神の御心課金次第
オモジイの店は、一見綺麗になったが、不思議なもんが多すぎる。少しづつ、確認取りながら片付けたり、まぁ時々こっそり捨てたり。
多分、オモジイ覚えてないやろしな。
「ところであんた、こないだ隣から出てきたけど、婚活しとるんか?」
「はい、一応」
「まあ金はかかるがな、ちゃんと紹介してもらえや」
「は?」
「ちゃんと神さんにマッチングしてもらえ。わしらはな 裏ステータスまで見えるから その方が安心やで」
「裏ですか」
「そうや。掲示板あったやろ。あれはな、ええことしか書かんしな。当てにならんよ」
「お金かかりますね」
「じゃから仕事も励まんとな」
「そうですね。頑張ります」
「あんた、ほんまになんも知らんなぁ。よっしゃ今日はこれで上がってええから、ギルドに行って、仕事見つけたって言うてこい」
ギルドに行くと、カウンターにスセリがいた。
「あ、カツミ様。今日はどうされました?」
「あのー。仕事が見つかったので」
「それは良かったですね。では少しギルドのシステムをご説明しましょうか」
「はい、お願いします」
スセリの説明は分かりやすかった。
私は神のミスでこちらに来たので免除されたが、
ギルドの入会金は200エニ。
マッチングをお願いするたびに10エニ〜100エニ。
入会金が高めなのは、無収入会員では婚活など問題外だからだ。
マッチングにもランクがあり、条件が増えるほど高くなる。
会う場所を指定したらプラスα
うまく交際まで進めば、さらに.......
ただし、神のマッチングは、お相手は会うまで分からない。神のみぞ知る。なのだ。
掲示板には、ギルドに加入していなくても掲示できるが、お見合いセッティングはギルドを通す。
その手数料が10エニ〜。
場所やお相手にもよるらしい。
なんだか世知辛い。
「まぁ、こんなところですね」
ニッコリ笑うスセリ。
「カツミ様は、次の申込分から利用料をお支払いください」
「じゃあ今度のは」
「構いません。今マッチング中ですが、これはクニオが払うそうです」
「あ、いいんですか?」
「いいんです。元はといえばクニオのせいですもの、それくらい。ね」
やったー。
「分からないことがあれば、どんどん聞いてくださいね。マッチングが決定次第、またご連絡いたします」
「隣の雑貨屋で仕事してますから」
「あら、オモジイですか。それは良かったです。慣れるまでは神の近くが安心でしょう」
ギルドを出てブラブラ。
「マシロ、安心か?あの爺さん」
てか、結構神様って色々と金儲けしてるん?
手数料が高いんか安いんか、ようわからんけど。
とりあえず、仕事見つかってよかったのかも。
行き交う人々を見ていて気が付いた。
なんだか美形が多い。
そして女性はもれなくグラマー。
あー。異世界あるあるや。
自分の胸を見てため息が出た。
「なぁマシロ。私、圧倒的に不利ちゃうか?」
「きゅる?」
やっぱりギルドに頼るしかないよな。
あ、服欲しいな。
スーツじゃ動きにくいし、服くらい、ちょっと綺麗にしとかなあかんわ。
きれいな服屋があった。
ウインドウのドレスが素敵だけど、高そう。
中には貴婦人?羽根がいっぱいついたドレス。髪は思いっきり縦ロール。
「もうちょい普通の服でええよな」
肩でマシロが頷いた。
ブラブラしているとウサギ獣人の服屋を見つけた。
値段もお手頃だ。
10エニの、一番シンプルなワンピースと、大きなポケットのついたエプロンを買った。
店の奥で着替えさせてもらうことにした。
「すみませーん、ちょっとここ借りてもいいですか?」
「どうぞどうぞ〜」
カーテンの奥でスーツを脱ぐ。 ……あーもう、肩こるねんこれ。
ワンピースに着替えて、エプロンをつける。 ポケット、でかっ。
マシロがぴょんと飛び移ってきた。 すぽん。
ポケットに入った。
「……あんた、そこ入るん?」
顔だけちょこんと出してる。 ええやん、それ。
「楽なん?」
「きゅん」
即答やった。
まぁええか。
カーテンを開けると、店主のウサギがにこっと笑った。
「お似合いですよ〜」
「ありがとうございます」
鏡を見る。 ……うん、やっと“こっちの人”になった気がする。
「それにしても、その子……かわいいですねぇ」
「でしょ」
マシロ、ちょっとドヤ顔してる。
店を出ると、風が気持ちよかった。
スーツの時とは全然違う。 なんか、ちゃんとここで生きてる感じするな。
「さてと」
宿に帰るか。
晩御飯を食べていたら、ケツメが台所から出てきた。
「カツミさん、お洋服買ったんですね。よくお似合いですよ」
「そうですか?ちょっとヒラヒラしてて、どうかと思ったんだけど」
「いえ、こちらの世界はそういうのばっかりですし。郷に入ればですよ」
「そうですよね。
あ、今日の肉じゃがとっても美味しいです。これ、魔獣肉ですか?」
「いえ、うちでは魔獣肉は使いません。
食材は私が用意していますから」
というと?どこから?
あっちから?
「あ、カツミさん、今度いっしょにお料理しましょう。お教えしますよ」
「いいんですか?」
「はい、またお休みの時にでも、声をかけていただければ」
「ありがとうございます」
あれ?何か話逸らされた?
仕事も決まったし、この宿、月極にしてもらおうかな。ちょっと安くできるって言ってたよな、テラさん。
今なら、もらったお金でいけるし、お給料もあるから多分やっていけるやろうし。
布団で寝転んで考えていた。
そうやな、テラさんに相談してみよう。
――そのとき。
ピコン♪
目の前に表示が浮かんだ。
==マッチング成立==
え。
はやっ。
マシロが布団から顔を出した。
「……なぁ」
嫌な予感しかしないんやけど。
表示が切り替わる。
==明後日11時 カフェ「たちばな」==
==ご希望条件 頼れる系==
おい。それじゃわからんやろ。
思わずツッコんだ。
いやいや、ちょっと待て。
神のみぞ知る、か。
「……まさか」
頭をよぎる。
あの――
「リザードマンとかちゃうやろな……」
マシロが、
すっと目を逸らした。
「……やめてや」




