効果は絶大……?
11月14日にビーズログ文庫様より『小動物系令嬢は氷の王子に溺愛される10』が発売されます。
これにて完結となり、これまで応援してくださった皆様に感謝の気持ちを込めて、番外編をアップさせて頂きました(ㅅ´꒳` )
「リリアーナ嬢? どうした? 何か問題が?」
目の前で首を傾げるダニエルに、リリアーナはプルプルと体を震わせて視線を足もとに向けながら、心の中で激しく叫んでいた。
(問題しかありませんわーー!!)
なぜなら、ダニエルの鼻毛がモッサーと生えていたのだから。
(見てはダメ、見てはダメ。私は淑女、私は淑女。絶対に笑ってはいけませんわ!)
唇を噛み、ダニエルから見えないようにスカートの上から太ももを抓って必死に笑いを堪えるも限界が近く、
「あ、あのっ、私、用事を思い出しましたので、失礼しますわ!」
言うが早いか、リリアーナは脱兎のごとく淑女の全速力で逃げ出し、渡り廊下の柱の蔭でそっと息を吐いた。
「ここまで来れば、もう大丈夫ですわね。それはそうとして、アレは……。もしかして、私が願った『鼻毛が三倍速で伸びますように』というお祈りの効果ですの?」
いくら何でも効き過ぎでは? と焦りはしたものの、すぐに考え直す。
「だとしても、お祈りされるようなことをした彼がいけないのですわ。……それにしても、あのモッサー具合は恐ろしいですわね。我ながら、本当によく笑わずにいられたと感心しますわ。次も耐えられるか自信はないですが、王宮は広いですし、そうそうお会いすることもないでしょう」
などと思っていたのに。
「お、リリアーナ嬢」
また会ったな、とばかりに片手を上げてニカッと眩しい笑みを浮かべるダニエルの鼻毛モッサーに、リリアーナの笑顔が引き攣る。
王太子妃教育でほぼ毎日王宮に通うリリアーナだが、どちらかといえば会わない日の方が多いというのに、どうして今日に限って……。
「つ、次の授業がありますので、失礼いたしますわ〜!」
言いながら、慌てて踵を返す。
(さすがに今日はもう顔を合わすことはないでしょう)
だがしかし、二度あることは三度あるとはよく言ったもの。
今日の分の王太子妃教育が終わり、屋敷に帰るべく馬車寄せに向かう途中にバッタリ遭遇してしまったのだ。
「「あ……」」
完全に油断していたリリアーナは「ブフッ」と噴き出しかけて慌てて「ゴホン」と咳で誤魔化すが、
「大丈夫か?」
とダニエルが心配そうに顔を覗き込んでくる。
「だ、大丈夫ですわ。本日の王太子妃教育も終わりましたので、あとは帰るだけですから」
「じゃあ、馬車寄せまで送ろう」
「いえ、うつしてはいけませんから、ここで大丈夫です! お気持ちだけ頂きますわ!」
これ以上は我慢の限界だと、リリアーナは半ば叫ぶようにして、本日何度目かの淑女の全速力で逃げ出した。
(ダニエル様が私の腹筋を殺しに来ていますわーー!!)
◇◇◇
「……という夢を見ましたの」
そう言ってひと息ついたリリアーナの前で、イアンとエイデンはお腹を抱えて机に突っ伏している。
「リ、リリが私達の腹筋を殺しにきている...…」
「モッサー具合って……」
笑い過ぎて呼吸困難な兄弟二人をよそに、紅茶をおかわりするリリアーナ。
何はともあれ、ヴィリアーズ邸は今日も兄妹仲良く平和です。
続きを、とのお声掛けを頂き、連載再開することに致しました。
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