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第9話 企業戦士、夜に本音をこぼす。

本作は「企業×能力バトル」をテーマにした物語です。

商談は戦闘。契約は勝敗。

その結果は株価として市場に反映されます。

現場、会議、市場——すべてが戦場です。

気軽に読んでいただければ嬉しいです。


夜。


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都内の路地裏。


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古い居酒屋。


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暖簾が揺れる。


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中田祥子が、静かに席に座る。


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すでに一人、先客。


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「……遅い」


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神楽坂綾。


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グラスを傾けている。


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「仕事です」


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中田が答える。


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「相変わらずね」


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ビールが二つ置かれる。


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乾杯はしない。


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しばらく無言。


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「……大きくなったわね」


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綾が言う。


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「会社も」


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「人も」


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中田は少しだけ間を置く。


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「そう見えますか」


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綾が笑う。


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「見えるわよ」


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「あなたがいるから」


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中田は何も言わない。


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箸が動く。


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静かな時間。


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「……あの人」


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綾が呟く。


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「時任っていったっけ」


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中田の手が一瞬止まる。


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「どう思う?」


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沈黙。


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「有能です」


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即答。


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綾がニヤリとする。


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「それだけ?」


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中田はグラスを持つ。


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「それ以上でも、それ以下でもありません」


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一口。


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綾がため息をつく。


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「つまんない答え」


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「昔はもうちょい、人間っぽかったのに」


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中田は視線を逸らす。


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「……変わったんです」


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綾が少しだけ真面目な顔になる。


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「それ、会社のせい?」


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中田

「……仕事です」


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綾が小さく笑う。


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「便利な言葉ね」


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少し間。


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「でもさ」


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綾がグラスを置く。


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「その仕事——」


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「誰のためにやってるの?」


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沈黙。


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中田は答えない。


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「会社?」


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「上?」


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「それとも——」


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一瞬。


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「自分?」


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中田がゆっくり顔を上げる。


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「……必要だからです」


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それだけ言う。


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綾はそれを見て、少しだけ目を細める。


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「変わったわね」


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小さく呟く。


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「でも——」


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「変わってない」


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意味深な一言。


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中田は何も聞かない。


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そのとき。


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店のテレビ。


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ニュースが流れる。


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『東都建材、急成長——』


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『帝央との競争激化』


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画面を見つめる二人。


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綾がぽつりと呟く。


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「……危ないわね」


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「このままだと」


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中田

「何がですか」


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綾は答えない。


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ただ一言。


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「あなた」


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「気をつけなさい」


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静かな声。


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中田がわずかに眉をひそめる。


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「何をですか」


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綾が笑う。


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「全部よ」


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立ち上がる。


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会計を済ませる。


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「今日は私が出す」


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「……珍しいですね」


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「気分」


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暖簾をくぐる。


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去り際。


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「……あの人」


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一瞬だけ振り向く。


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「ちゃんと見なさいよ」


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中田の目がわずかに揺れる。


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「仕事じゃなくて」


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「人として」


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そのまま去る。


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静寂。


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中田は一人残る。


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グラスの中。


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揺れる液体。


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「……人、ですか」


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小さく呟く。


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そのまま、飲み干す。


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夜。


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高層ビル最上階。


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明かりは一つだけ。


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鷹名。


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向かいに、誰か。


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顔は見えない。


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「条件は?」


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低い声。


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「一人だ」


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間。


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「たった一人でいい」


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鷹名は黙る。


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紙が差し出される。


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「代わりに——」


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「この利権は、東都のものになる」


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沈黙。


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鷹名が目を閉じる。


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「……名前は?」


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一拍。


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「——中田祥子」


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静寂。


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鷹名は目を開く。


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「……分かった」


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それだけ言う。


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握手はしない。


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ただ、決まった。


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場面転換。


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本社、廊下。


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綾が立ち止まる。


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誰もいないはずの場所。


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だが——


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「……聞こえた」


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小さく呟く。


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視線が上を向く。


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「……そういうこと」


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その目は、もう違っていた。


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遠く。


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白鷺レイ。


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「……選ばれたか」


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静かに笑う。


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企業戦士たちは。


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知らないところで——


---


“選別”されていた。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

本作ではバトルだけでなく、企業の成長や株価の動き、

情報戦なども含めて描いていきます。

少しでも面白いと感じていただけたら、

ブックマークや評価で応援していただけると励みになります。

今後ともよろしくお願いします。

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