クラン
翌日。
「おーい。もう昼だぞ。さすがに起きろー」
「ん?昼?ああ。いつもの事だから大丈夫だ」
そう言いながらベッドから起き上がる。
「おはよう、ファフ」
「おはよう。全く、こんな時間まで寝るとはな」
「いつもの事だから大丈夫」
「何が大丈夫なのかわからないが、客が来てるぞ」
「客……?」
「で、客って誰?」
「さあな。我は名前を聞いていないが、お主が確実に知っている奴だな」
「あっそ。てか、ねむ~~…」
「散々寝ただろうに…」
「足りんよ」
そう言いながら応接室の扉を開ける。
「ざいまーす…」
「……何、その間抜けなあいさつは…」
「眠いんだ。大目に見てくれ」
「眠いって…今もう昼なんだけど」
「俺は夜行性でな。で、客って?」
「レナ達よ」
「レナ?」
アイナの向かいに座っていた、レナは軽く礼をしてきた。
「どうも。それで用は?寝ていい?」
「ダメに決まっているでしょう…」
「ダメか…」
「当たり前よ。まあ、用と言ってもあなたへの礼というところね」
「それ、お前が言うの?」
「さっき聞いたから」
「さいですか」
さっきから話しているのはレナではなく、アイナだ。そのアイナがレナの用を代わりに言うのか。目の前に本人がいるのに…。
「まあ、礼はいいよ。あれはただの偶然だし。それより、魔物を殲滅したのが俺ってのはどこまで知られているんだ?」
「そうね…。私とレナ達ぐらいかしら?」
「はい。私たちはだれにも話していませんから」
「…なんで?」
「あなたの性格上、広められたらいやなんでしょ?」
「まあ、そうだけど。広められるの覚悟であの時答えたから。それにどうせ澤田で気付かれるだろうし」
「その辺は心配いらんぞ。あ奴には我が魔法で正体偽装の魔法をかけておいたからな」
「そっか…。なら俺たちの事はほとんど知られていないという事でいいんだな」
「そう考えて大丈夫だろう」
これで動きにくくなるというのは回避できたな。それ以上に注目されるとメンタル的に死にそうになるっていうのが大きいが。
「それはそうと、あなた達はどこかのクランに入っているの?」
「クラン?なんだそれは?」
「クランていうのはパーティーよりも大規模なものでクラン内で決めた目標に向かって頑張っていくって感じの物よ。というかこれはギルドで登録した時に聞いていると思うけど」
「えっ?聞いてないけど?」
「おかしいわね…。忘れていたのかしら?」
「些細なことだし、考えるだけ無駄だろ」
「それもそうね。それで、入ってないのよね?」
「ああ」
「それなら私たちのクランに入らない?」
まあ、勧誘になるよね。知ってた。
「そのクランの目標は?」
「特にないわね。楽しくできればそれでいいって感じかしら」
「ふーん。でも、そこには入れないな」
「どうして?」
「俺達は旅に出る。幽霊メンバーがいても仕方ないだろ」
「人数制限はないし、特にそう言ったルールもないけど?」
「それでも、入れないな」
「なぜ?」
「俺達にもいろいろある。多分だけど、俺らの隠し事はお前らより多いからな。それを隠そうと思ったらできるだけ関わらないことが一番だ」
「そう……」
レナが残念そうにうつむく。
一度、偶然助けただけでこの信頼か。
女はわからんな。
「それなら自分でクランを立てるのはどうかしら?」
「クランの設立…か」




