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初出勤②


夜勤の衛生師が、

「次、サーシェさん、55歳、女性。1週間前より自宅で呼吸苦の症状があり来院。その際に心臓に異常音、肺にも異常呼吸音が見られ、入院。前日明け方より呼吸苦が増大。血圧も下がっている。心電を測る機会を付けているが異常波形、及び、脈間隔の延長が見られる。本日、医師の診察後、キーパーソンである娘のサーラに今後の見通しを10時に話す予定だ。」


と話す。

リンが必死でノートに情報をまとめていると

ヅッタは、


{前日より呼吸苦↑、血圧低下、心電異常波あり、脈間隔の延長、医師診察後投薬変更の可能性、10時娘来院説明}


と記載していた。そしてその横に、


{要注意}


と書いている。


リンは自身がまとめた長々とした文の後に、ヅッタが書いたまとめを写した。


全ての引き継ぎが終わるとヅッタが、


「サーシェさんの検温のみやってみるか?どこをどう観察するか言えるか?」


と水銀体温計や血圧計、聴診器を準備してしながら言った。


「はい。まず、体温、血圧を測ります。あと、心音と肺雑音を聴診器で聴取します。手足の浮腫や顔色、指先の色を観察します。サーシェさんの呼吸苦がどうなっているか本人に聞きたいと思っています。」


リンが答えると、ヅッタは、


「心電計から記載された波形も読み取るように。あと、長時間の質問は呼吸苦に繋がるからやめた方がいい。よし、行くぞ。」


と言い、{要注意}と書いた数人の患者の所へ向かって行く。


「状態が安定していない患者から回る。どんなに動線上非効率でも、急変している可能性が高いからだ。」


早足で歩きながらヅッタは説明するが、リンは早足について行くのが精一杯だ。


「早いか?その内慣れる。衛生師は皆、早足になるんだ。最初は昨日、急変して血圧が著しく下がり意識レベルが下がったニッチェさんの所からだ。俺は情報収集と引き継ぎとバイタルサインの値で一番優先度が高いと判断した。後ろについて、よくやり取りや計測の仕方、何を観察しているか見てろ。」


そう言いながら手指消毒をしている。

リンも急いで手指消毒をしながら返事をする。



トントントン

「失礼します。」


入室するとヅッタは患者に苦痛が少ないよう最大限気をつけながら、会話をし、さりげなく患者の様子を観察していく。

検温もいつの間にか終わっていた。


「失礼しました。」


退室するとヅッタはリンに、


「意識レベルが下がったとあったが今は回復していたな。会話もスムーズで時系列もしっかりしていた。血圧も持ち直してる。薬が聞いて身体の中から水が引けたのだろう。体幹の浮腫は軽減していたが、主に脚部の浮腫が強かった。足を少し上げるようにしたのがわかったか?」


と聞いた。リンは会話の中の意味も観察も最後に浮腫を軽減するためにさりげなく脚の下に重ねて布団を置いた意味も考えが及ばなかった。


「すみません。お話を聞きながら、どのようにしているか見ているだけで思考が追いつきませんでした。」


「そうか。徐々に慣れていけばいい。誰だって、いきなり病気で苦しんでる人が現れたら戸惑うだろうから。ただ、学んできた知識は引っ張り出さなければならない。緊張しているかもしれないが。」


「はい。すみません。」


このまま行くと、次の次が今日主に任されたサーシェさんの所だ。


今まで学んで来たことが見たこともない数列のようになってグルグル頭の中を回り、思考がまとまらない。

毎日、22時投稿予定です。

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