第四十五話 トラウト領到着
「はい! はい! 私はラミエルです。よろしくお願いします!」
少し涙を浮かべながら満面の笑みで自己紹介、俺はやった後だが正式にもう一回だな。
「ユウマです。よろしくお願いします」
「セイラです。これからよろしくね♪」
「ナニーと申します。どうぞよろしくお願いいたします」
「ルキフェルじゃ! ルキと呼ぶことを許そう!」
偉そうだなルキ、あははははは。
「フウにゃ、よろしくにゃ」
おお、そうだなフウも仲間だしな。
「はい、皆さんよろしくお願いしま······す? 猫さん喋りませんでしたか?」
「喋るにゃよ」
「なんですとぉー!」
そんな感じでラミエルは新たな仲間になりました。
雨は勢いをそのままに降り続け、明け方にやっと小降りになりました。
小降りにはなったが、川の水量が増えているため橋を下ろす事が出来ないでいる。
「川岸まで行って聴いてきたんだけど、数日は無理そう、川上にも大きな橋がかかっているらしく、そっちから行く方が微妙に早いかも、だってさ」
「夜中に飛んで行っちゃいません♪」
「そうですわね、それがそれがよろしいかと」
「昼間は見つかり、目立ってしまうからのぉ」
「飛ぶ? 川に落ちてしまいますよ?」
ラミエルは知らないからね。
「夜まで待たずに、人気の無いところまで移動してしまわない?」
「「賛成~♪」」
「力は秘密じゃからな、では行くとしよう!」
あはは、ルキが取り仕切ってるみたいじゃん。
持ち運びハウスを収納し馬車を列から外して川下に向かう事にした。
だってさ、森が見えてるからね。
しばらく森に向かって走り続け、川沿いの街道が下り坂で後ろからは見えず、前方は遠くまで見通せる場所で停止し、俺は単身対岸へ転移。街道に人気の無い事を確認して、馬車や馬さんごとこちらに転移させた。
そして何食わぬ顔でトラウト領に入ったのである。
橋を渡る者達がいないため、並ぶ事無く対岸に見えていた街に入ることが出来た。
門を抜け、冒険者ギルドの場所を聞くと、大通りをまっすぐ走り、この門とは反対側の門に隣接して建っているとの事で大通りを安全速度で進んでいる。
「大きな街ですね、でもなんだか暗い雰囲気ですね、活気がないと言うか、暮らしづらい街なのでしょうか」
ラミエルとルキは、御者台の背面部にある小窓から顔を出して街を観察しているのだが、窓の縁に顎を乗せているからなんとも可愛い。
「たぶんな、屋台も殆ど無いしね、人通りも大通りにしたらスゴく少ないみたいだし」
「雨で橋から人が来ないからですかね?」
「それはあるかも、宿も沢山あるけど馬車は停まっている数が少ないよな、もしかすると主要な産業が観光系で、お客である人達がこなけりゃ活気がないのも頷けるね」
その話は当たりだった様で、街の中央くらいから人の多さが目に見えて増え、門が見える頃には大にぎわいになり、屋台も所狭しと出店されていて、屋台目当ての人達がわいわいと買い物や冷やかしをしている。
「ラミエルの言った通りだな、こっちは大にぎわいだ」
「うむ、ラミエルは中々洞察力があるのぉ」
「えへへ、そ、そんな事ありませんよ~♪」
なぜか俺にはラミエルが馬車の中でくねくねしている姿を見た様な気がした。
「ほれ、ユウマよ。冒険者ギルドが見えてきたぞ、パーティー組むのじゃろ? 私も冒険者になるぞ」
「え? ルキは冒険者になってなかったの?」
「当たり前じゃ、悪魔がなれる訳がなかろう。じゃが今回は偽装して冒険者になってやるのじゃ、数値はユウマとセイラの偽装レベルに合わせてな」
「そんな事出来るの?」
「なんじゃ、知らんのか? スキルに偽装があるじゃろ」
どれどれ、いっぱいスキルがあるから、ちゃんと見てなかったからなぁ、ふむふむあるね、『偽装』『隠密』『暗殺術』なんて物騒なのもあるし、大概の犯罪は出来そうなラインアップである。
「あるね。じゃあ5人パーティーだな、よろしくね2人とも」
「「うむ」」
冒険者ギルドに到着し、皆で中に入りルキの登録と、ラミエルも含めたパーティー登録をした。
「忍君達は居なさそうだね、とりあえず宿を取ろうか?」
「忍君達はもしかしたら、街の外に持ち運びハウスを建ててるかもね~、雨で渡ってこないと思っている筈だから」
それはあり得るな。
「よし、宿より持ち運びハウスの方がゆったり出来るし、街を出よう」
「うむ、では、参るぞ!」
あはは、ルキ隊長だな。
順調に門を出て、街道の先を見るとやっぱり持ち運びハウスが街道から草原にそこそこ入ったところに建ててあった。よし、その隣だな。
俺達もログハウスを建てて、お隣さんに挨拶を。
コンコンコン
『は~い、どちら様ですか?』
忍君の様です。
「ユウマだ、追い付いたぞ」
カチャ
「ユウマさん早かったですね。川はもう渡れるようになったのですか?」
「まだだな、俺達は飛び越えただけだよ」
「あはは、とりあえず入って下さい、って増えてますよ!」
「ま、まあな、拾ってしまった」
中に通されソファーで皆が腰を落ち着ける。
ラミエルの自己紹介も終わり、情報を聞いているのだが。
「この街の住人ですが、男性の半分は暗殺ギルド員、女性も一割程度そうですね」
「マジか······多すぎない?」
「僕もそう思いました。ここに持ち運びハウス建ててから毎晩の様に襲ってきますよ。毎回捕まえて、次の朝衛兵に引き渡す。それだけで暮らせますよ本当に」
「はぁぁ。それならいっそ全員で来てくれれば一度に済むのにな」
「本当ですよ、その仕込みはしましたけれどね」
「ほお。ハーレム王、その仕込みとは?」
「ハーレム公爵殿、ダンジョンを攻略しました。すると黒貨幣が10枚貰えますよね? 今朝冒険者ギルドで攻略達成の報告をしたので今夜はパーティーナイトです! あははははは!」
「あははははは! それで門から出てすぐの所じゃなくて、離れて建ててあったのか」
「その通りです、こんな美味しいエサは中々無いでしょ?」
そしてその言葉通り、夜も遅くなった頃、街方から沢山の気配が出てきた。
忍君達の持ち運びハウスは囮で、皆はログハウスに集まっています。
窓を全開にして集まってくる者達を皆で待っているのだが、兵士さんや、なにやら煌びやかな服を着た奴が馬に乗ってやってくる。
「忍君。あの貴族っぽいのもだね、この街の代官か、トップからそれじゃぁなぁ」
「トラウトの親戚筋ですよ。出てきて欲しいと思っていたのでラッキーですね、これで一網打尽が出来ますから」
「だな、んじゃ俺が搾取してしまうから、奴隷の腕輪を嵌めていってくれるかな」
「分かりました。奴隷の腕輪は僕も大量に作りましたから、足りなかったら言って下さいね」
「おお! それは助かるよ。よし、向こうが布陣を組んだら一気に行くよ」
「「「は~い♪」」」
そして俺たちの方を向き、門から来る最後尾が合流したところで。
「搾取!」
俺が放つと同時に皆で飛び出し、片っ端から腕輪を嵌めていく。
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