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006 探知魔術

ご愛読ありがとうございます。


拙い文章ですが、面白いと思って頂けましたら“ブックマーク”や“いいね”、“感想”等にて応援頂けると幸いです。


これらの応援は執筆に際しての大変励みなりますので宜しくお願いします。

徒歩でゆったりと移り変わる長閑な田舎の景色には流石に見慣れてしまう。

町を目指してただただ歩き続けることにも次第に飽きてくる。

旅立ちからまだ二日目とはいえ、街道ですれ違った人は片手の指ですら半分以上余る。

というよりもすれ違ったのは旅人や旅商人ですらない諸用で最寄りの村に移動していと見受けられる軽装の人のみである。

やっぱり私の故郷って想像よりも遥かに田舎だったのね。

よくよく考えたら襲う相手が居なければ盗賊とかもいる筈無いものね。

生き物に例えれば餌が無ければ餓死するだけだものね。

吟遊詩人が謳う心躍る冒険譚の様な、特に盗賊や野党が現れることは、残念ながら簡単には起きないようである。

思ったよりも盗賊とか野党って絶滅危惧種なのかしら?

吟遊詩人が謳う物語でも蹂躙される側だから有り得るわね。

そうすると容易には遭遇出来ないのは困る。

自然と遭遇するのが難しいのなら私自身が探して見つけ出すしかないかな。

そこで私は精霊魔術により周囲の状況を知ることができないかと考える。

周囲に魔物やモンスター、野党とかが居ないと事前に判れば、気兼ねなく風呂にも入れるしね。

それに野外でのお風呂なんて開放的で気持ちよさそう。

そもそも洗浄だと濡れた衣服が肌にピッタリと貼り着くアノ感覚はどうにも好きにはなれない。

それに真冬にやると水分を除去して乾かすまでに物凄く冷えそうだよね。

それなら水を使わずに直接汚れを落とせばいいのかも。

これは折を見て試してみるのもいいかもね。

そうと決まれば魔術のイメージを構築しないとね。


この世界の魔術は明確なイメージを構築出来れば魔術として行使される。

これは神聖魔術と精霊魔術が同種の魔術であると推察したことから導き出した、私の結論である。

もっともステータスが魔術行使の要件を満たせなければ魔術としの事象を得ることは叶わないのだろう。

それこそが神聖魔術の行使難易度、つまりは要求ステータスがえげつないことの要因と考えればと納得ができる。

例えば、擦り傷を癒すとなれば、大まかには瘡蓋が形成され次いで削れた肉や皮などの組織が細胞分裂により再生される。

魔術で治療するには、これらの具体的イメージが必要だが、詳細な傷が癒える過程は知り得ない。

これを補うため魔術書を覚え込むことで曖昧ながらもイメージの構築を補助し要求ステータスを緩和させているのだろう。

さて、見えない相手を探すとなると盗賊とか野党って条件で絞るのはむずかしくなる。

何を持ってして相手を判断すればいいのか条件が分からない。

それなら先ずは魔術の行使可能な範囲内の生物を探し出し、その位置を私が感じ取って知ることが出来ればいいかと考える。

かなり曖昧なイメージだがステータスに物を言わせて魔術として行使してみる。

うーん、どうも上手くいかない。

なんか物凄く僅かだけにゾワゾワというかムズムズするような何とも言えない奇妙な感じがする。

マナが抜け出る感覚はあるので魔術自体は行使されている筈である。

それなのにどうしてかな?と考えつつも引き続き周囲の状況を探るために魔術を使い続けていた。

そして上手くいかない状況が続く中、歩を進めていると気付けば日が傾き始めた為、本日は移動は切り上げて野営の準備をすることにした。

街道からそこそこ離れた小さな林を今夜の野営場所にする。

人流が活発な大きな街道には拓けて整備された野営地があるらしいけど、この近辺にあるはずもない。

昨日と比べて野営の準備が少し遅くはなったが、気分転換を兼ねて今日は薪を集めることにした。

昨日の言い訳の有言実行である。

とは言え、既に薄暗くなり周囲を明かりで照らさないとよく見えない。

そうして光魔術で周囲を照らそうとしてハッと気付いた。

今日試していた魔術は周囲の状況知りたいとのイメージだけで、その調べた結果を得ること、つまりは私自身が周囲の生物の位置を知る方法が完全に抜け落ちていたのだ。

これでは上手くいかない筈である。

今の状況に置き換えれば、周囲を魔術の光で照らしているのに目を閉じて薪を探して、薪となる落枝が見えないと言っている様なものである。

一先ず光魔術で周囲を照らして薪を拾い集めて急ぎ野営場所に戻ることにした。

夕食を食べ終えた後に改めて周囲の状況を探った結果をどの様にして知り得るかを考える。

自身の視界に映して見るのであれば前方は対象位置に印を点す。

加えて対象までの大まかな距離が判ると魔術による先制攻撃などの観点、逆に遠距離から攻撃を受けた際の対応含めて利便性は極めて高いと考える。

そうなると問題は背後や頭上といった死角への対応となるが改めて薪拾いを思い出す。

私は地面に落ちている薪を上から見下ろして探していた。

より広い範囲を効果的に探すのであれば木に登って見下ろせばより広い範囲を見渡せるはずである。

それならば自分中心として上から見下ろした感じで対象の位置を判別可能にするのがいいとの結論に至る。

思い立ったが吉日と早速魔術を試みる。

先ずは視野範囲に生物がいる場所を赤い点で表示することをイメージする。

そして魔力により精霊に伝え魔術が行使された瞬間、世界が真っ赤に染った。


「ッ、キャーーー!!」


ドゴォーン

悲鳴の直後に響いたのは凄まじい爆発音であった。

それは反射的に身を守ろうと自身の周囲から全てのモノを遠ざけようと行使された手加減の一切無い魔術として生じた事象、それは衝撃波であった。

衝撃波は、私を中心に円周状に広がり、広範囲にわたり全てのものが蹂躙され吹き飛ばされていた。

その痕として巨大なクレーターが形成されていたのであった。

まさに大規模な環境破壊が発生した瞬間である。

なお、へたり込んだ私のお尻辺りが何故か濡れており、ほんのりと温かかった。

本当に不思議である。


こんばんは、テルミドールです。

今、私の周囲には綺麗な更地が広がっています。

本当に綺麗ですよ。

何故なら地面は真っ平らに固められており、石ころ一つ、それどころかペンペン草一本すら生えていません。

これは先程の反射的に行使された魔術で蹂躙された辺り一帯を地魔術を使って綺麗に整地したためである。

なぎ倒された木々や地中から掘り出された岩石はマジックバックに収納済みである。

これで当面の間は薪拾いをする必要が無くなったわ。

私は良く頑張りましたと自分で自分を褒めてあげます。

そうそう、言い忘れたけど私自身も綺麗ですよ。

砂塵などで汚れたので念入りに温水洗浄を行いましたから。

うん?他意なんて無いですよ?本当ですよ。


さて、気を取り直してボッチ反省会を開催しますか。

先程見た真っ赤な世界は恐らくだが昆虫などを含めた様々な生物に対しても位置情報が点された事が原因だと思う。

そうであれば一定の大きさ以上の生物のみとの条件を付け加えれば改善される筈である。

少し怖いけど、今のここなら失うもの(自尊心&自然環境)は何もないし、もう一度試してみますか。

基準とする生物の大きさとしては30cmより大きなものとして魔術を行使する。

結果は概ね成功と思われるのだが、先の環境破壊が原因なのか周囲を見渡しても徐々に小さくなる赤い点がかすかに数個見える程度であった。

これなら今日は安心して眠れそうね。

さて、続いては上から見下ろしたイメージに対象位置に赤い点を配置するイメージとなる。

だがその前に1つ思いついたので試してみることにする。

おぉ、これは凄い。

周囲の地形などが真上から覗いている感じで地図とは比べ物にならないくらい詳細に判る。

因みに更地は半径300m程かなぁ。

うん、人が居ない場所で良かったね。

それに街道から少し離れていた林を野営地にしていたのも幸いであった。

それじゃあ検索対象の点をつけてみましょうかね...。

アレ?何も変わらない!?

ふと周囲を改めて見回してみたが先程まで見えていた小さな赤い点すらも消えていた。

どうやら前方の視界内に対する対象との距離で点の大きさが変化するようである。

恐らくは魔術で探ることが可能な範囲内から対象となる生物が全て逃げ失せてしまったと考えるのが妥当そうであった。

取り敢えず、前方視界と周囲調査を1つの魔術として今後は行使するとして探知とでも命名しますか。

起きてる間は常時発動させて探知に慣れましょう。

そして、最終的には無意識でも常時発動を維持できる状態を目標に訓練することにする。

色々なことは起きたが結果として探知魔術にも成功したので、今日はそろそろ寝るとしますかね。

幸い周囲には生物の反応は見受けらないので今日は不寝番は行わず休むことにする。

流石に二日連続の徹夜は肉体的にもお肌的にも良くないからね。

そうと決まれば半径3m程のドーム状のモノを簡易小屋として作り出す。

大きめなのは念の為に壁は厚めにする為であり、可能な限り強固にするのも忘れない。

安心安全って一番大事な事よね。

それではお休みなさい。

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