33 雑談 5 ジャズ入門とは
突然ですが、ジャズのエッセイ「ジャズ三昧!」を非公開にしました。その理由は、まだ自分の知識が足らない時期に書いたものなので、自分で内容に納得がいかなくなったのと、他の方が読まれた時にどう捉えられるか、気になったからです。それで、非公開とは言いつつも、ブックマークなどからは継続して読めますので、気になる方は、密やかにお楽しみくださいませ。
代わりに、ジャズに関する雑談は、こちらの方で行ってゆきます。
コロナによる自粛が続いているので、家で音楽を聴くことが多いのですが、どういう状態かというと、ジャズをホームグラウンドにして、時々、クラシックとロックにふらふらと遊びにいっています。何故、ジャズに戻ってきてしまうのか、についてはそもそもフィーリングが合っているのと、蓄えてきた知識や経験が多いから、楽しくなりやすいし、曲によっては懐かしさもあるのです。
さて、このジャズというものは、誰もが一度は聴いてみたいと思っている音楽のジャンルではないでしょうか。お洒落だし、かっこいいし。でも、よく分からない、何から聴けばいいか分からない。そういう方のために「ジャズ三昧」は書かれたのですが、それをもっと面白くやってしまおうという今回の企画。そういう方はLIN○のミュージックとか、YouTub○の動画とかで、検索して聴いていただいていいと思います。でも、そうすると本当に有名なジャズよりも、勉強や仕事のBGM的な音源がよく出てきて、なかなか、本格的なジャズの世界には入っていけなかったりします。
そもそも、ジャズというのは実は曲者でして、聴く前に思い描いているジャズとは、まったく異なる雰囲気のジャズが沢山あるのです。それにぶち当たり続けた時にどうするか。これは、僕自身が勝手に思っていたジャズのイメージですが、僕にとってジャズといえば、お洒落なジャズピアノでした。ホテルやバーで演奏されるイメージです。だから、それを求めて聴きだしたのですが、どちらかというと、泥臭い感じのブルースっぽいファンキージャズなどにぶち当たり、思っているような演奏はあまり見つかりませんでした。それだけでなく、ラテン系の明るいノリのボサノヴァジャズや、電子楽器が入ってきたサイケな演奏とか、そういうジャズの幅広さの中で、僕が求めていたものとは異なるものの魅力にもだんだん取り憑かれていったわけです。しかし、そのために、ジャズを楽しむことを諦めてしまう方も多いと思います。求めているものがなかなか見つからないから。
ここで僕が聴き出す前に求めていたジャズピアニストとは結局、誰だったのか、というと、ビル・エヴァンスだったんです。ビル・エヴァンスの「ワルツ・フォー・デビイ」のイメージが、僕のジャズのすべてだったわけです。エヴァンスのジャズは、どちらかというとクラシカルなイメージのジャズです。つまり、僕はブルースっぽいジャズよりも、はじめからクラシカルなジャズに寄ったイメージをもっていて、それが好きだったわけです。
だから、マイルス・デイヴィスやジョン・コルトレーン、ソニー・ロリンズといった巨匠のCDを次々と聴いていった僕ははじめ、どれも僕が持っていたジャズのイメージと異なることに困惑したわけです。
つまり、ジャズの領域は非常に幅広いわけです。その中で、迷子になってしまう可能性は非常にある。そこで、とにかくまず、ビル・エヴァンスのアルバム「ワルツ・フォー・デビイ」を聴くことをお勧めします。女の人の横顔のシルエットのやつです。
で、こういうのが沢山あるかというと、そうでもない。ビル・エヴァンスにしても、ここまで、しっとりしているのはない。それには理由があります。ベース(コントラバス)を弾いているスコット・ラファロが交通事故ですぐに亡くなってしまうんです。で、このスコット・ラファロのベースがとても良いんです。
ちなみに、僕はエヴァンスといえば、「ライブ・アット・ザ・モントルー・ジャズ・フェスティバル」いわゆる「お城のエヴァンス」の「ア・スリーピング・ビー」という曲が大好きです。
さて、ジャズピアノだけでなく、サックスの音色も味わいたくなってくるというもの。そこで、お勧めなのが、ビルエヴァンスとキャノンボール・アダレイがやっている「ノウ・ホワット・アイ・ミーン」というアルバムの「ワルツ・フォー・デビイ」です。僕は、この演奏がやたら好きでした。なんか、白い空間に、口髭をはやしたキャノンボールがサックスを握って、こっちを見つめているやつです。
お洒落でクラシカルなジャズの道はまだまだありますが、その代表例は、MJQになります。MJQとは、モダン・ジャズ・カルテットという名のグループです。簡単に言うと、ミルト・ジャクソンという人が、ヴァイブという名のヴィブラートの加わる鉄琴をしっとりと弾いています。僕は「ファンテッサ」と「ベニス」が好きです。特に「ベニス」は最高です。
そして、ジャズピアノを味わうのにふさわしいのが、オスカー・ピーターソンであります。オスカー・ピーターソンで有名なアルバムが「プリーズ・リクエスト」であります。さて、僕が今のところ、一番好きなオスカー・ピーターソンの演奏は、「ザ・トリオ」というアルバムの「シカゴ」という曲です。最高なので、もしよかったら聴いてみてくださいませ。オスカー・ピーターソンが横に向いて笑っているやつです。オスカー・ピーターソンって、こんな風にスウィンギーなノリの良い曲を、超絶技巧で弾くイメージがあります。
入門にふさわしい曲を紹介していった締めくくりとして、モダンジャズの開祖、チャーリー・パーカーの演奏もご紹介します。天才的なアルトサックスプレイヤーです。彼は「チャーリー・パーカー・ウィズ・ストリングス」というとても聴きやすいアルバムがあって、弦楽隊を背に、ひとり吹きまくるという好演になっています。その中で「ジャスト・フレンズ」と「エブリシング・ハプンズ・トゥー・ミー」という曲が素晴らしいです。
ちなみに僕は、パーカーならアルバム「バードアンドディズ」の「アン・オスカー・トレッド・ウェル」とか、サヴォイ盤の「ココ」とか「ヤードバード組曲」「ナウズ・ザ・タイム」などが好きですね。
それでは。




