63 好きなジャズ名盤紹介10(ウェス・モンゴメリー)
ジャズ名盤紹介も12枚程度紹介したら、一旦終わらせようと考えているのですが(なにしろきりがないので)、皆様が興味持てるように中途半端に休止するような変な感じにならないよう気をつけたいと思います。
今回のテーマは「ジャズギター」です。
前々回あたりからホーン楽器のジャズの紹介を始めているのですが、今回は趣向を変えて、ジャズギターの名盤の紹介になります。
ジャズファンと話をするとわりとよくされるのが「好きな楽器は何?」という質問です。ジャズ喫茶でチャールス・ミンガスのべースに聞き入っていたら、常連さんに「ベースが好きなの?」と聴かれたこともあります。
また、ジャズ専門のCDショップに行くと、楽器別にCDが置かれています。そういうところからもジャズが「楽器別」に聴かれているものだということが分かります。
僕もまずジャズピアノを聴くことからはじめて、すぐにホーン楽器の魅力に迫りたくなって、アルトサックスのジャズを聴くようになりました。そしてさらに楽器の魅力を知りたいと思って、ヴァイブ(鉄琴のようなやつ)のジャズを聴き、オルガンジャズにも手を出しました。イヤホンをして、アートブレイキーのドラムソロを初めて聴いたときも、打楽器のサウンドを映像もなしに楽しんでいるということ自体に、非常に感動した記憶があります。楽器の魅力が分かれば分かるほど、ジャズの世界は広がっていくようでした。
その流れで、僕はジャズギターに興味を持ったのです。
今回、紹介するジャズギターの名盤は、ウェス・モンゴメリーの「インクレディブル・ジャズギター」です。
ジャズの世界では、めちゃくちゃ有名な名盤で、その収録曲の中でも「フォア・オン・シックス」は仕事等めっちゃ疲れてジャズなんか聴きたくないという夜でもつい聴いてしまう一曲。
ウェスは、エレキギターをピックではなく、指で弾いているというタフな男で、そのせいか、音色がソフトな印象があります。(ジャズ批評にはこれが「濁っている音」と表現されているところもあった。)このウェスの演奏からジャズギターに入った僕は、他のジャズギタリストの演奏を聴くと「音、きっついな」と思ってしまう。
ウェスはギターにおけるオクターブ奏法を確立した人、ということでも有名ですが(オクターブ異なる音を同時に出すこと、かな?) 僕は彼がオクターブ奏法をしているところよりも、シングルトーン(単音)をリズミカルに響かせているところの方が心も体もスウィングして、楽しく感じられます。とにかく音色が美しい……!
ジャズギターを確立した人物は三人いて、そのうちの一人であるヨーロッパ人のジャンゴ・ラインハルト演奏は端正です。これに比べて、ウェス・モンゴメリーの演奏は、粋で洒脱といいますか、そのフレーズやリズム感に、黒人の感覚がみなぎっているように感じられます。
それにつけても「フォア・オン・シックス」かっこいいですね。
エレキギターならやっぱりロックでしょ!という声も方々から聴こえてきますが(下手するとそう叫びながらステージに躍り出て、エレキギターを弾きまくる人がいるかもしれない……それはともかく)一度、ジャズギターのグルーヴと癒しを味わってほしいと思って書きました。
珈琲とチーズケーキを食べながら……。
もう一曲は「イン・ユア・オウン・スウィート・ウェイ」です。
こちらはしっとりとしたバラード。素晴らしいですね。聴いているとすぐに眠くなってしまう。それではおやすみなさい。ジャズライフをお楽しみください。すやすや。




