【13】 『転出証明書』の入手方法は?
丹沢「話を進めます。ひとつは郵便で『転出届』を『棚加羅町役場』に出す方法です。運転免許証など本人確認ができる書類のコピーと返信用封筒を入れて送れば、『転出証明書』を送付してくれます」
爽香「それは、いいわね」
丹沢「もうひとつは、『福島県東白川郡棚加羅町』に誰か一緒に住んでいた家族がいれば、その人に頼んで、代理人として『転出届』を『棚加羅町役場』に出してもらうのです。そして受け取った『転出証明書』をあなた宛に送ってもらうのです」
爽香「それも、いいわね」
丹沢「いずれにせよ『転出証明書』が入手できましたら、それを持ってまたお越し願いますか?」
爽香「わかったわ。『転出証明書』が入手できたら、また、あなた丹沢さんの所へ来ればいいのね」
丹沢「いいえ、『転入届』は他の職員でも受けられますから、私でなくて結構です」
爽香「随分冷たいのね、こんなに長い時間お話ししたのに。あなた、あたしのこと嫌いなの?」
丹沢「好き嫌いの問題ではありません。この住民課では特にそのような指名制度はないと申し上げているのです」
爽香「じゃぁ、そこの後ろにいるあなたにしようかなー」
爽香に指をさされ、
少し後方にいた職員の戸部考一が、
戸部「また来たら丹沢を呼んでやってください。あなたみたいな人、こいつの好きなタイプですから」
爽香「そうでしょう、そうだと思った」
丹沢「勘弁してくださいよ、先輩」
爽香「じゃぁね」
爽香はきびすを返すと、
丹沢を見ることもなく、
自分の肩の上で軽く手を振って帰って行った。
時計は市役所の終了時間である
5時15分を、30分以上過ぎた
5時45分を指していた。




