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第二十話

第二十話です。

ではどうぞ。

クロノス様が帰ってきた後、3人で昼食を食べた。



「二人ってさ、付き合ってるの?」



クロノス様にそう尋ねられて、一番動揺していたのはヘリオス様だった。

「な、何を言ってるんだ、クロノス。そんなわけないだろう?」

必死に平静を保とうとしているのか、手元が狂って食器を上手く洗えずただカチャカチャと音を鳴らしているだけだ。

「はい。ヘリオス様と私の立ち位置は主人とその護衛。それ以上でもそれ以下でもありません」


私は何か間違ったことを言っただろうか。


ヘリオス様は少し泣きそうな顔で俯いており、その横ではクロノス様が慰めるように彼の頭を撫でている。


その時、家の固定電話が鳴った。

「あ、僕が出るよ」

なぜクロノス様が出る必要があったのか。

代わりに私がというより先にクロノス様は電話の方へ向かってしまった。

ドアの閉まる音が部屋に静かに響く。


気を遣ってくれたのだろうか。


私はヘリオス様の護衛だが、あくまで赤の他人。ヘリオス様はなぜか今気落ちしている様子だから、代わりに対応してくれたのだろう。




「クロノス様って優しいんですね」




思わずそんな言葉が口からこぼれた時、背中にポンッと軽く衝撃が走る。

振り返ると、ヘリオス様が頭部を私の背中に当てていた。



「ヘリオス様?」


「私は?」



私は? だけでは伝えたい趣旨が読み取れないということを彼はわかっているのだろうか。

表情だけでも覗いたかったが、俯いているためそれも叶わない。


「ネメシス、前言ってたじゃん。私は優しいって。ねぇ、私とクロノスのどっちが優しい?」


ヘリオス様の両手が前へと回される。

優しさというのは人と比べることができるものなのかは、私の今持ち得る知識の中には存在しない。

でも、それが「わからない」というのも何か違う気がして、私はその質問に答えられなかった。

「あとさっきの……私が主人で、ネメシスはその護衛っていうの……それは間違ってないよ。でも……でもさ」

何かを言い淀んでいるのか、ボソボソとなにかを言っている。

言いたいことを私に言うことでヘリオス様の気持ちが晴れるのであれば、思う存分言ってほしい。

私は前に回された手をそっと撫でてみた。

その瞬間、ヘリオス様の手がビクッと反応し、両手を思いっきり握りしめた。







「私はそう思ってないなんて、そんなの……期待してる私が馬鹿じゃないか」







「それはどういう……」


その時、「にいさーん」という声とともにバンッとドアを開ける音がした。

その音とともにヘリオス様はすぐさま私から離れる。


「あれ? お取り込み中だった?」

「クロノス〜」

ヘリオス様は顔を真っ赤にしながら、クロノス様に軽い叱責をしている。

それを笑って流しているクロノス様。


そんな光景を見ながら、私はまだヘリオス様の頭部が当たっていた感覚が残っている背中を触りながら、先程のヘリオス様の言葉を頭の中で繰り返し唱えていた。



どうしてあんなに苦しそうだったのか……私には理解できなかった。

ヘリオス様にとっての私と彼の立ち位置は、私が考えているものと違うということだろうか。

それが何に期待しているというのだろう。


どうも私の頭では処理しきれない問題らしく、頭の中が拒否反応を示している。

後でヘリオス様に聞いてみましょうか。


「てか、こんなことしてる場合じゃない! 父さんの容態が少し良くなくてお医者様からすぐ来てほしいって。もちろんセレナさんも一緒に」


そういえば組織からなんの連絡も無かったと振り返ってみる。

少し良くないというレベルでは任務の進展には、関係ないということだろう。



「ヘリオス様がよろしければ」



ヘリオス様は「もちろん!」と答えた。


私は初めてヘリオス様の父と顔合わせをすることになった。




ヘリオス様の父はどんな人なのだろう。

ヘリオス様みたく、明るく活発な人なのか、クロノス様みたく、冷静で少し意地悪っぽい人なのか。

そんなことを思いながら、私達はヘリオス様の父が入院してる病院へと向かった。


第二十話どうでしたか。

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