事後報告
「待ちなさい」
街に入ろうとした俺達は後ろから呼び止められた。
「何だよ、アイナ」
「一つ確認を。空から落ちてきた鉄の人は…あなたですか?」
「…だったら?」
「…いえ、何でもありません。ただ、お礼をしたくて」
「お礼?」
「はい。レナと私達、そしてこの街を守ってくれて、本当にありがとうございました」
「レナは偶然だ。意図的じゃない」
「それでも、ありがとう。私の友人を救ってくれて」
俺は何も言わずに踵を返し、街に入る。
「私の家に居てくれないかしら?話したいことがあるの」
俺は振り返らずに右手を振って了承した。
「それで、話って?」
俺達はアイナが戻ってくるまで城で休憩し、今は夕食をかねて話をしている。
「まずは改めて礼を言うわ。ありがとう」
「いいよ別に」
「そう…。それで話だけれど。あなた達はこれから旅に出るのよね?」
「ああ。そのつもりだ」
「それは今すぐに行かなきゃいけない事?」
「……俺たちに残ってほしいってことか?」
「ええ。あんな襲撃があった以上、何が起こるかわからない。だから―――」
「悪いけど、それには乗れない」
「どうして!?」
「俺達には関係のないことだ」
そう、俺達には関係のないこと。この襲撃は俺がファフニールの封印を解いたせいだと思っていた。だが、魔物の行動がおかしくなり始めたのはファフニールの封印を解く前。レナ達と出会った時。
なら、ファフニールと俺達は関係がない。
「……でもまあ、ここはもう大丈夫だろ」
「え……?」
「さっきファフニールに調べてもらった」
「ああ。我が調べたところ、もう、魔物どもは落ち着いている。あのアーマードサウルスが原因だったのだろう。もしくは、アーマードサウルスに何かをした奴らだろうな」
「どういうこと?」
「アーマードサウルスは障壁を張っていた。ファフ曰く、アーマードサウルスはそんなことはできないらしい。200年前の知識と今の知識が同じかは知らないが、同じならそれをした何者かがいるという事」
「でも、それなら…」
「その辺も調べておいた。何かしようとしているような輩はいなかった」
どうやってファフニールが調べたのか聞いたら「企業秘密だ」と言ってきた。おばえたての言葉だったから使いたかっただけだな。
「そう。わかったわ」
「それで、事後処理はどうなんだ?」
「ええ。あなた達のおかげで死者はゼロ。負傷者は多数だけれど、それほど深い傷もない。街への被害もゼロ。でも、書類が山済みなのよ…」
「……手伝わんぞ」
「そんなこと言わないわ。あなた達、字、読めないでしょ?」
「まあな。話せるし大丈夫だろ」
「依頼書どうやって読むのよ」
「誰かに聞く」
「それで何とかなるの?」
「なるだろ」
「安直にもほどがあるわ…」
「安心しろ。自覚はある」
「……」
その後は客間で休ませてもらった。
久しぶりのベッドだから、ものすごくぐっすり寝られた。
因みにファフニールは人の姿のまま。本人曰く、「こっちの方が街では便利だろ?」という事。
別で魔法を使わなければ1週間は持つという。
燃費は悪いらしい。




