星は巡る②
寮に帰宅したリンとユリアはザーロリフ教育担当から呼び出され、「早退してで歩くとは何事だ」と散々怒られた。ドニーズの所に行ったのだと説明すると漢方の処方の件で訪れたとザーロリフ教育担当が勘違いしてくれたため、説教が長引くことはなかった。
リンはローランも勤務中に抜けたので怒られたのではないかと冷や冷やした。リンが無理矢理連れて行ったようなものだ。ザーロリフ教育担当から解放された夜、ローランが在籍している騎士隊に手紙を書く。
『ローラン様へ
本日は無理なお願いを聞いて下さり、ありがとうございました。急に無茶なお願いをしたにも関わらず応じて下さり、本当にありがとうございます。ローラン様は上官に注意など受けてないでしょうか? 今更、ことの重大さを認識し反省しています。迷惑をかけてごめんなさい。 リンより』
思ったままの内容を書き殴り、内容の確認もせず速達で送るため寮の入り口へ走る。
兎に角、謝罪しなければと強く思った。本当に考えなしだったと反省している。罪悪感を背負いながら階段を駆け降りていると、寮の入り口で、退出手続きをしていたザーロリフ教育担当と目が合った。
階段を駆け降りていた足は、ビシッと止まり、リンは飴細工のように固まる。
「どこへ行くんですか?」
ザーロリフ教育担当の声は落ち着いているが落雷した後のような恐ろしい静けさがある。
「いえ、その、手紙を出しに、ほんのそこまで」
「そうでしたか。また、何処かへ行こうとしているのかと疑ってしまいました」
「まさかそんな」と首を横にブンブン振るリンにザーロリフ教育担当はスッとリンに掌を上に向けて手を差し出しす。
「私が出しておきましょう。早く部屋に戻りなさい」
「いいえ、とんでもない」と答えることは許されないとザーロリフ教育担当の差し出された手を見て、リンは感じ取った。YESかNOで答えてはならない『YES』か『はい』の2択だと。
「リン」
「はい」
リンがぎこちないが素早く階段を降り、ザーロリフ教育担当に手紙を両手で差し出し、頭を下げる。
「申し訳ありませんが宜しくお願いします」
「承りました」
手紙を受け取ったザーロリフ教育担当は、「早く部屋に戻りなさい」と言い残し帰って行った。
リンはその後ろ姿を見ながら、守ることができるかどうかは確約できないが、軽率な行動は控えようと心から思った。
部屋に戻ると手紙が一通届いていた。送る前にクレームがローランから来ていたのではないかと戦々恐々と手紙の宛名を見ると2年前にサンセーレ国に留学したカイルからだった。
『リンへ
来年の春、留学して3年目になる年でラージリア国にへの帰郷が許可された。帰郷の許可と共に、リンに伝えたいことがあり筆をとった次第だ。
2年前、リンが声を上げ、「許さない」と言い、俺がした差別を糾弾してくれたおかげで、声を上げる勇気と大切さを知ったよ。サンセーレで俺自身が差別を受ける対象になった時、声を上げることの勇気や大切さを改めて実感して、リンがあの時どんな気持ちで叫んだかようやくわかった。
リンは俺の恩人だ。力で押さえつけることへ抗議する勇敢な姿や勉学に励む実直な姿を今も思い出すことができる。キザだと笑われてしまうかもしれないが今もなお思い出の中でさえ、リンは綺麗だ。
来年、帰郷したとしても父からはリンに逢いに行く許可は下りないだろう。だが、記憶の中のリンにいつも助けられている。ありがとう。そして、2年前は本当に申し訳なかった。 カイル・バクスター』
毎日、22時に投稿しておりましたが、12月22日からお休みしようと思います。
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投稿再開は早ければ年内、遅ければ年始になる予定です。




