鬼人覚醒
翌日コタローたちはそれぞれ集合場所のダンジョン内へ向かう。
リンが向かった先には鬼人の女性が一人待っていた。
「おう、待ってたぜ。俺っちはアカネだ。よろしくな」
リンと同じ赤髪のアカネはコタローよりも大きく、女戦士といった印象だ。
「他には人いないの?」
「鬼人の稽古は一対一が基本だからな。志願者が多くて大変だったんだぜ」
リンに稽古をつけたい志願者が多く、殴り合いの結果アカネが代表となったのだ。
いつもならここまで過熱することがないのだが、余所で生まれた鬼人で、更にここの鬼人と互角に渡り合うボタンとフータの妹分ということで今回志願者が多かった。
「じゃあ早速やるか」
早速リンとアカネは稽古を始める。
感覚派である鬼人は細かい説明などせず、実戦で学んでいくスタイルだ。
幸いリンの性格は鬼人の気質は相性が良かったので戸惑うことなく稽古を進めていく。
「そーいや土蜘蛛に苦戦してたんだってな」
「うん、あいつ固くて仕留めきれなかったんだ」
「あー、リンは鬼人になってまだ一年ちょいだったもんな。まだ覚えてないか。よし、鬼人の切り札を教えてやる。そしたらあんなの瞬殺だぜ」
「ホント!」
鬼人は近接戦において最強の種族の一つに挙げられる。元々の身体能力の高さもあるが、その地位を不動にするものがあった。
鬼人覚醒。
その名の通り鬼人専用の固有スキルで、覚醒することにより自身の能力を倍以上に引き上げる。
他のバフスキルと違うのは、ノーリスクで無制限に使用でき、時間が経つごとにどんどん強化されていく。
余りにもチート過ぎるため通常のダンジョンでは使用を禁止されている程だった。
そのため制限なく暴れられるダンジョンはこの鬼ダンジョン位しかなく、鬼人たちのほとんどはここに集っていた。
半日が経ち、
「よし仕上げといくか。リンあそこに土蜘蛛の巣があるからちょっと行ってこい」
「全部倒していいの?」
「ああ好きに暴れな」
土蜘蛛の巣に飛び込むリン。
リンの身体を真っ赤なオーラが包む。背後には大きな鬼のようなものが漂っている。
どうやら鬼人覚醒を無事習得したようだ。
巣には沢山の土蜘蛛がおり、リンはそれらをバターの様に切り裂いていく。
昨日苦戦していたのが嘘のような光景だ。
数分も経たずに土蜘蛛は全滅した。
「おし、これなら文句なしで合格だな」
「やったー」
リンの稽古は無事終了した。




