012 浄化
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木々に囲まれた中で私は今一人で裸族なスタイルにて湯を眺め苦悩してる。
合成魔術により作り出したお湯は既に湯船を満たし湯気を上げている。
それらは私を猛烈に誘い、今直ぐでにも頭から飛び込みそうになる衝動を私は必死に抑えている。
それなのに湯船を前にセルフお預け状態で苦悩の表情を浮かべている私。
その理由は、私が全身砂塗れである事に起因する。
このまま湯船に飛び込めば湯は汚れ、湯船の底には間違いなく砂や泥が溜まることになるであろう。
そうなれば私はジャリジャリそしてザラザラとした一縷も望まない感覚を主に下半身で味わうはめになる。
そんなプレイには全く興味も無いし、嗜むも趣味も持ち合わせてはいないのである。
それならば、お得意の合成魔術の温水洗浄で全身の砂を洗い流して、ル〇ンダイブで風呂に飛び込めば済む話しだろと仰るそこの貴方、貴方は何も分かっていない。
この世界では湯に浸かるという行為は、非常に贅沢なものなのである。
世間一般の女性にとっては垂涎の行為なのですよ。
この世界には魔術があるとはいえども、人が浸かれる程の大量の水を作り出すことは大変な労力である。
ましてや大量の湯を焚くには薪などの燃料も当然として馬鹿にならないものとなる。
それに湯の用意を終えたとしても、その後には温度を保たせるなどの行為も必要となってくるのです。
私フロレアールは、貪欲と言い表せる程にお風呂に飢えており、恋い焦がれている。
どれほどのものなのか、貴方に伝わる様に世界観を無視してでも例えるとしましょう。
今の私は長時間高温のサウナに入り続け、喉が渇ききり、体は熱に侵され、身体が猛烈に水分を欲しているといった状態に近い状態にある。
そして今、念願の一杯の冷水を得られる寸前、冷水それ即ちOFUROである。
目の前には冷水が満たされた見目麗しいグラスがある。
その器には氷が浮かび、凶悪な魅力で私を誘っている。
それを一口飲み込めば体にこもる熱を鎮め、乾ききった喉を潤し、貴方に格別の癒しと感動を与えてくれることでしょう。
だが、その前に一口、たったの一口でもヌルイただの水を口にしたとする。
その後に先と同じ冷水を口にしたとしても同じ癒しと感動を得られるであろうか。
否、断じて否である。
入浴前に温水だろうが冷水であろうが洗浄魔術で身体を濡らす洗浄を行使してしまえば、それだけで湯船に浸かった際の感動を薄めてしまうのである。
そんな愚行は決して許されず、断じて受け入れられないのです。
そして私は決意する、あの時に頭を過った新たな洗浄魔術、水や温水を用いること無く汚れを除去する魔術を試すことを。
原因たる汚れや付着物を直接消し去れば済む話だとの悪魔の囁きが頭に響き渡る。
実に恐ろしいものである。
入浴に対する凄まじい欲望が後押しすることで、かつてないほどの強固で明確なイメージが構築され、魔術として行使される。
そのイメージは、己の身体に付着する自身の身体以外の一切の不要なモノを全て消し去ること。
そして得られる結果としては、輝くような艷めく髪、くすみなど存在しない輝くような美しい透き通る様な白い肌である。
そうそれは己自身が想像し得る一切の不要なモノそのが全て消え去った完璧な美を体現した己自身の姿である。
そうしてこの世界に新たな魔術が生まれる。
それは美容効果をも対象へと齎す浄化の魔術であった。
新たな洗浄?魔術により全身砂塗れから解放されたことは一目瞭然であった。
「フヒヒ、これで心置き無く憧れのお風呂を堪能できる。それでは頂きます。」
遂に訪れた待望の瞬間である。
「はああああぁ。」
意図せず歓喜の声が漏れ出る。
至福、今は唯その一言で十二分であった。
気の済むまで一頻り湯を堪能したプロレアールは、湯にプカプカと浮かんでいた。
決して大きいとは言えない背丈のフロレアール。
その小さ目の身体が誇るたわわな胸が浮き袋の役目を果たしたことで、自然と一番楽な姿勢として辿り着いた結果なのであった。
湯に浮かびながら改めて自身の胸や手を眺めていると、ふと気になる。
あれ?私の肌ってこんなに白かったかな?もう少しだけ肌の色が濃かった気がするけど...。
でも、本当に綺麗、それに前よりもスベスベしてる気がする。
といっても血管が透け見えてないから青白さは一切感じられない。
ひょっとして今までの洗浄って汚れが落ちきっていなかったのかな!?。
水魔術の洗浄は、体の汚れを水に移すして取り除く感じだったから、きっと今回の汚れ自体を消し去るものより洗浄力が劣ってるのね。
それなら今後は基本的に新しい洗浄を使う事にする。
無駄に衣服が濡れて肌に貼り着くあの感覚を味わうことも無いからね。
こうしてフロレアールは究極の艶髪と美肌を手に入れる事となったのである。




