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21 ジャズ紹介 1

 前回、旅行記の一を書いたものだから、今回は旅行記の二を書こうと思っていたのですが、どうにも書き進められないので、違う話題を挟もうと思いました。なるほど、エッセイにもスランプってあるんだなぁ……と変なことに感心している僕です。


 さて、今日は、ジャズについて書こうと思っています。ジャズとは何かというところからして、皆さまはあまり分かっておいでではないような気がするので、そのあたりから、説明を始めるとしましょう。

 一言でいうならジャズとは「アドリブのある演奏」のことです。こんな大雑把なことを言うと、かえって皆さまを煙に巻くようですが、細かい特徴をいくら述べたところで、結局本質的ではないのです。ジャズは何かと言ったら「アドリブのある演奏」のことだと考えてもらっていいと思います。

 というわけで(おい)、僕のお勧めの演奏を紹介していきます。


 その前に、皆さまに、ジャズに対してどんな印象を持っているか、お聞きしたいと思います。


1 お洒落なバラード

2 ファンキーな演奏

3 魂の叫び


 この三つのうち、三つともイメージを事前に持っていれば良いのですが、大抵の人は、1のイメージだけが固定観念的に強いようです。もちろん、ゆったりとしたバラード曲も多いことは多いのですが、ジャズはどちらかというと緊張感のみなぎる演奏が多く、有名どころを調べて聞こうとすると、凄まじい演奏や難解な演奏に必ず突き当たります。そこで「イメージと違った」とギブアップしてしまう人は多いようです。はじめに書いておきますが、エキサイトする演奏も素晴らしいものです。キレッキレのドラムソロや、魂の叫びのようなトランペット、そして、ミステリアスなピアノ曲など、強烈であるがゆえに入り込むのに時間がかかる名曲がありますが、一度入ってしまえば、感動に次ぐ感動です。


 さて、皆さんがはじめてジャズを聴こうと思った時、いきなりCDを買いに出かけたりはしないでしょう。おそらく、ユーチュー◯で検索したり、◯タヤで借りることでしょう。その時には、出来るだけ、有名なものを借りようと思うことでしょう。どこかで聴いたことがあるやつにしようと思うことでしょう。それでジャズの中で一番有名な、マイルスデイヴィスの『カインド・オブ・ブルー』か何かを借りてきて、なんだこれは……、と思うことでしょう。


 残念なことに、有名どころのジャズは、それなりに高度で難解な内容であり、複雑なものなのです。必ずしも、入門に向いているわけではありません。

 前述した『カインド・オブ・ブルー』は、それまでの「コードに基づくアドリブ演奏」がマンネリに陥っているという現状を打破するために、マイルス・デイヴィスが、コード進行を極端に単純化し、コードの代わりに、モード(音列)に基づくアドリブを行ったという、極めて前衛的な作品でした。


 しかし、僕は、はじめにこれを聴くのはお勧めしません……。


 じゃあ、何から聴くべきか。基本的には、聴きやすいやつから始めて、徐々にハイレベルなやつに進んでいきます。それは、アート・ブレイキー率いるジャズ・メッセンジャーズの『モーニン』のような人気曲です。


 それでは、入門向きのお勧めの曲。


1 モーニン(ジャズ・メッセンジャーズ)

 ファンキージャズ路線。日本人なら聞いたことのあるテーマ(オープニング部分など)。粋なトランペッター、リー・モーガンのファンキーなアドリブ演奏は必見。スウィングしているジャズピアノも楽しい。


2 ワルツ・フォー・デビイ(ビル・エヴァンス)

 ピアニスト、ビル・エヴァンスの美しい一曲。スコット・ラファロの奏でるベースの音がたまらなく心地よい。ゆったりとした心地になれる名曲の中の名曲。


3 酒とバラの日々 (オスカー・ピーターソン)

 超絶技巧のピアニスト、オスカー・ピーターソンからの一曲。聴きやすさに定評あり。


 さて、以上は聴きやすい曲として紹介したのですが、質が劣っているわけではありません。どれも素晴らしい名曲です。特に3あたりは大好きです。


 さて、次に覚えておくと便利な名プレイヤーの名前です。簡単な解説もつけています。CDを借りようとして、知っている名前がないとパニックになってしまいますからね。


1 マイルス・デイヴィス……ジャズの帝王。

2 ジョン・コルトレーン……サックスの神。

3 ソニー・ロリンズ……豪快で洒脱なテナーサックスプレイヤー。

4 ビル・エヴァンス……リリカルで繊細な音を奏でるピアニスト。

5 セロニアス・モンク……謎の男。

6 アート・ブレイキー……野性的なドラマー。

7 コールマン・ホーキンス……テナーサックスの父。

8 ミルト・ジャクソン……ジャズ・ヴァイヴ(鉄琴)の達人。

9 チャーリー・パーカー……モダンジャズの開祖。バード。

10 オスカー・ピーターソン……超絶技巧のピアニスト。

11 デューク・エリントン……スウィングジャズの第一人者。

12 ルイ・アームストロング……ジャズの父。


 この12人は最重要人物ということで挙げさせていただきました。まあ、こんなものでしょう。それで個人的な楽器別プレイヤーベスト3を挙げたいと思います。参考までに。(以下ランキングは、今日の気分に基づいています。無責任に変動しますので、ご注意ください)


●テナーサックス


1 ソニー・ロリンズ

2 ジョン・コルトレーン

3 コールマン・ホーキンス


●アルトサックス


1 チャーリー・パーカー

2 アート・ペッパー

3 キャノンボール・アダレイ


●ピアノ


1 セロニアス・モンク

2 ミシェル・ペトルチアーニ

3 オスカー・ピーターソン


●ドラム

1 トニー・ウィリアムス

2 アート・ブレイキー

3 エルビン・ジョーンズ


●ベース

1 チャーリー・ヘイデン

2 スコット・ラファロ

3 チャールズ・ミンガス


 今日の気分はこんな感じです。


 それで、今日の一曲として、ご紹介したいのは、ビル・エヴァンスの『ポートレイト・イン・ジャズ』から「サムデイ・マイ・プリンス・ウィルカム」です。録音は1959年。ベースが、スコット・ラファロなのにご注目ください。それで、エヴァンスはモンクを尊敬していたとか言いますが、なんとなく、それが感じられる一曲なので、是非、楽しんでお聞きください。……とラジオっぽいことを言っておきます。


 また、気が向いたら、ジャズについて書きたいと思います。

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