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鋼の狂犬  作者: 八咫 日本


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『戌亥迅 -INUI JIN-』完全設定資料集

〜 虚構の国家と、自由という呪いを背負った狂犬たちの軌跡 〜

「すべては国家のために。そして国家は、虚構だった。」

【世界観・組織用語】

新首都『新京』(しんきょう)

2035年初頭、瀬戸内海を埋め立てて建設された日本の新首都。同心円状の階層リング構造を持ち、中心部に近づくほど特権階級が住む「無菌状態のユートピア」。都市全体が犬養の脳髄と直結した巨大システムで管理されていたが、物語終盤にてシステムダウンし、物理的・概念的に完全に崩壊した。

国家治安維持局 / 暗部『鴉(からす)』

犬養が設立したボランティア団体「ナイトオウル」を吸収して設立された、木下直属の正規国家暴力装置。その中に、反逆者の暗殺・拉致・拷問を専門とする暗部『鴉』が存在し、戌亥や牡丹が所属していた。

深層データバンク(官邸地下・最下層廃棄ブロック)

新京のメインフレームの深部。旧式の物理回線で繋がれた隔離空間であり、巨大な培養槽の中に犬養旭弘の脳髄が浮かび、都市のシステムそのものと同化していた。

国防省直轄 特殊機甲連隊『金剛(こんごう)』

国防省が誇る対軍事殲滅戦用の重武装サイボーグ部隊。柴田大臣の私兵的側面を持ち、のちに加藤の指揮下に入るが、アメリカ軍のパワードスーツ部隊の前に蹂躙され壊滅した。

CIA特殊作戦部『ファントム・スレッド』

エイダが所属するアメリカの中央情報局特務部隊。第4世代サイボーグ技術や最新鋭のパワードスーツ部隊を擁し、新京崩壊の決定的な引き金となった。

衛星レーザー兵器『アマテラス』

かつて中国の軍閥を蒸発させた宇宙空間の戦略兵器。新京の官邸地下からコントロールされていたが、最終盤で木下がワシントンD.C.への攻撃を命じた直後、アメリカ宇宙軍のミサイルにより破壊された。

国民管理ICチップ / 思想矯正施設

新京の全市民の首の後ろに埋め込まれた極小チップ。不穏な感情を検知すると治安維持局へデータが送信され、強制労働と人体実験が行われる思想矯正施設へと送られる。

【主要人物録(最終ステータス)】

戌亥(いぬい) 迅(じん) / 元・暗部『鴉』執行官 【生存】

本作の主人公。感情を殺した「国家の犬」として任務を遂行していたが、エイダとの死闘を経て「個人の意思(自由)」を獲得。崩壊する新京の中で自らの意思で市民を守り抜き、最後はソ連のウラジオストクへ逃れ、片腕の「野良犬」として人を守るために生きる道を選んだ。

御堂(みどう) 牡丹(ぼたん) / 元・暗部『鴉』執行官 【生存】

戌亥の相棒(戦友)。飄々とした態度の裏に狂信を隠していたが、戌亥と共に狂った体制と決別。「市民を守る」という自らの意思を選択し、官邸地下の死闘の末、戌亥と互いの生存を誓い合って単独で新しい時代へと姿を消した。

木下(きのした) 英雄(ひでお) / 内閣総理大臣・治安維持局局長 【死亡】

中卒の成り上がりから最高権力者へ登り詰めた独裁者。権力を守るため全市民の掃討を命じる狂気を見せたが、最後は石田ら見下していた部下たちに裏切られ、地下の脱出ポッド前で無惨に射殺された。

犬養(いぬかい) 旭弘(あきひろ) / 国家自由主義国民党 絶対指導者 【消滅】

新京のシステムそのものと化した「機械の神」。権力の腐敗に絶望し国家の自壊を仕組んだ。最後に戌亥へ「新時代の番犬」となるよう命じるが明確に拒絶され、電子の海へと消え去った。

エイダ・クロムウェル / CIA特務サイボーグ 【機能停止】

アメリカの第4世代型コンバット・サイボーグ。戌亥の宿敵であり対極の存在。最終決戦で敗れるが、死の間際に戌亥へ「あなたは自由になれる」という呪い(希望)の言葉を遺した。

柴田(しばた) 勝馬(かつま) / 元・国防大臣 【死亡】

犬養の政治活動初期から付き従うエリート層の筆頭であり、国家防衛を至上命題としていた男。成り上がりの木下を内心深く見下し権力闘争を繰り広げたが、最後は戌亥による暗殺指令を受け、絶望の中で命を落とした。

明智(あけち) 光矢(みつや) / 元・内務大臣 【死亡】

政権発足後から水面下で国家の状況安定に尽力してきた切れ者の官僚。犬養が表向きに倒れた際、独断で非常事態宣言を発令し権力闘争の主導権を握ろうと画策したが、木下の策略により無実の罪を着せられ、牡丹によって粛清された。

小津(おづ) 家高(いえたか) / 日本亡命政府 代表 【生存】

かつて犬養に心酔していたが狂気に気づき亡命。アメリカの支援を取り付けて新京を崩壊させ、のちに「新日本共和国」を樹立した。

東雲(しののめ) / 暗部『鴉』整備班長 【生存・逃亡】

戌亥の直属オペレーター。最後まで彼を人間として扱い、決死の最終チューニングと逃走用の密輸船を用意して、彼を自由へと送り出した。

石田(いしだ) 光明(みつあき) / 内務大臣 【生存】

木下に怯える側近だったが、最後は新政府での保身のために木下を裏切り、自らの手で彼を射殺した。

権藤(ごんどう) 鉄幹(てっかん) / 特殊機甲連隊『金剛』連隊長 【戦死】

冷徹な頭脳派サイボーグ。酸性雨の死闘で戌亥に腕を砕かれ、最終決戦ではアメリカの最新鋭部隊の前に為す術もなく首を刎ねられた。

関(せき) / 元『東京ナイトオウル』リーダー 【戦死】

犬養の若き日の友人であり、ボランティア団体だった頃の組織を率いていた男。暴走する組織の中で最後まで抗戦し、国家治安維持局の前身部隊との激戦の末に命を落とした。

加藤(かとう) / 新・国防大臣 【生存】

柴田の後任。権力に固執する木下に恐怖で支配され、軍による無差別掃討を命じさせられた。

【サイボーグ技術と特殊兵装】

鉄鋼マシーナリー(第3世代サイボーグ)

治安維持局が極秘開発した兵器化サイボーグ。戌亥は終盤、東雲のチューニングにより左腕を放棄し、全電力を右足と動力炉に回す「リミッター解除状態(運動性能150%)」で戦い抜いた。

零式・重圧粉砕腕(パイルバンカー)

戌亥の右腕に内蔵された近接特化型兵装。エイダのコアを粉砕したが、連戦の酷使により最終的に大破した。

大口径対装甲拳銃『ヤタガラス』

反動が大きすぎるため、鉄鋼マシーナリーの人工筋力でなければ扱うことのできない戌亥専用の巨大な初期ハンドガン。物語の大部分で戌亥の主兵装として活躍したが、終盤の死闘の中で限界を迎え、後継機へと引き継がれた。

ヤタガラス改

東雲から託された試作型大口径拳銃。実弾と、人工動力炉からのエネルギー供給による高出力レーザーの切り替えが可能。ソ連へ渡った後も戌亥の主兵装として共にあり続ける。

ヤタノカガミ

失った左腕を隠すように戌亥が羽織る漆黒のマント。完全な光学迷彩機能と環境兵器耐性を持ち、官邸からの孤絶の脱出を可能にした。

雷火(らいか) / 壱式・瞬発穿孔脚

牡丹の主兵装である二丁のカスタム・マシンピストルと、踵に内蔵されたドロップキック用パイルバンカー。

第4世代流体金属装甲 / 光学迷彩皮膜

エイダが装備していた米軍の最新技術。ブレードやシールドへ自在に変形し、後にアメリカ軍のパワードスーツの電磁防壁にも応用された。

換装ギミック&六銃身大型ガトリング砲

権藤の主兵装。右の重装甲義腕をパージし、背部のウェポンラックから直接接続して圧倒的な面制圧を行う。

【新京興亡史(架空年表)】

1990年:大学生の犬養旭弘がボランティア団体『東京ナイトオウル』を設立。

2010年:犬養の著書『国家と自由』が発刊、ベストセラーに。

2012〜16年:『国家自由主義国民党』結成。犬養が政権掌握。独裁三法を強行採決。『東京事変』により木下の党親衛隊がナイトオウルを壊滅させる。小津はアメリカへ亡命。

2018〜22年:米軍撤退。北朝鮮の武力統一と中国の属国化。

2026〜29年:隕石落下による中国崩壊・軍閥割拠。東京が核攻撃により水没。犬養は『アマテラス』で中国軍閥を消滅させる。

2031年:瀬戸内プラント爆破テロ事件。戌亥迅が瀕死の重傷を負い『鉄鋼マシーナリー』として蘇生。

2033〜34年:EU・NATOによるソ連侵攻。ユーラシア西部が戦火に包まれる。

2035年初頭:新首都『新京』誕生(元号『進和』)。完全監視社会完成。犬養が肉体を捨てシステムと同化。小津が亡命政府を樹立し、エイダが潜入。

2035年中盤:犬養の表向きの病死と、木下による狂気の『大国葬(強制殉死)』。戌亥が深層データバンクで犬養の真実を知る。

2035年終盤(本編結末):亡命政府とアメリカの介入により新京が物理的に崩壊。木下政権終焉。犬養の消滅によりシステムは完全に停止。小津が『新日本共和国』を樹立。

──そして、名もなき狂犬は極東の吹雪の中へと消えた。

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