内でも、容赦する気はない。


 「アレクセイがうちの邸で、私が彼に魔法を教えていたのは知っているだろう?」

 確かに、彼がうちの家で執事をしてくれているのと同時に、こそこそとアレクセイは魔法の鍛練を行っていた。


 「それがどう関係してるの?」


 「…彼はその魔法を使ったんだよ。失敗すれば自らの体を傷付ける呪文をね」


 お父様は本当の事を言ってはいるが、大切な事を話していないのではないかと感じた。なぜかはわからないが。



 それは、頭で考えた訳ではなく、ミレーネの真実を知りたいという想いが魔力を介して形となった結果であった。


 「…それだけじゃない。何か私に言えない事があるのね」


 お父様は一瞬ではあったが、驚いたように目を見開いた。その反応で、私の“勘”は正しかったのだと確信した。

 

 父は私に諭すようにゆっくりと話してきた。


 「ミレーネ、お前が知りたい事を聞けば、お前の人生に大きな危険が迫るかもしれない。それでも聞きたいなら、ちゃんと話してあげるよ。そこまでの覚悟がないなら、私のせいだという事で怒りは収めておきなさい。私が今回の元凶なのは確かなのだからね」

 

 ボソッ「そんなの今更だし…」

 人生の危機なら沢山待ち受けているのだし、今更1つ増えた所で変わらない気がしてきた。


 「教えて、お父様。危険とかどうでもいいから。私、自分の身は守れるから」

 

 「え~、父さんはそういう問題じゃないと思うが…」

 

 「えぇい!ぐだぐだと前置きが長いのよ!良いから早く話してちょうだい!!」


 もしかしたら、ゲームの原作通りに進んでしまっているかもしれない。私はこのゲームしたことないからどうなるかなど知らない。

 危険なシナリオに足を踏み込もうとしているかもしれないが、そんなの知るか!


 私の人生は私が決めてやる!!!

 シナリオ無視の暴走ヒロインの、原作への逆襲が始まります( ; ゜Д゜)


 次回、脳筋の力は偉大なりをお送り致します。



 お読み下さり、ありがとうございました!!! 

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