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「宗親クンの寝起き、やっぱヤバイ。ギャップがハンパねぇ」
吾妻と二条と紫羽は、昼食に焼肉を食べに来ていた。
「龍一お兄さん、もうその話いいよ」
紫羽から俺だけ距離感じるからと、敬語で話すのをやめた二条。自然に話しているように見えて、どこかぎこちなさがある。
「そうだ、宗親クン。可愛い龍臣について教えてやろうか?」
「え!知りたい!」
二条は食い気味に、紫羽が提示した話題に食い付く。
「おい、ちょっと待て龍一。何話す気だ」
吾妻を無視して紫羽は話し出す。
「修学旅行の時の話なんだけどさ、ベッドデカかったから俺と龍臣で一つのベッドで一緒に寝たのよ。朝目覚めたら、龍臣が俺の事抱き枕みたいにしてて、もう力強い上に俺の顔が龍臣の胸元だから息しづらくて。人の事抱き枕にするとか可愛いだろ?」
吾妻は向かいに座っている紫羽の脛に蹴りを入れる。
「いっ…脛蹴んなよ」
「はい!龍一お兄様、俺による龍臣君の話もしていい?出会った時、超陰キャだと思ったんだ」
「は?」「え」
二条の思いもよらない発言に、吾妻と紫羽の声が重なる。
「え、何々、宗親クン、それどういう事。龍臣とどんな出会い方したら、そんなん言えんの」
紫羽は興味津々に前のめりになりながら聴いてる。
ここで、吾妻は軽くため息をつき、二条と紫羽の会話を眺めながら、淡々と今の距離感を受け止めていた。
「居酒屋で出会ったんだけど、たまたま横に龍臣君が座ってて、顔綺麗だねって褒めたの。後は何が好きか訊いても、今と違って声小さかったから、静かな子なのかなぁって。その後は龍臣君の家で酒飲みながら話してて、俺勢いでキスしちゃって」
「え!?龍臣が言ってたクソ野郎って宗親クン!?」
吾妻が紫羽に、何と言ったのか、二条は裏でクソ野郎呼ばわりされていたようだ。
「え、龍臣君酷い」
「酷くねぇだろ」
「でね、キスしたら頬鷲掴みされて、陰キャに見えたのははじめだけでした、という話」
紫羽は飲んでいた水を吹き出す。「宗親クン、初手から行動大胆でスゲェ面白いわ」
「罰として、お前等の肉焦がすぞ」
「駄目!龍臣君の人でなし!」「龍臣ふざけんな!」
騒ぎの中、吾妻は手を伸ばして焼けた肉を二条に差し出した。
二条はそれを受け取り、紫羽はその様子を楽しそうに眺めていた。




