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狂った聖少年の魔獣虐殺

冒険者ギルドに行った次の日の朝、


「ふぁぁ~~~」


妹が手を口に当て可愛い欠伸をしながら体を起こし、


「おはよう、よく眠れた?」


隣で横になっている僕の声を聞いて、一瞬固まった。


「な、なな、何で兄さんが私のベッドに?!」


再起動した後、飛びのこうとした妹の手を引っ張って僕の傍に引き倒す、妹は僕の方に背中を向けた状態でベッドに倒れ込んだ。驚きと恥ずかしさで顔が真っ赤になっているのが後ろからでも分かる。


「何言ってるの?君の方から僕の所に来たんだよ?」


妹の耳元で囁きながら、枕の横に置いておいた仮面へと手を伸ばす。

実際、夜いきなり妹がベッドに入って来た時は驚いた。


「それに、君は一晩中僕に抱きついたまま眠ってたから、僕はほとんど眠れてないんだよ?それなのに、朝起きてそんな風にされたら傷ついちゃうな~」


「だ、だって、それはその、寝ぼけてて・・・・」


「ふ~ん、そう、じゃあもう今度から宿は別々の部屋にしようか?僕だって眠れないのは辛いんだよ?」


「うう、・・・ごめんなさい」


少し意地悪をしすぎたかな、


「いいよ、許してあげる」


優しく頭を撫でて妹を離し、仮面をつける。これで妹に素顔を見られることは無い。

ベットから立ち上がった僕は傍に掛けておいた自分の装備に手を伸ばす。


「さあ、君も早く着替えるんだ、昼にはギルドに行かなくちゃいけないからね」


まあ、着替えると言っても僕たちは寝る時いつも肌着なので、その上から着るだけだが。

着替え終わった僕は妹に出発を促す声を掛ける。


「行こうか」


「・・・うん」


準備を終え、僕たちは宿を出る。



*****************************


ギルドの扉を開けると昨日と同じ様に視線が飛んできた。だが視線の数は圧倒的に少ない、ただたんに昨日より人数が少ないのと、一度見たため興味を失った者が多いのだろう。


「昨日、登録をしたんだけど、ギルドカードはもうできてるかな?」


「わ、分かりました、少々お待ちください」


受付の人は昨日と違い、人間の女性だ。彼女は僕の言葉を聞いてカウンターの向こう側の扉を開き、中に入る。

少しすると、両手で銀色のトレイを持ってきた。


「お待たせしました、シン様、イリア様、こちらがギルドカードになります」


トレイの上に乗せられていたのは白色の金属板だ。


「こちらがHランクのギルドカードです、ギルドカードはHで白、Gで緑、Fで青、Eで黄、Dで赤、Cで朱、Bで銀、Aで金、Sで白金、SSで黒、と色分けされています。ランクは同ランクの物を10回、一つ上のランクの物だと5回、二つ上のランクの物だと1回、依頼を達成する事で一つ上のランクへと昇進されます。また、あまりお勧めはできませんが、早くランクを上げたい場合三つ以上上のランクの依頼を達成することで、受けた依頼の二つ下のランクまで駆け足で上がることが可能です。以上で冒険者の講習は完全終了ですので、何かご質問は御有りですか?」


「いや、冒険者についてはもういいよ、パーティーの登録をしたいんだけど」


「はい、それでは・・・この用紙にメンバーと、パーティー名を書いてください」


受付の人から渡された羊皮紙の項目を埋めていく。


パーティー名:【百奇夜公】 メンバー:シン、イリア 


百奇夜公は日本の漢字で書いた、案の定渡された受付は頭に?を浮かべている。


「ひゃっきやこうて読むんだ、まあ、暗号みたいな物だよ」


「は、はあ」


「これからすぐ依頼を受けてもいいかな?」


まずはランクを上げる、これが最優先事項だ。低ランクの依頼は報酬も低い、だから妹を養うためにはそれなりのランクの依頼を受ける必要がある。


「はい、かまいませんよ」


受付の女性は微笑む、


「そう、実はもう決めていたんだ」


そう言って僕は依頼が貼られているボードに向かう。

手に取った依頼書は一つだけあったSSランク、依頼は街から東に二、三日行った所にある【魔ノ森】でのSSランク魔獣【金獅子】の討伐、_____今、僕たちがいるルトガ王国の全騎士団が総力を挙げても、かすり傷を付けるのがやっと____成功すれば、王貨五枚と云う莫大な報酬とAランクまでのランクアップが手に入る。ちなみにこの世界の硬貨には石貨、賎貨、鉄貨、銅貨、銀貨、金貨、白金貨、王貨があり、日本円換算で、石貨:一円、賎貨:十円、鉄貨:百円、銅貨:千円、銀貨:一万円、金貨:十万円、白金貨:百万円、王貨:一千万円となる。

その依頼書を手に僕はカウンターまで戻る。


「これをお願い」


受付の女性は依頼書を見た瞬間凍りついたように動きを止めた、


「それじゃあ、行ってくるね?」


それだけ言って、僕たちは足早に出口へと向かう。受付の人が再起動して何か叫んでいるが、その頃にはもう、僕たちはギルドを出ていた。



***************************


???side


私の名前はセリティア、仲の良い受付嬢仲間にはセティと呼ばれている。そんな私は今、すごく焦っている。始まりは少し前、受付に来る人がおらず、暇を持て余した私が隣の受付嬢たちの会話に混ざろうとしたとき、受付に二人の子供が来た。

何と言うか、不思議な見た事もない服を着た少女と、体中に武器を貼り付けた仮面の少年、ギルドカードを受け取りにきたその子達は一つ依頼を受けて行った。問題はその依頼だ。


依頼内容:【魔ノ森】に生息するSSランク魔獣【金獅子】の討伐 報酬:王貨五枚 ランク:SS


魔ノ森とは、最低でもAランク以上の魔獣が棲み、SSランク魔獣である【金獅子】が縄張りとしている、危険地帯だ。

どう考えても冒険者になりたての、しかも子供が受ける依頼ではない。

受け取った瞬間しばらく固まってしまい、止められなかったことを悔やむばかりだ。


「誰か、魔ノ森に行ける方はいませんか!」


私は声を張り上げる、だが誰も名乗りを上げることはない。それも当然だ、本来【魔ノ森】は最低でも、Sランク冒険者のフルパティーでないと生きて帰ることは出来ない。それほどに危険な森なのだから、あの子たちが生きて戻れる訳がない。


「死なないでよ・・・」


もしかしたら依頼を間違えてるだけかもしれない、そんな希望的なことを考えながら、私はあの子たちの無事を祈る。



************************


魔ノ森に着いたのは町を出た二日後だ。

確かに禍々しい気配を多く感じる、まあ、はっきり言って僕からしたら有象無象だが。


「とりあえず威嚇のために中級位の魔法を使ってみて」


「・・・わかった」


威嚇するだけだから中級程度でいいだろ。


「≪天高きより降り注ぐ氷の雨よ、大地を穿ち我が敵を討て『氷の雨《アイスレイン》≫」


魔ノ森に生息するのは、基本的に強く、好戦的な魔獣だ。つまり、そんなところで広範囲に届く魔法を使うと言うことは、


「ギガァァァァァァァ!!!」


「グオォォォォォォ!!」


と、こんなふうに大量の魔獣が術者の魔力を探知して襲いかかってくると言う訳だ。


「今向かって来てるのは全部Aランクか、Sランクでも下位の魔獣だ。特級魔法を使えば簡単に倒せるから、君がやってごらん」


「・・・・うん、分かった」


空気が変わっていく、雑音が消え、目は敵のみを捉える。


「≪闇よ、高貴なる漆黒よ、我が求るは美しき刃、万物切り裂く剣を此処に『漆黒の斬撃《シャドウクロウ》』≫」


妹が呪文を唱え終わると、前方の空間が、横に大きく裂け、半月状に実体化された闇が現れる。次の瞬間、闇の刃は光と同等の速さで進み、魔獣の大群を横に両断した後、更に森の木を数本切り倒して消えた。

『漆黒の斬撃《シャドウクロウ》』刃の形に圧縮された純粋な闇を作りだして攻撃する、闇属性の特級魔法の一つだ。

全ての魔獣に止めを刺した後、妹と一緒に討伐した魔獣の証明部位_____魔獣や、魔物の特定部位を持ち帰る事で討伐したことを証明する_____と素材として使えそうな部位を削ぎ取る。

黙々と削ぎ取りをして、全部の討伐証明部位と、他にも使えそうな牙や爪などの部位を回収するのに三十分ほどかかった。

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