黒い卵
樹海ダンジョン攻略からしばらく、コタローたちはいつもの日常に戻っていた。
最下層モンスターを攻略したことにより、来年以降呼ばれることが確実だろうとフータとボタンは喜んでいた。
コタローも攻略報酬をたんまり貰い、来年大学に通うにあたっての必要な費用を全部賄うことができたのでありがたかった。
それがなくてもコタローは毒販売があるので、焦る必要はないが、お金はあるに越したことはない。
樹海ダンジョンでの収穫は報酬以外に素材を沢山手に入れた。
そのほとんどは必要ないのでハクアに売り渡したが、手元に残したものの一つにとても珍しいアイテムがあった。
黒い卵。
これはコタローがヒュドラを倒した際にドロップしたアイテム。
上手く孵化させればヒュドラがうまれるであろう。
モンスターの卵は滅多に手に入らないアイテムで、その中でもドラゴン種のものは激レアだ。
ひとまずハクアに孵化器を作って貰い、ゴブリンダンジョンの受付で管理することになった。
一応コタローが持ち主だが日中は学校のため不在になりがちなので、見守りはリンとメイが担当することになった。
リンは特に張り切っていて、普段ならじっとしていられずにいるのだが飽きることなく卵を見守る。
更にはハクアやヒフミからモンスターの卵について色々と聞き込んで勉強していた。
不思議に思ったコタローがリンに何故そこまでするのか訪ねると、
「この子が私を呼んでる気がする」
これを聞いたコタローは所有権をリンに譲ることに決めた。
卵の段階であれば所有権を移すことが可能なので問題はない。
正式に所有権がリンに移ったことにより、卵の見守りに一層熱が入る。
家に帰らず寝食を卵と一緒に過ごすリン。
周囲はそんなリンの様子を心配しつつも見守ることにした。
少なくとも食事睡眠はしっかりとっているので問題はないだろう。
そうしてリンが卵を見守ること一ヶ月、年末が近づき始めた頃卵に変化が。
「あっ、出てくるよ」
卵がひび割れ、中からモンスターの子が現れた。




