無双で最強とかそんなの夢ですから。
無双なんて出来るはずも無く。
【小鬼】である、目の前に多数の【小鬼】がうろついている。
大きいの小さいの、武装はたいして変わらない、その数見た感じだけで40余、隠れている者がいるとすればもう少し増えるだろう。
アレから結構いろいろと考えたんですよ? 逃げた方がいいんじゃないか? とかね。
でも逃げると【小鬼】が増えて、結果自分の住む環境が脅かされるのは違いないんだし、ならば連中を狩るのは早いか遅いかの違いでしかない。
それを狩るのが俺なの? って話だが他に頼れる知り合いいないからな! ぼっちだよちくしょう。
そう思ってやって来た訳ですよ、やってきたら予想以上に【小鬼】が多くてちょっと困ってます。
とまあ正攻法でいくのは無理そうなので、ここはもう卑怯になろうと思います、ええ、いざとなったら毒でもなんでも使わせていただこうかと思います。
とはいえ流石に手が不足気味、なので少し観察してみようかと思います。
夜の間、彼らは少数の見張りをおいて自分達の集落を守っている、火を使ってる様子はないが完全に夜目が利くと言う訳でも無さそうだ、日が暮れてからは特にこの集団の外にいく者や外から来る者もいない、中からは「ギャギャ」とか「ゲゲゲ」とかの声しか聞こえない、いるのは連中だけだと思いたい、よくあるR18な展開があったとして助けにはいるのが俺ではそのままホラー直行だろう。
この場所は彼らの群れの集落っぽい物なのだろう、落ち葉を集めて上に横になってたり、簡単な木組みで雨避けの屋根を作ったりもしてあった。
食料は何かの肉っぽい物や木の実に果物、想定内である、そしてうってつけである。
【魔力視】を使いながら繁みを使って移動、集落の周辺、魔手が届くギリギリの範囲へ、今夜は少し風があるおかげで移動は左程難しくもない、しいて言えば俺の葉っぱが揺れて俺が煩い位。
見張からは少しはなれている、ならばこの辺りでいいだろう【結実】【熟成】効果は虫の誘引、灯りはないがもともと虫は夜行性が多いだろうしやって見るに限る、近くの繁みの根元に放りやる。
程無くして虫が集まってくる、想像以上だ! やはり夜行性の虫が多かったらしい、効果に気合を入れすぎたせいではないと思いたい。 ガサガサギチギチと賑やかだ。
そしてその音を利きつけた見張が寄ってくる、これが本命である、繁みを覗きこんだ所で魔手を伸ばし即吸収、戻ってこないのを心配したのか寄ってきた奴もそのまま後を追って貰う、これで見張りは反対側だけだ、しかし明かりは使わないけど見張りは立てるって知識が中途半端な気がするな、多少でも夜目が利くならいいのかね。
後はコソコソと集落内を動き【魔力視】を使い範囲内にいる奴を片っ端から吸い上げていく、途中魔力の吸いすぎと言う事がない様に適度に吸ったら【結実】で幻覚効果の実を生み出して落としていく、少し甘くなる様に調整しておこう。
一晩で誰にも見つからず全員吸い上げるのは流石に無理だったので一番犠牲者が多かった場所に虫の誘引の実を【完熟】させずに潰さない様に死体の下に敷いておく、少し動かせば潰れるだろう、集落の外に戻りまた木のフリに戻る。
この作戦は見つかっては意味がなくなるのだ、見つかって戦闘になっても俺戦えないと思うし?
一夜明け、【小鬼】が混乱している、【振動感知】さんもあっちこっちに走り回る振動を拾っている、そりゃあそうだ、気がつけば半数の仲間が外傷も無く死んでるんだから。
一部には虫も集まっている事だろう、自然に帰るがいい、この世界死体放置でゾンビ化とかあるんだろうか? あったらちょっと今後の方針を考える必要もあるだろう。
そう思って見てたら皆して死体から首を切り離し始めた、石斧だろうか? あまり良い切れ味では無さそうだ、あれ人型だけど普通に見れてるな俺、猪バラすので慣れてたかな? 猪は割と平気だった記憶がある、ああ、きっと最適化もされたんだろう。
ああやって首を切り離しておけば大丈夫なんだろうか?、他の【小鬼】がそのまま死体を引き摺っていく、離れた位置に埋めるか捨てるかするのだろう、そういや俺が最初に倒した2匹はそのまま放置して来たけど大丈夫だろうか?
えー現在の状況、その結果が今【小鬼】相手に眼前で暴れております、ゾンビ化しても帰巣本能? とかあったんだろうか、とにかく彼らは帰ってきた、死体のままで。
硬直して動きはぎこちないが身体へのリミッターとか無いせいだろう、振り回す腕の一撃が棍棒並だ、小さな【小鬼】等はそれを受けるだけで吹き飛んでいる。
だがどんなに暴れても意思のない2体でしかない、木槍で動きを止められ、程無くして頭を潰された、後は他の死体と同じ扱いである、割とあっさりしてるなこのへんの対応。
【小鬼】達はここを去るつもりは無いらしい、虫を追い出したり落ち葉を交換したりと走り回っている。
流石にあれだけ騒いでも幻覚の実に手を出す奴はいなかったようだが、彼等は寝る場所を変えるつもりもないらしく、日が落ちるとまた静かになっていく。
不思議なことに死亡者がでたほうに見張りがたっていない、人数が足りない訳でもなさそうだが、と更に観察していると中から複数の狂乱状態の叫び声、どうやら幻覚の実を食べてた奴がいたらしい、あれって効果がでるのに時間差があったのか。
再び大騒ぎ、狂乱状態になった奴は簡単に戻ることはなく、周囲から散々殴られて息も絶え絶えのまま静かになった、もしかしたらほんとに息絶えたのかもしれない。
こうして生存者の約半数が負傷者、しかも重度の疲労付という状況で、彼らは二度と明けない夜を迎える事になったのだった。
魔手でもちゃんと石斧は振れました。
なんて酷い奴なんだ!




