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第7話 企業戦士、通し方を教える。

本作は「企業×能力バトル」をテーマにした物語です。

商談は戦闘。契約は勝敗。

その結果は株価として市場に反映されます。

現場、会議、市場——すべてが戦場です。

気軽に読んでいただければ嬉しいです。


早朝。


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東都建材、本社。


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まだ誰もいない。


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自動ドアが静かに開く。


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中田祥子。


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無音のオフィス。


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電源を入れる。


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コーヒーを一つ。


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机に置く。


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少し時間が経つ。


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再びドアの音。


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時任明。


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普段より、少しだけ早い。


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一瞬だけ、視線が合う。


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「……早いな」


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「いつも通りです」


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短い沈黙。


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机の上。


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コーヒーが、二つになっている。


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時任は何も言わず席に座る。


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静かな朝。


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場面は変わる。


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現場。


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まだ日が低い。


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「来たか」


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岡田が腕を組んで立っている。


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風間と剛田が並ぶ。


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「こんな時間に呼び出しっすか」


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風間が言う。


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岡田が笑う。


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「教育だ」


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空気が変わる。


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「お前ら——弱ぇからな」


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「は?」


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「……言いますね」


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岡田は気にしない。


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「速さも」


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「力も」


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「通ってねぇ」


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沈黙。


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「意味分かるか?」


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風間が首を振る。


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岡田が指を鳴らす。


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「来い」


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一瞬。


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拳。


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ドンッ!!


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風間が吹き飛ぶ。


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「ぐっ……!」


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「速ぇだけじゃ当たらねぇ」


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次。


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剛田が突っ込む。


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「うおおお!」


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岡田、受ける。


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ドンッ!!


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止まる。


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「重ぇだけじゃ抜けねぇ」


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静かに言う。


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「力ってのはな——」


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「通すもんだ」


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風間の目が変わる。


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(通す……?)


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剛田が歯を食いしばる。


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(押すだけじゃダメか)


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岡田が続ける。


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「速さは“隙を通す”」


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「力は“壁を通す”」


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「意味、考えろ」


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そのとき。


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「始まってるな」


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時任が現れる。


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岡田が笑う。


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「ちょうどいい」


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「見とけ」


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再び構える。


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風間が動く。


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今までと違う。


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(速さじゃない)


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(通す)


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一瞬のズレ。


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岡田の腕の内側。


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「そこだ!」


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拳が“通る”。


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岡田の目がわずかに細くなる。


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「……いいな」


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次。


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剛田。


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深く踏み込む。


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(押すんじゃない)


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(抜く)


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一点に力を集中。


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ドンッ!!


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岡田の体がわずかに揺れる。


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「……なるほど」


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岡田が笑う。


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「やりゃできんじゃねぇか」


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風間が息を吐く。


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「……見えました」


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剛田が笑う。


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「通す、か」


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その帰り。


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本社。


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廊下。


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女性が一人、立っている。


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「……久しぶりね」


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中田の足が止まる。


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「……綾」


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神楽坂綾。


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静かな視線。


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綾が時任を見る。


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「へぇ」


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「この人が、そうなんだ」


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時任が眉をひそめる。


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「……何の話だ?」


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中田は視線を逸らす。


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「……気にしないでください」


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綾が小さく笑う。


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「相変わらずね」


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すれ違う。


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一瞬だけ。


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綾の声が落ちる。


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「……気をつけなさい」


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誰に向けた言葉かは分からない。


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そのまま去る。


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沈黙。


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風間が小さく呟く。


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「……誰っすか、あの人」


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中田は答えない。


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時任も何も言わない。


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ただ——


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少しだけ空気が変わっていた。


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その頃。


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遠く。


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白鷺レイ。


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「……揃ってきた」


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静かに笑う。


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「だからこそ」


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「崩しがいがある」


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企業戦士たちは。


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それぞれの“通し方”を知り始めた。


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だが——


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まだ知らない。


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本当に通すべきものを。


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戦いは、次の段階へ進む。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

本作ではバトルだけでなく、企業の成長や株価の動き、

情報戦なども含めて描いていきます。

少しでも面白いと感じていただけたら、

ブックマークや評価で応援していただけると励みになります。

今後ともよろしくお願いします。

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