オボロ様
その頃コタローとメイはというと、こちらは合同訓練というより交流会に近い形になっていた。
リンとは違い同じダンジョン職ではないので、どちらかというと意見交換などがメインだったが、コタローは忍者たちに色々と無茶振りして困らせていたそうだ。
最近では鳴りを潜めていたが、元々コタローは忍者に憧れていた。その忍者が目の前にいて、リクエストに答えてくれると言われ暴走してしまったのだ。
普段落ち着いていることが多いコタローにしては珍しいことだった。
そんな一幕もあったが合同訓練は無事終了。
翌日からは鬼ダンジョンの攻略に挑戦することにしたのだが、
「ようこそ我が家へ、寛いでいくが良い」
コタローたちはダンジョンマスターであるオボロの部屋へ強制転移させられていた。
鬼ダンジョンがある離れは中に転移陣があり、そこからダンジョン内に入る。
コタローたちが転移すると、目の前には先程入った離れがまた現れた。
「おお、来たか」
混乱しているコタローたちの前におかっぱ頭の少女が現れる。
「儂がダンジョンマスターのオボロだ。まずは家に上がってからだ」
オボロに案内され、離れに入るコタローたち。
地上にあった離れとは違い生活感溢れる空間となっていた。
奥の部屋に通されると、そこには大画面のモニターと各種ゲーム機が鎮座していた。
「ヒフミンの部屋みたいだね」
「そういえばぬしはヒフミのとこの子だったな。これはヒフミに勧められて集めたものだから似てるのも当然だな」
どうやらヒフミ同様かなりのゲーマーらしい。
「ヒフミのところと違って儂のダンジョンは表にないから機材を使える様にするのに苦労したぞ」
ダンジョン内で電子機器を使用するには、特殊な道具が必要でそれなりの規模のダンジョンでないと難しい。
大抵のダンジョンはその機材を研究や施設管理などに使用するのだがオボロは完全に私用の為に使っていた。
「ヒフミにこれを教えて貰ってからは退屈せずにすんでるよ。ただネットが使えないのが不便だがの」
テイマークランのユカリも毒料理の研究を趣味としてるので、ダンジョンマスターはどこも暇らしい。
「そんなことよりもだ、ぬしらを呼んだのはダンジョン攻略についてだ。試験の時から見させて貰ったが、順繰りに進ませても面白くなさそうだからの」
オボロの話はコタローたちの鬼ダンジョンの攻略についての提案だった。




