#067 : カチャカチャうるせぇ☆虚しさのF衝動
こんにちは!サクラです!
今日は──とんでもない発見をしてしまいました。
ノーベル平和賞? そんなの足りない。
これはもう、ノーベルボイン賞ですわ。
なにがって?
──あてくし、昨日から「貝殻」を具現化できるようになったんですよ。
でね? もちろんやることはひとつしかない。
胸に貼る。
重ねる。
盛る。
「私は令和のクミコ・ゴッデス・タケダさんよ!!」
《クミコ・ゴッデス・タケダさんとは:バブル期に貝殻一枚で社会と戦った伝説の女神。たぶん。by 天の声》
でも私は違う。貝を──何枚でも盛る。
2枚目。3枚目。…5枚目……
理性がそっと囁いた。
サクラ(理性)「……ねぇ、私? 虚しくないの? 今日、天気いいよ?」
──その声を、私は聞かなかった。
なぜなら、ここで折れたらFの夢が砕けるから。
……その時、ふと気づいた。
重ねた貝が、ほんの少しだけ胸を押し上げていた。
“谷”と呼ぶにはギリギリ言えるのかもしれない何かが、確かに──あった。
サクラ「……ッ完成。Fカップッ……完成しましたッ……!」
私の両手が天を仰ぐ。
──貝殻パート、閉廷。
…
サクラ「あっはっはっはー!ボインボインよー!」
そんな過酷な試練を乗り越えた私はジルの家の女子部屋の中をスキップしていた。
カチャカチャ……カチャカチャ……
私がスキップをする度に貝殻が重なり合う音が響き渡る。
カチャカチャ……カチャカチャ……
それは呻き声のようでもあった。
エスト『お姉ちゃん……』
辰美「サクラさん……」
そんな私をエスト様と辰美が白い目で見ていた。
サクラ「やめろ!そんな目で見るな!それ以上言うな!いやだあああああ!」
私はうずくまり、耳を塞ぐ。
エスト&辰美『「……虚しく……無いの……?」』
エスト様と辰美が口を揃えて私の心を潰しにきた。
カチャッ……
サクラ「うわーん!……だって……憎かった……羨ましかったの……!止められなかったのよ!……Fの衝動がッ!」
サクラ「けて……助けて……おばあちゃん……」(カチャ…)
私はそのまま火サスの殺人犯の自供のように泣いた。
── 完。貝殻パート、閉廷。
…
── 私が床に伏せて自供していたところ、突然!ジルがドアを開けた!
ジル「はぁはぁ……た、大変です!街でモンスターが暴れてます!」
ジルは息を整えながら言った。
サクラ「なんですって!?小娘!辰美!行きますよ!」(カチャッ)
私はすっくと立ち上がり2人に指示を出した。
サクラ「辰夫!すぐに準備をしなさい!」(カチャカチャッ)
そして隣の部屋の辰夫に向かって叫んだ。
エスト&辰美『「「カチャカチャうるせー!それ取れ!」」』
サクラ「いやだ!」
…
ジルの家を出ると、人々が逃げ惑っていた。
街の人A「こ!こっちだ!早く逃げろ!」
街の人B「きゃー!」
街の人C「うわぁー!?」
私たちは人々が逃げてくる方向へと急いだ。
すると、モンスターが女の子に向かって拳を振り上げているのが目に入った。
サクラ「女の子が危ない!……(むんず *掴む音)……くっ!間に合えッ!……辰夫ロケットーッ!」
私は近くにあった “手頃な辰夫” をモンスターに投げつけた!
辰夫「ちょッ!サクラ殿ーーーーー!?」
ドガッ!!!!!
辰夫がモンスターに命中した。
モンスターはよろけ、体制を立て直そうとする。
サクラ「くッ!まだ立て直しそうね!」
私は咄嗟に近くにあった “手頃なエスト様” を構えた。
エスト『ちょ!お姉ちゃん!?』
その隙に女の子は母親に保護された。一安心だ。
サクラ「ふぅ。よかった。」
そしてモンスターが標的をこちらに移したのが分かった。
“モンスター” と “辰夫” と “エスト様” は私を睨みつけている。
サクラ「ふふ。上等じゃない……ん……ってあれ…?」
私はモンスターに違和感を覚えた。
サクラ「ねね!みんな!あれ!……領主じゃない?」
エ夫美『「「え?……ん……あ!ホントだ!」」』
モンスターは領主だった。
その体躯は倍程に大きくなっており、目が紅く、牙が生えていたが、その顔は紛れもなく領主だった。
領主(怪)「……見つけたぞ……鬼の女……殺す……殺す!」
モンスター領主は殺意を私に向けた。
サクラ「ッはは……私が怖くて……モンスターに……なっちゃった……のかな……?」
さすがの私も ごめんなさいしないとな と思ったその時!
ガン!!!
モンスター領主が投げた瓦礫が私の胸に当たった。
サクラ「かはッ……」
エスト『お姉ちゃん!?』
辰夫&辰美「「「サクラ殿/さん!?」」」
(つづく)
\\次回予告!//
「わたし、正しく狂えてるかな」
笑いの裏に潜む、壊れかけの魂。
モンスターと化した領主が街を襲い──
鬼の少女は、貝殻に宿した拳で立ち向かう。
次回、#068 : 胸以外狙えよ!☆天丼バトル領主戦
\\お楽しみに!//




