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隣のクラスの「氷の令嬢」が、隣の部屋で空腹のあまり倒れていた件。〜胃袋を掴まれた彼女が、俺の前でだけ「ふにゃふにゃ」になるまで〜  作者: 比津磁界
第2章

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第216話:先約と、歩み寄る二人

夜。

夕食を終えた俺の部屋で、凛と二人、今日一日で起きた激動の出来事を振り返っていた。


「……それにしても、噂が広まるの早すぎだろ。今日の帰り際なんて、俺のクラスの奴らまで『冬月さんに彼氏ができたらしい』って騒いでたぞ」

「うぅ……ごめんなさい。でも、はっきり言わないとずっと呼び出されちゃうと思ったから……」


凛がソファの上でクッションを抱きしめながら、少し申し訳なそうに身を縮める。

俺は苦笑しながら、彼女の頭を軽く撫でた。


「いや、怒ってないよ。むしろ、ちゃんと断ってくれて嬉しかったし。……ただ、明日から凜に対する探り合いがすごそうだなと思って」

「そうだね……。『彼氏は誰だ!?』みたいな質問攻めに遭うかも」


少し不安そうに目を伏せる凛を見て、俺はふと、来週に控えている学校行事のことを思い出した。


「そういえば、来週の金曜日って二年生の課外活動で遊園地行くよな。あれ、一緒に回ろうか」

「うんっ! 一緒に回りたい! ……でも、どうやって組もうか。」


ぱぁっと顔を輝かせた後、すぐに現実的な問題に直面して首を傾げる凛。

俺は少し考えた後、彼女の目を真っ直ぐに見て提案した。


「もう凜に彼氏いるってバレてるから、今度の班決めの時に、みんなの前で堂々と組んでみるのは?」

「えっ、みんなの前で?」

「うん。凛も、これから毎日周りからの質問攻めに遭うのは大変だろうし。変に隠してコソコソするより、ここでハッキリさせた方が、後々スッキリしてていいかもしれない」


俺が彼女の負担を気遣ってそう言うと、凛は少しだけ目を丸くした後、ふわりと優しく微笑んだ。


「……目立ちすぎる気もするけど。でも、隠れないで堂々と朝陽くんの隣を歩けるなら、私はその方が嬉しいな」

「よし。じゃあ、班決めの日は覚悟決めないとな」

「ふふっ、そうだね」


こうして、俺たちは一つの大きな決断を下したのだった。


そして次の日。

課外活動の班決めを行うため、一組から三組までの生徒が多目的室に集められていた。


「えー、静かにしろ。来週の金曜日に行う課外活動について説明する」


前に立った学年主任の先生が、マイクを使ってアナウンスを始める。

「今回の課外活動は、中間テストを乗り越えたご褒美も兼ねた遊園地への遠足だ。」

「服装は私服でも構わないが、あまりにも派手すぎる格好は控えるように。それから、園内での一人行動は禁止する。必ず二人以上の班を作って行動しなさい。誰と回るかは自由だが、決まったら先生のところへ登録用紙を提出すること」


その説明が終わった瞬間、多目的室は一気に熱気を帯びた。


「おい、お前誰と組む!?」

「私服どうする!? 迷うんだけど!」

「あー、あのジェットコースター絶対乗りたい!」


先生の「それじゃあ、班決め開始」という合図と共に、生徒たちが一斉に動き出した。


「冬月さん! あのさ、もしよかったら俺たちと一緒に回らない?」

「ねえ冬月さん、私たちと回らない?彼氏のこと聞かせてよ!」


予想通り、凛の周りにはあっという間に男子のグループや、噂の真相を知りたがる女子たちが群がった。

一方、少し離れた場所にいた俺のところにも、予期せぬ来客があった。


「あの、瀬戸くん。もしよかったら、私たちと一緒に回らない?」


俺のクラスの女子数人が、少し頬を染めながら声をかけてきたのだ。

体育祭のリレー以降、なぜか俺に話しかけてくる女子が少し増えていた。


「誘ってくれてありがとう。でも……ごめんね。もう、先約があるんだ」


俺がはっきりと断ると、女子たちは「そっか、ごめんね!」と少し残念そうに離れていった。


視線を向けると、人だかりの中心にいる凛と目が合った。

凛もまた、群がる男子たちに向かって、はっきりとした声で告げていた。


「お誘いありがとうございます。でも、ごめんなさい。私、先約があるので」


そう言って、彼女は自分を囲んでいた人だかりをすり抜け、迷いのない足取りでこちらへと歩き出した。

俺も小さく息を吸い込み、彼女を迎えに行くように真っ直ぐに歩き出す。


ざわざわと騒がしかった多目的室の空気が、少しずつ変化していく。

「氷の令嬢」が誰かに向かって歩いている。

そして、その先には地味で目立たないはずの俺がいる。


周囲の生徒たちが「えっ?」と奇妙な顔をして道をあける中。

俺と凛は、多目的室のちょうど真ん中あたりで、ピタリと足を止めて向かい合った。


周囲の視線が、一斉に俺たち二人に突き刺さるのを感じた。

第216話、ありがとうございました!


朝陽くんの「質問攻め大変だろうし」という彼氏としての気遣いからの、公開宣言への決意。

そして多目的室での班決めスタート。

それぞれへの誘いを「先約があるから」と断り、周囲の視線が集まる中、真っ直ぐにお互いの元へ歩み寄る二人。

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