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3-1 戦いの翌朝

2020年10月25日-行間や句読点などを修正。内容に変更はありません。

2021年10月02日-最後の部分に少し追記。字句などを修正。後書きを削除しています。

 夜明け前に目が覚めて、ベッドの上に体を起こす。

 昨日の夜は、家に帰ってから倒れるように寝てしまったというのに、思いの外体の調子は悪くない。

 髪を掻き上げようとして、持ち上げた手と一緒に、制服の袖が視界に入る。

「……あ~、やっちゃったぁ」

 明日の学院の休みに新しいものをおろすつもりだったが、さすがに今着ているものはシワだらけ過ぎる。昨日は何回か全力疾走したから、汗の匂いもするかもしれない。

 仕方ない、新しい制服を出すと、服を脱いで全裸になった。

「制服は今日洗いに出すとして、まずは体、きれいにしなきゃ」

 スン……、スン……

 鼻を動かす。

 うん、今の私は、少し汗臭い。


 浴槽にお湯を張りながら、身体を洗う。

 シャワーの魔石に手のひらを当てて起動、左右に回して温度の微調整。

 少し熱めのお湯が身体に当たって、きもちいい。

「ほんと、発明家の人って、すごいですよね。

 どこからこんなアイデアが出てくるんでしょう」

 でも、水と火の同時使用に、力の調整も可能って、相当な技術がいるはず。少なくとも、学院生でできそうな人は……いや、あそこには居てもおかしくないか。


「あ、そうだ!」

 せっかくなので、お風呂に入浴剤を入れてみよう。

 小瓶を取って湯船に何滴か垂らすと、浴室がバラの香りに包まれる。

 『研究会』のお花屋さん、ラー様から頂いたものだ。

 バラの花びらに蒸気をあてて、香りの成分だけを取り出したものらしい。

「なかなか良いものができたんで、試してみて?」と、『研究会』のメンバーに配っていらっしゃった。

 たしかに、この香りに包まれると、とても幸せな気分になれる。


 香りを楽しみながら、お気に入りの石鹸で、全身を、あわ、アワ、泡。

「ハチミツは、肌をしっとりとさせる効果があるの」

 たしかそう言いながら、ミイツ様が渡してくれたっけ。なんだかすごいかわいいラッピングがされてたなぁ。ミイツ様もご愛用らしい。

 身体を流し終わると、


 ……とぷん……


 ゆっくりと湯船にはいる。

 うぅ、これは、まさに、かみのくに!

 神の国にあるという、花畑が見える~~♪♪

 しばらく目を閉じて堪能してから、うっとりと目を開けると、窓の外が僅かに白んできているのが見えた。


 ああ、名残惜しいけれど、もうあがらなきゃ。

 お風呂を出て、いつものマリオさんの牛乳を飲むと、鏡の前へ。肌と髪の毛を整える。

 シリル様から「おつかいなさい」と頂いた、ぷにぷにとした不思議なクリームを顔に塗ると、髪にドライヤーをあてる。


 魔石起動、温度と風量を調整、

 ぶおおぉぉぉぉぉ……

 温風が吹き出して、髪を乾かしていく。


 髪が乾いたら、前髪を整える。

 おろして眉のあたりで横一直線の髪型は、自分で手入れするのに楽でいい。

 そして後ろを下の方でシニヨン2つにまとめる。

「レンガちゃんは、いつも後ろ頭に、お団子2つぶら下げてるね」

 笑いながらユーリ様がいっていたけれど、慣れた髪型だから、忙しくても手癖で作れてありがたい。


 出来上がった自分を鏡で見る。うん、今日はかなりいい出来だ。

 ほら、この角度なんか、いま大流行の演劇「聖都の休日」のあのヒロインに似てないかな? とか内心思っている。さすがに、恥ずかしくて他人には言えないけど。


 そして、いつものようにパンを口にして、荷物を手に取り、家を出る。

 太陽は、まだ低い。今日は余裕を持っていけそうだ。


 つつがなく猫のパンのお仕事を終えると、学院へと向かう前に『焼きそばパン』を3つ買う。

「レンガちゃん、いつも頑張ってくれているし、持っていきなよ」

 マリオさんはそう言ってくれるけど、こういうところはできるだけしっかりしておきたい。

 余ったものならともかく、売り物なのだから、きちんと対価は払わなくては。


「まいどあり、いってらっしゃい!

 そういや、今日はいい香りさせてるんだ、学院つくまでに変な虫に付きまとわれないようにな!」

 もう、そんなところにまで気を回さなくても! でも、それに「パパがいたらこんなだったのかな」なんて考えてしまう私って、変ですか?

 そんな事を思いながら。私はワハハと笑うマリオさんの声に送られて、店を出た。




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