ヒュドラ
樹海ダンジョンに入り二週間、火の中水の中と進んでいくコタローたち。
メイのゴーレム、水魔法のサポートのおかげで攻略は順調。
次々と現れるドラゴンたちも瞬く間に倒していく。
そしてコタローたちは次の階層ボスを倒せば最下層というところまできていた。
「ようやくここまで来たか。なんだか感慨深いぜ」
「今回はメイたちのおかげで大分ラクできたな。ありがとな」
「後輩たちがここまでお膳立てしてくれたんだ。キッチリ攻略しようぜ、ボタン」
前回ここでリタイアしたフータとボタンにとってここからが真のスタートだ。
ボスのいるこの階層は毒の沼地となっており、コタロー以外は水の膜に入り固まっていた。
奥に進んでいくと大きな毒池があり、中からヒュドラが現れる。
「皆さんコイツは俺がやります。ちょっと頼まれ事があるので」
そういうとコタローはヒュドラの前まで進んでいく。
ヒュドラは猛毒のブレスを吐くがコタローには全く効いてない。
平然としているコタローにビビるヒュドラを余所にコタローはマジックバックから色々と取り出す。
ハクアとユカリからヒュドラに出会った際にサンプルの採取を頼まれていたのだ。
本来なら毒に気をつけて戦わなければならない相手でそんな余裕はとてもない。
そのためヒュドラのデータを少なく貴重なのだが、毒が効かないコタローにとってはちょっとしたお使い感覚だった。
「はいちょっとじっとしててね、そうそういい子だね」
ペットをあやすかのようにヒュドラから素材を採取するコタロー。
ヒュドラはなすがままだ。
しばらくして、
「よしこれくらいで十分かな、協力してくれてありがとう。どうする、俺と戦う?」
一通り採取を終えたコタローはヒュドラに戦いの意志があるか確認する。
ヒュドラは既に戦意を失っており、もう好きにしてくれと言わんばかりに頭を下げていた。
「そっか、じゃあこれで終わりにするね」
コタローは自身の持つ最強の毒をヒュドラに与える。
ヒュドラはコタローの毒を受け、驚いたのち安らに眠る様に消えた。
「なぁ、俺たちの意気込みは何だったんだろうな」
「フータ、どんまい」
こうしてコタローたちはいよいよ最下層へ挑むことになる。




